2012年2月21日火曜日

カーニバルの季節



 今年もカーニバルの季節がやって来た。Carnival(独=Karneval)は語源からすると“carne,vale!“「肉よ、ごきげんよう(さらば)!」となる、というのが一番通常の解釈だろう(その他にもあるようだが)。教会では、これから始まる40日間のキリストの受難期間には身を慎んで、肉食を控えるように(その他の肉に関する諸々の行為も含め!)という勧めを庶民になした。それなら、その前に存分に食べて、そして飲んでドンチャン騒いでおこうというところから発生したお祭りだ。教会はそんな思いがけない庶民の反応に眉をひそめたが、もう手遅れだった!

 日本語では「謝肉祭」というが、誰がいつごろこんな訳をつけたのだろうか?上手いものだと思うが、どの辞典にもそんな説明は書いてない。「肉よ、さらば!」のドンチャン騒ぎから「肉に感謝する」といういかにも敬虔な感じを与える訳語を作り出した日本人はどこの誰だったのか、知りたいものだ。

 ドイツのカーニバルは本来のクライマックスの祭日(バラの月曜日)の前の週の木曜日から始まる。この日はWeiberfastnachtといい、「女のカーニバル」だ。日頃家庭で抑圧されている女性が(現在でもそうか??)、今日だけは男性をとっちめてやろうと町に繰り出し無礼講に振る舞う。その一番シンボリックなのはネクタイ切りで、ネクタイをしている男性を見つけると、誰彼のみさかいなく鋏で切り取って歓声を上げる。町の中だけでなく、会社の事務所でもどこでも同じことをやり、切り取った獲物はセロテープで壁に貼る。

 さて日曜日は、ここデュッセルドルフではファミリーカーニバルだ。この日のために長期間いろいろ準備した仮装の衣装(南米では1年間資金を貯めて準備するという!)は月曜日の山車を見る時数時間だけ着るのはいかにも惜しいということで、自分たちが主役となるストリートカーニバルをまる一日繰り広げる。まあ、突飛なアイディアの衣装の見せびらかす日といって良いだろう。

 そして最高潮に達するのがRosenmontag(バラの月曜日)で、ここラインランドでは今日は祝祭日の休日だ。カトリック教徒の少ない北ドイツでは普通の労働日で会社も官庁も商店もみな働いている。この日数時間にわたって町を練り歩いた山車の数は何百台だったか?いろいろなクラブ、組織、グループが思い思いのアイディアを詰め込んで何ヶ月もかけて作り上げた山車は、どれを見ても楽しい。毎年必ず見られるのは時の政治家を揶揄するもので、最近欧州共同体をリードするメルケルドイツ首相とフランスのサルコジ大統領をテーマにした「メルコジ」の山車や、公私混同、職権乱用で辞任に追い込まれヴルフ大統領を皮肉った山車が人々の笑いを誘っていた。

さてこれからイースター(復活祭)の季節までしばらく続く受難週に、人々は身を慎んだ節制の生活をおくるかどうか、まったく保証の限りではない。

3 件のコメント:

  1. 三千男さん。「謝肉祭」というキリストの受難を思って過ごす謹慎期間を乱稚気騒ぎする本意が分かりません。ラインランドが特に昔からバカ騒ぎするようで、ライン川と何か関係ありますか。かぶる仮面もキリストにあまり関係なく、政治家風刺になっているのも、謹厳、慇懃なドイツ的ですが、羽目を外すのもドイツ的ですね。「ワインがあれば金や財産なんて」と言っているそうで、ドイツ的でないですね。大阪の山さん

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  2. ラインランドの陽気さは別にライン川とは関係ないようです。ただ地理的にラテン系の国に近いので、そういう気質になるといわれています。喋り方からしてすぐに解る、と人は言います。それに比べると東部ドイツの人々はもっと重厚で取っ付き難いと言われます。東部出身のシューマンがデュッセルドルフの音楽監督になって、こちらのオーケストラやコーラスの人々と上手く行けなかった原因もこの辺にあります。
    カーニバル終了後の週末、町の肉屋が常になく大入り満員になっていたとき「最近では受難週も肉屋さんの商売には影響しませんね!」と売り子のおばさんと話し笑ったことでした。

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