2012年4月15日日曜日

Astalift欧州に進出


 昨日(14日)空港にあるMeritim Hotelで開かれている「化粧品見本市」を訪れました。このメッセは「スキンケア」と「香水」の部門に分かれ、展示者は100社を超える盛況でした。スキンケアの部門には、富士フィルムの商品、アンチエージング革命「アスタリフト」のスタンドがありました。

 化粧品業界には今日革命が起こっており、ただきれいに顔を化粧したり、良い香りを放つだけのものの時代は過去のものとなったようです。特にスキンケアでは、顔にぬったものが肌の健康保持に貢献するもの、ほとんど医療効果あるものが求められているのが現状です。その点「アスタリフト」では顧客に強く訴えるところがあり、スタンドを訪れる専門家、ジャーナリストの数も多いようでした。

 アスタリフトはいよいよ来月からドイツで販売開始されます。それに先立ちある経済雑誌のインタービュー記事が載ったので次にご紹介します。



「美しく老いる」
写真ビジネスの大企業富士フィルムは“時の徴”を早くも読み取っていた。「新しい分野に進出すべきだ!」と。それは化粧品分野であった。

 富士フィルム、ビューティ&ヘルスケア欧州担当チーフ、アンドレイ・ブリラックのあごひげをきれいに整えた顔の皮膚からは、ローズの香りが漂っている。なぜだろう?それは、飛行パイロット免許を持つスポーツタイプのこのポーランド人が、ご婦人たちを対象とした新製品「アスタリフト」を、自らの皮膚を使ってデモンストレートしているからである。数ある製品の一つに、プルプルするゼリーを思い起させるジェルタイプの「アクラリスタ」がある。今年42歳になるチーフは、ジェルを顔につけ手の平でこすって皮膚をマッサージする。手の温かさがミクロ粒子をよく浸透させるのだ。特に大切なのは、下から上へのマッサージの方向である。リフト効果を上げるためには、その反対ではダメなのだ。この効果てきめんの化粧品は一瓶82ユーロとかなりのお値段だが、その他のアスタリフト商品共々、この5月からドイツ市場にお目見えすることになっている。
 インタービューが行われた、デュッセルドルフの富士フィルムヨーロッパ本社の日本風庭園には、たくさんの鯉が泳ぐ池がある。この緑のオアシスは、かつてプロカメラマンがフィルムの新製品テストを行った野外スタジオであった。そんな時代はもうとっくに過ぎ去った。今はデジタル写真の全盛期なのだ。フィルムは同社の売り上げの1%を占めるに過ぎない。しかしながら、この日本企業は、危機に陥っているアメリカ企業のコダックとは異なり、時期を失することなく船の舵を取り直し、医療技術や化粧品の分野(その他にも多くあるが)に進出した。
 化粧品ですって?それは、これまでの主要ビジネスとあまりにかけ離れてはいませんか?「まったくその反対です」と、セールスタレントに満ちた男ブリラックは強調し、的を得た説明をしてくれた。フィルムの主要構成要素は、人間の皮膚と同じコラーゲンである、という。そしてその両方にとって問題となるのは「酸化」であって、これが写真を色あせさせ、皮膚を老化させるのである。コラーゲンを酸化防止に用いる技術を習得した富士フィルムは、アンチ・エージング(老化防止)製品を作り出すアイディアを思いついたのだ。アスタリフト(この名前は、海藻から得られる物質であるアスタキサンチン、リフティングに由来する)は、すでに日本では2007年以来、中国では2010年以来市場に出て成功を収めている。そして今年からヨーロッパ市場征服にも進出することとなったのである。
 どのような計画を始めるにも、この企業が売り上げの7.5%を研究・開発に当てているのは、技術面を重要視しているために他ならない。富士フィルムは「ナノ・カンパニー」であり、小さな粒子を、それを必要とする皮膚の各部分へ浸透させる技術を持っている、とチーフは強調する。今や化粧品「革命」が起こっているのであり、それでもってLamcôme Estée Lauderのような化粧品会社だけでなく、プラスチック整形外科の世界にもチャレンジするのである、と彼は自信を持って宣言する。
 美しく老いる−この夢を販売するため、魅力的なモデルが選ばれた。富士フィルムはこのブランド宣伝のため女優のナオミ・ワット(43)を採用、そのためかなりの予算が当てられている。“Mulholland Drive““J. Edgar“等に主演したこの女優の良い肌の色は、ビューティ製品よりは生まれつきの遺伝子によるものと思われるが、彼女の写真はなんら修正をせずにそのままコマーシャル・宣伝に載せますよ、とブリラックは確約している。
 
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 富士フィルム社誕生には国家からの援助が役割を果たした。同社は、1934年に日本独自のフィルム工業建設を取り決めた政府の決定に基づき創立され、日本最高の山、富士山に因んで名付けられた。当初は映画、写真、レントゲンのためのフィルム製造に従事した。同企業は−先駆者であるアメリカのコダック同様−刷新の念に燃えており、1950年代には日本最初のコンピューターを開発、その後最初のビデオテープやデジタル・レントゲン写真術を全世界に広めた。1966年同社はヨーロッパに進出、そして80年代末にはアメリカ合衆国のビジネス拡張を果たした。しかし何十年間にわたりビジネスの基本は、母国でのほぼ独占と言って良いフィルムにあり、これは、ひげ剃り刃のジレット社と同じように大きな利益をもたらすものであった。デジタル化が今後のビジネスにどんな意味を持つのか、それを時機を失することなく見通したのは、現職にある古森重隆社長であった。彼は新世紀の転換期に際し舵を切り替え、革新的な原材料、医療関係技術、ライフサイエンス等の方分野に方向転換をさせ、この計画に充当する多数の企業を買収した。彼は2006年に富士フィルム社を、東京を中心として動くホールディングに改築した。彼の目標は大いに野心的であり、これはヨーロッパでの新ビジネスにも当てはまるものである。年間目標25000万ユーロを目指すフェースケア分野は、同社の次期目標内で第5位を占めている。
富士フィルム・ホールディング・コーポレーション:2011年業務年間での売り上げ:196億ユーロ;利益:14億ユーロ;従業員数:78,862;子会社数:239
                 (経済雑誌 „brand eins“ 20124月号)

4 件のコメント:

  1. It will be very exciting to see how Astalift will spread throughout Europe!

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  2. The first reaction in the media-world is seemingly not bad! That is a good sign for the future expansion.

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  3. 私もアスタリフトのアクラリスタを愛用しています。さすが富士フィルムが研究を重ねた商品、老いた肌にもミクロ粒子がしっかり浸透して潤いを与えてくれる実感を味わっています。少々お高いのが玉にきずですがこれからも使い続けたいです。

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  4. 「ご愛用感謝です」、と担当者Pからの伝言。値段のお高いことは確か、でも化粧品はそんなものだ、ということです。見本市に来るご婦人方のリッチな身なりを拝見すると、「こういう人たちなら、どんどん買うんだろうな!」という印象を受けました。

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