2014年5月4日日曜日

From Tokyo to Berlin


 2日半のベルリン滞在中に我々は2度、新設開店したユニクロの店を訪れ買い物をした。(娘夫婦は3度も!1着20ユーロ以上のジーンズは無料で裾上げをしてくれるので、2日目に観光を中断して数時間後夕方にまた取りに行ったのだ!)


 春の日差しがまぶしいTauenziehenstr。店先でハッピを着たドイツ人女性従業員がティッシュ配りをしている。これはドイツでも時にはやっていることだが、何か雰囲気が違う。手渡す時に日本風に深くお辞儀をし、通行人に親しげに話しかけているからだ。


 店内に入る。開店が411日だったから、まだ2週間しか経っていない。地上2階、地下12700平米の店内はまだピッカピカの感じだ。階段の電飾は“From Tokyo to Berlin“を初め全世界の大都市名が、ずらりと並び右から左に動く。それを見つめながらうっかり歩くと目眩がして、ふらつくことがあるので要注意だ!新規雇用はざっと300人、それを3階に分け配置すると…?どこを向いても従業員証の名札をぶら下げた店員がいて、客の質問に丁寧に応えている。ドイツのデパートで何か訊きたくても店員が全然見つからないことが多いのとはずいぶん違う。この点について、経済雑誌"brand eins"(5月5日号)が、日本の良いサービスは狭い島国でお互い密接に関係しつつ生活することから生まれた美点であり、新開店のユニクロ・ベルリンが良い例である、と指摘している。


 試着室の前に長い列が出来ていたのは、客の数からして仕方がない。が、使い始めてからの応対の仕方に驚いた。妻が持って入った2着のジーンズのサイズが小さすぎる、ということが係員にわかると「お待ち下さい、大きいサイズのを持って来させます」と言う!孫たちの試着に時間がかかった時は、待っている親たちに「椅子を持って来させます。お座りになってお待ち下さい」という親切さだ!支払いの時、レジで他の客が23人前にいて一寸待たされた。番が来た時、係員が「大変お待たせして済みませんでした」と言ったのだ!ここはドイツか?!と耳を疑った。ドイツのデパート等では、料金を取って品物が渡されると「ありがとうございました」の挨拶もなく、客はそっちのけで店員同士のおしゃべりが始まるのが常だ。

 接客に関して、マニュアルがありそれに基づいてかなり日本式訓練がされたらしいことが良く判る。「このフリーサイズベルト、穴なしなのはどこにでもバックルのピンを刺せるというわけ?」という、簡単な質問に対し「只今マネージャーに訊ね確認して参ります」という回答。先刻の「…を持って来させます」を合わせ考えると、これもどうやら店の方針らしい。ユニクロ式なのか、上司、店長をトップにしたハイアラキー(位階制度)が徹底されているという印象だ。

 ドイツ最高のデパートKaDeWeを初め、世界的に有名な店舗の並ぶ高級ショッピング通りTauenziehenstr.に進出したユニクロだが、最初の半月はまずまずの出だしのようだ。カジュアル衣料の競争は激しいものがあるが、この通りの他の有名店は今の時期、気の毒なほどガランとしていた。今後の動きがどうなるか、まだまだ予断は許されないだろう。それとドイツ人従業員による日本流客応対・接客法がこれからも徹底して続けられるものだろうか、いろいろ考えさせられた。バッグに印刷された開店のモットー“From Tokyo to Berlin“が、今後どのように発展・実現していくか、気になる所ではある。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん、新規のユニクロ ベルリンでの丁寧な店員対応に好感を抱きます。本来日本人のサービス精神の表れでもあるし、お客様は神さまだという感覚からも来ているのでしょうね。マニュアルは日本人にはすぐ理解できますが、ドイツ人店員の本当の実となるには、いくらか時間が掛かるのでしょうか。こうした日本文化がいい意味でそちらで浸透していけるよう祈ります。大阪の山さん

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    1. ドイツの店のサービスの悪さは、こちらのマスコミにも叩かれています。Kというデパートのチェーンが最も悪評が高いです。「顧客満足度の調査をします」と言われた店員が、「自分はどんなお客が嫌か、どんな客なら良いか」という、店員の立場からの調査だと思ったとか!呆れ返った話です。
      日本流のやり方がすべて言いわけではないでしょう?開店早々の今の時期は皆が躍起となっていますが、その内、あれ?この点はおかしいぞ、ここは馬鹿げているぞ、と気づき出した時(必ずやって来ると思います)が危機の初めになるかも知れません。それを上手く乗り越えられますように祈っていますが…。

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