2015年2月2日月曜日

やったぜ、レオナード君!


 昨日(日曜)午後レオナード君が日本語の授業に来た。いつもは土曜にやっているのだが、当方に来客があったので変更したのだ。とにかく彼は病気の時か我々の不在の時以外絶対に休まない。着くなりすぐ嬉しそうな顔で「いいニュースが二つあります」という。やっぱり、合格したのか?!そう、第一のグッドニュースは日本語能力試験2級合格の通知だった。(1月14日のブログ参照)

 2年余で日本語52級をストレートで制覇したわけだ。今回は最高点ではなかったがとにかく十分合格ラインに達していた。「先日勉強した『かねる』という言葉も試験に出ました」という。そうすると、ここでやることもまんざら無駄ではないのだ!それはこんな例だった。

 「この問題は難しすぎて、私には出来かねます。」こんな「かねる」については広辞苑には何の説明もない。新潮国語辞典で「動詞の下に付いて『できない』の意」という短い説明が見つかった。一番役に立ったのは「外国人のための基本語用例辞典」だ。「そうしようと思っても、そうすることができない、という意味を表す。話しことばで、ていねいにやわらかくことわるような時に多く使い、ふつう、ひらがなで書く」と丁寧な説明。念のためSharp電子辞典Papyrus(和−独)で調べると「不可能・困難・ためらい」nicht könnenとあり、そこまではいいのだが、最後に「彼は何でもし兼ねない」という余計な文章がついている。「かねない」は「かねる」とは別の意味をもつからここには載せるべきではない。とにかく「かね」という語尾の語ができないことを表し、「かねない」という否定の語尾のある語が可能性を表すというのは興味深い点だ。「この寒さなら、明日は雪が降りかねませんね」は「降ることもある、可能性がある」という肯定の意であり、「…しかねます」が否定になる!外国人には混乱を起こしかねないやっかいな用法だ。

 第二のニュースは、リアルタイムで見られる日本の無料TV番組が見つかった、と。コンピューター会社でバイトが出来るくらい知識があるL君には、いつも我が家のPC問題の解決をしてもらっている。リアルタイムとはいえ1分ほどのギャップはあるが、中々便利だ。しかししばらく見て、途中に入るコマーシャルの多さにうんざりし、もうこれからは止めようと思った。以前にも中国経由で似たようなものを紹介されたが、すぐに見られなくなった。やっぱり違法放映なのか、今回も長続きするかどうか疑問だ。

 とにかくL君、余す所1級の試験のみとなった。すでに新年になってからもうその準備の本持参でここでの練習を始めた。また難問の一例。

 「あなたには感謝こそすれ、恨みを抱くなんてことはない」とか「感謝の心こそあれ、恨みの気持はない」という例文を持って来た!「こそ」は強調の語であることは明らか「あの人こそ、これこそ」。しかし、こその次ぎに来るすれあれはどう説明するのか?感謝をする、感謝の心があるから出たものだろうが、なぜすれあれ、と動詞の仮定形になるのか?「已然形=仮定形で中止し、一応の肯定を表して,反対の思想を導く」(新潮国語辞典)くらいが適当な説明か?「感謝する(肯定)、だから恨むことはない(反対の思想)」という風に。後半は必ず強い反対の文になる。

 「こういう言い方,日本人は日常会話で使うのですか?」とL君。うーん、どうかな?使わないことはないが、まあ、あまり言わないでしょうね。書き言葉、文章には出て来るだろうから、しっかり覚えておいて、と一応締めくくった。1級にもなると,出題者の先生方も例文を探し出すのに苦労されるでしょうね。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。レオナードさんのN2検定試験の合格おめでとうございます。ご本人も大変な努力をされたのでしょう。僕もいま、個人的に日本語/ヴェトナム語通訳を目指す日本人旦那のいる女性(28歳)と、本人希望でまずN2挑戦を支援しています。問題は読解も聴解も私から見ればN3かN4レベルくらいで、仕事が忙しい(スーパー勤務)と言っては個人努力をしないことが問題。レオナードさんはきっと個人努力が実ったのでしょう。貴台の支援も適正だったでしょうが、汗が実りを生みました。将来、ドイツ―日本のためにその気持ちを大いに生かしてほしいものです。大阪の山さん

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    1. L君の個人努力には感心するばかりです。やっぱり自分で勉強し、準備して先生にやって来るのでなければ何も上達しませんね。以前大学の学生時代に教え、職業人(薬剤師)になった女性を自宅で教えましたが、仕事が忙しいという言い訳ばかりで、宿題を初めまったく準備しないので、意味ないと思い辞めてもらいました。
      L君の場合、日本の受験生みたいに、受験テクニックみたいな「傾向と対策」本を何冊も買い込み、合格のコツをつかんだみたい!自分できれいな正しい日本語を書いたり話したりするまでには、まだまだ長い道のりがあるようです。日本留学で少しは生きた本当の日本語に接してもらいたいものです。

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