2014年4月13日日曜日

ユニクロ、ペルリンへ進出


 ベルリンの中央にあるクーダム(KuDamm)は、日本なら東京の銀座に匹敵する高級専門店の立ち並ぶ通りだ。観光の名所になっているGedächtniskirche(記念教会)からほど近い所に、3階からなる2700平米の新しい店が開かれた(411日、金曜日)。その名は日本企業「ユニクロ」で従業員数は約300、ヨーロッパにおける最大規模で旗艦店となる店である。ユニクロを傘下にもつファースト・リテイリング・グループの社長・会長柳井正は、Zap(アメリカ) Zara(スペイン) H&M(スエーデン) Primark(アイルランド)等に追いつき追い越し、やがては世界一の企業にすることを目指している。

 同じ日(411日)ドイツの有力新聞フランクフルターアルゲマイネ誌に「己を変えよ、さもなくば死ね」(“Ändere dich – oder stirb“)という見出しの記事が載った。記者のCarsten Germisによれば、これがユニクロ本社の柳井の事務所前の廊下に掲げられている言葉である、という。本当にそんな社是を唱えているのか、と調べてみた所、ユニクロは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というのを社是としていることが判った。そうするとこの記者は本来の社是を意訳して、「これまでの日本式企業理念を変えなければ、やがて我々は死滅・消滅するだろう」という意味で、命令形を使ったこの穏やかならぬ見出しを書いたのだろうか?

 これまでの日本企業の常識を脱した経営理念でユニクロをここまで発展させた柳井は「寿司下駄にのせたビフテキ」と呼ばれる。記事に詳しく書かれている、この企業の歴史(発端から発展)のことは我々もよく知っているので省略しよう。

 我々自身も昨年末から今年にかけてユニクロ製品のお世話になった。私自身10年以上前日本で一度安いシャツを買ったが、今でも時々着ているのがこれだ。企業の変革と同じように、現在のタグも昔のものとかなり変わっている。去年秋訪日の際偶然見つけたのが、カシミア・フェスティバルをやっていたユニクロ銀座店。我が妻と娘は開店前半時間も通りに並んで待ち、店内に入って1時間以上も買い物を続けた。12月に日本出張をした妻はまた銀座へ、自分はULD(ウルトラ・ライト・ダウン)を私にはヒートテック下着を買ってきた。その後彼女は私のためにULDを英国ユニクロオンラインショップから取り寄せてくれた。そのおかげで私は、この冬(暖冬ではあったが)まったく他の防寒衣料を使わなくてすんだ。


 ベルリンに住む妻の兄からのメールによると、ユニクロ開店でクーダムは大混乱、道路規制もされたということだ。我々も娘夫婦と孫3人を連れ、来週後半ユニクロショッピングを含めベルリン観光を計画しているが、その頃には混乱も一段落していることだろう。従業員の取り扱い、労働条件等の点でブラック企業としてかなり叩かれているユニクロだ。その辺りのことは最近、今野晴貴著「ブラック企業、日本を食いつぶす妖怪」を読み大いに驚かされた。にも拘らずユニクロの勢いは飛ぶ鳥を落とすほどであることは誰も否めない。国内856店舗、国外512店舗までに発展したこの企業は今後どのようにのびていくのだろう。ドイツ内に更に多くの支店を開く計画がある、と聞いている。百万都市のミュンヘン、ハンブルグはもちろん、日本企業の多いデュッセルドルフにも進出して来る日も近いことだろう、と期待している。

追記、上のパラグラフ2で?をつけた箇所をはっきりさせたくて、更に調べました。その結果「柳井正名言集」の中に「変革しろ、さもなくば死だ」というのを見つけました!
Carsten Germis氏(59年ハノーファー生まれ)はFAZ誌の東京特派員ですから、ユニクロ本社で事実この文言が書かれた額(?)を見たことでしょう。ドイツ語(他の西欧語も)ではそのまま訳せないので二人称単数命令形を用い"Ändere dich - oder stirb"「お前自身を変革しろ、さもなくば死んでしまえ」となったわけです。

4 件のコメント:

  1. ユニクロは安いだけではなく品質も良いので年甲斐もなく私もファンの一人です。
    一昨年一冬だけでも良いと思って買ったタートルセーターを今年も愛用して来年のため又洗って仕舞ました。
    普段用のダウンも着ていますし、沢山の商品の中には年寄りが着られるものも有ります。
    ディッセルにもお店出来るといいですね。これからも良いものを出してくれるよう願っています。

    返信削除
    返信
    1. 安物を売る店が増えた中、品質も徐々に向上させているユニクロなので、うちでも皆気に入っています。親類の例のダイヒマン靴店も、値段は他に比べ格安ですが、最近品質も良いものを選ぶようになり、さらに売り上げが上がっています。世界最大と聞いている「銀座ユニクロ」へ一度行ってみて下さい。8階だったか?とにかくいろいろ見るものが多くて、半日はかかりますよ。

      削除
  2. 三千男さん。ユニクロの海外戦略はユニークですね。中国、イギリス、アメリカとそれぞれの国にうまく合うような出店、販売の戦術、戦略を打ち出していきます。ドイツでの特徴は何でしょうか。安かろう悪かろう、の時代ではないですし、そういう国でもないでしょう。日本でのユニクロは、多販店を過ぎて、客に合ったデザインからサイズ、色彩、品質になっているようです。私も時々。大阪の山さん

    返信削除
    返信
    1. 日本のテレビ番組で、世界の貧窮国の一つバングラディッシュでのユニクロ出店・販売戦略の現状を見て、深い印象を受けました。自社の縫製作業を沢山引き受けてくれる国でもあるので彼らに対する一つの見返り手段ということで、安くて良いTシャツを、また国柄にあったデザインの衣服を提供していました。さてドイツは富裕国に数えられのでしょうか。しかし超高級品に集まる人ばかりではない、けっこう安いものを求める人も沢山います。これからの動きに注目しています。

      削除