2015年6月4日木曜日

都会で野菜を!


 デュッセルドルフ南部にバロック、ロココ、古典主義を合わせ建てられた美しい「ベンラート城」がある。建物内部とライン河まで延びる大きな森を含むベンラート公園を見学に訪れる人の数は年間を通して多く、市の観光名所となっている。

 







 
 公園の一角にある「自然地理博物館」に属する「エリザベートガーデン」でイベントがあることを知り出かけた。題は「都会で野菜を!」となっている。市内各地にある都会の住民のための家庭菜園についてはこのブログに何度か紹介したが,今回のイベントはそれよりもずっと規模の小さい野菜栽培のプロジェクトである。

 今日スーパーで多くの種類の野菜、果物が買えるようになり、人々は自分の手でそれらを作るという気持と喜びを失っている。そのため自分たちの食べる食材の出所・由来(どこから来るのか)はおろか、どのシーズンに何が穫れるのかも知らないでいる。そんな住民のため同園では野菜栽培のための知識とチャンスを与えたいと、昨2014年からこのプロジェクトを始めた。









 
 基本となるのは、種々のサイズからなる四角の箱形の苗床であり、必要に応じて設置場所を移動することができる。個々の箱は小さいのでスペースも多くは必要ないし、ベランダに12個置いても良い。内部にプラスチックの袋を敷き、そこに木材のチップ、コンポスト、土を入れる。モデル設備では水のための黒いタンクがついており、そこからホースで自動的に給水が出来るようになっている。

 手渡されたパンフレットには、この地方独特な野菜、今では見ることも稀になった「歴史的」な野菜も作れるとあるが、写真を見る限りニンジン、ジャガイモ、ラディッシュ等も表面の色が少し異なるだけで、珍種とは言い難い。具体的にその他どんなものがあるのか、この点をもう少し詳しく訊くべきだった。

 菜園では多くの新発見が出来るが、仕事も少なくない。「そのため共に種を蒔き、雑草を取り除き、失敗もし、新しい試みをし、共に成功を祝いましょう」、と同園ではワークショップへの参加者を募っている。

 それを知って妻も「週末にでもやってみようかしら」と言い出した。30所帯からなるアパート暮らしをしている我々には、自分自身の土地を耕して種を蒔き、育て、収穫する可能性はない。精々ベランダにプランターを置いて、花か野菜を育てるだけだ。事実今の季節、日本から送ってもらった「大葉」(紫蘇の葉)と「ミツバ」(欧州では珍種!)が芽を出したので喜んでいるところだ。

 しかし、基本となる箱や給水タンク、ホース等を買い整え、種を選び、肥料を準備し、日々欠かさず手入れする費用と手間を考えると…。結局角のスーパーに走って、欧州各地から送られる種々の野菜を買う方が安くつくことになるのでは?そんなことを言い出したら、自らの手で働いて栽培する喜びは得られないだろう。ここは思案のしどころだ。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。エリザベートガーデンで野菜の栽培を試みられるようで、ご同慶の至りです。春爛漫の今の時期こそ楽しい話です。日本の都会にも野菜を中心に市役所などが管理する「貸農園」があります。僕も40歳代頃に私的な貸農園でやった覚えがあります。出張などが多い頃で、水撒きと雑草対策で、3年でやめましたが。意外に野菜作りは根気がいるようで「継続維持」との闘いです。頑張りましょう。でも日本では大葉やミツバはほっといても自然になるものの印象ですが。そちらでは、何が基準で成長するの?水分?気温?土質?肥料?大阪の山さん

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    1. 山さん、未経験者の私は問題外で、やるとすれば妻ですが、彼女自身も今のところやるかどうか決心がつきかねている模様です。ドイツの家庭菜園は非常に盛んで、全国どこにも見られますが、これまた大変な労力とお金(?)がかかりそうです。賃貸料は年額にしても大したことはないのですが、菜園それ自体にヒュッテを建て樹木を植えるとなると、日本円でやっぱり百万円仕事以上になります。そういう所は自分勝手に出来ず、協会に属し色々規則にも縛られるようです。それで自分だけでやる、上のような解決法が提供されるわけですが果たしてどこまで普及するでしょうか?
      さて、我が家のミツバ等、蒔いてから時々水をやり後は放ってありますがチャンと育っています。成長の基準?天の恵みだけでしょうか?

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