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2014年12月29日月曜日

肖像画の難しさ


 私がパステル画を始めたのは30年以上も前のこと。その動機は何であったのか、はっきり思い出せない。娘のクレヨンでいたずら描きしていたら、案外良い調子で風景画が出来たのに気を良くしたのだったか?小中学校以来絵など一枚も描いたことがなかったのに、突然の絵心が湧いたのは不思議だった。

 油絵は仰々しいので避け、画材屋でパステルを一箱買い、「ホビーとしてのパステル画」という100ページほどの入門書を読みつつ毎日塗りたくっていた。それ以来本も買わないし、絵の先生についたことも絵画教室に通ったこともない、全くの我流である。

 その内絵のテーマとして娘たちの顔を描くようになった。と言っても小さな子供を何時間もモデルに座らせることは無理で、専ら映りの良い写真を模写したのだが、それが病み付きとなって以来9割以上は人物画、すなわち肖像画が占めることになった。


(まったくのフリーハンドで描いた孫たちの鉛筆画。使った色は白のみ。Schmincke社パステルの白は最高の白!)

 肖像画は似顔絵ともいうように、似ていなくては意味がない。ところが何の技術的訓練もない者が描いてもおいそれとは似てくれないのだ。たまたま偶然に似ることはあるがそれもめったにない。子供の顔を描いても若い20代の女性になったりした。

 ある時イタリア映画だったか画家を取り扱った作品で、主人公が格子状になった4角の枠を目の前にかざし、それを通してモデルの顔や身体のプロポーション(大きさ、釣り合い)を計りながら描いているのを見て「これだ!」と思った。その後世界の名画画集などでも,ミケランジェロやゴッホでも有名な画家が補助線や枠を使って自分の絵の釣り合い等を決めていることを発見した。何もない紙やキャンバスの上にそのまま描く必要はない、縦横の線や枠を助けとして用いてもそれは決して邪道ではないことに気づいた。










(無邪気でまた神秘性も感じさせるフェルメールの「真珠の耳飾りの少女−青いターバンの少女−は、何度でも挑戦したくなる魅力ある絵だ)

 それ以後私もそんな方法を使って肖像画を描いているが、これで「似させる」ことがずっと楽になった。オランダの画家フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の素晴らしい表情に魅せられて、これまでに何枚か模写した例を挙げると…。補助線のおかげで大体の輪郭は似た。この過程をある日本の画家は「客観的な段階」と呼び「これで誰でもお手本と似た絵が描けるのです」と言っている。そうすると、色を施し陰影等をつける段階は「主観的」となるのだろうか?「真珠…」の場合色をつけ完成させた後、額から目はかなり忠実に出来上がったと思ったが、どうしたわけか鼻から下が数ミリ長くなって、顔全体の感じが変わってしまった。それでこれをボツにして、今度はターバンの黄色の部分もすべて描き込んで完成させた。鮮やかな油彩画の頬や目の輝きはパステルの色調ではどうしても達成出来ない。それに全体の明るい表情に似させるにもまだまだ手が届かないでいる。輪郭だけではとても到達できない道のようである。

 娘たちの世代の段階を経て今はもっぱら孫たちの顔を描いている。これまでに何十枚描いただろうか,百枚に達したか?良く撮れた写真をお手本にしているのは以前同様だ。沢山ある写真でも「これだ、この表情だ!」と、まず自らが感激し熱中し霊感を受けなければ決して良い作品は生まれないことが判った。我が家の各部屋の壁にはそんな絵が(ずぶの素人のまずい絵が)あちこちに飾られている。その前で満足しているのは本人のみでまったくおめでたい限りではあるが、しばらくは止めることはないだろう。

2014年12月19日金曜日

加湿器、空気洗浄器


 寒さの訪れの早いここ北西ドイツでは、もう11月の中頃からアパートの暖房が入り始めます。それから数週間経つと…。室内の空気がすごく乾燥していることに気づきます。喉がいがらっぽくなり、空咳が出る、鼻をかめば大きな鼻糞がとれる(尾籠な話でごめんなさい!)。そんな兆候が現れると住民は警告として真剣に受け止めなければなりません。

 「さあ、加湿器の季節よ」と妻が地下室からベンタ加湿器を持ち出し水道の水を入れます。我が家ではこの数年間このブランドの加湿器を使っています。ベンタと書きましたが、このmade in Germanyの器械の正式名はVenta(ヴェンタ)です。しかし日本のインターネットの広告ではベンタであり、こうしなければ日本人消費者に馴染めないのでしょうね。

 ベンタは実は加湿をするだけでなく、それに加えもっと重要な働きをするのです。それは空気中のちり、ごみ、バクテリア等を除去するという働きです。だから、ドイツ語ではLuftwäscher Ventaとなっています。即ち「空気洗浄機ベンタ」で日本語の広告では片仮名でエアウオッシャーという英語表記があります。そうなると冬期だけでなく、暖房機能はないので花粉症の時期やハウスダスト防止のため年中使えることになりますね。

 市場に出ているいわゆる家庭用加湿器には、気化式、スチームファン式、超音波式等いろいろなタイプがあるようです。ベンタはこの内の気化式に当てはまるのでしょうか?とにかく操作は簡単です。別売の洗浄液や、好みによりアロマ液を入れますが、それも毎回ではなく数週間に一度だけ。特別なフィルターは不必要で給水には普通の水道水を使います。クリーニングも容易でおまけに消費電力が少ない省エネ器と宣伝されています。

 他所のお宅で、加湿器から白い湯気が立ち上っているのを目にすると「ああ、良い湿気が部屋を満たし湿度を上げている、健康に最適だろうな!」と思ったことがあります。一方ベンタからはそんな目に見える湯気は出ず、モーターの回る音しか聞こえません。上に手をかざしても熱くも冷たくも感じません。本当に何か起こっているのか、と不安になりますが、しばらく時間が経ち湿度計を見ると室内の湿度が確かに上がっているので、ちゃんと機能していることが判ります。外から入って来た人が「ああ、すごく良い空気!」と驚嘆していました。

 
 これまで5リッターと7リッターのものを寝室や書斎に合計3台使っていましたが、今年は広い居間とダイニング域のためにドラムがダブルの10リッターのものを新規購入しました。数年の間にいろいろ新しくなり、モーター強度も電気表示になり、給水時を知らせる赤ランプもついています。お値段は交渉した結果300€を少し切りました!同じ量販店でスマートTV、ルンバ、アクティフライ等を買っている良い顧客であることが店のコンピューター記録に残っていた結果でしょう。日本ではこのタイプは7万円以上しますが、輸入品では円安ユーロ高の今は致し方ないのでしょうね。

 良いことづくめのようなことを書きましたが、ご覧の通り床にドンと置かれた4角い箱型の造りはスペースも取るし魅力的とは言えないかも?「シンプルな構造」と謳っているけど、30年前の形をそのまま踏襲しているのでしょう。ダイソンのハイジェニック・ミストやその他の社(シャープ、ダイキン)の製品等のすごくモダンなスタイルに比べるといかにもドイツ的な堅牢な造りですね。

 10リッター器を数日つけた結果室内湿度が55%を超え60%に近づいています。ところがどうしたことか、昨夜から喉が痛くなってきました。風邪かな?いくら自宅の部屋の湿度を上げ健康的な空間を作っても、外から風邪ビールスを持ち込んで来てはどうにもなりませんね!気をつけましょう。

2014年12月17日水曜日

手作りのプレゼント


 クリスマスが近づくとあれこれプレゼントを贈る人のことを考え、夜もおちおち安眠出来ません。孫たちを初めとして、おばさんフレンドや若者ガールフレンドをわんさと抱えるこの「不良じいさん」の悩みは大きいです。

 マーケットに出かけ買ってしまえば簡単ですが、どうもそういう気になれません。受け取る人の気持を考えると、やはり手作りが一番ではないでしょうか。それで、秋から始めた「裁ほう上手」のボンドを使い、この数週間いろいろ作りました。


 ごらんの通りキャラメルポーチとか、マチ付きバッグとか、同じものがいくつかできました。作る方は一人でも受け取る方はそれぞれ違う人なので、こっちが同じものを作っていることはわかりません。それに同じものをくり返し作っていると、段々コツが判り上達します。前の失敗をくり返さずもっと上手に作れるようになるからです。

 キャラメルポーチは小さいながら、なかなか難しい作品です。まず生地に製図を描くところから苦労します。それに加え、キャラメル折りにしてあちこち貼って満足のいく形にするのは並大抵のことではありません。でもこれは20cmのファスナー1本買えばできます。一方バッグ類は力シメ、ナスカン付き革ひも、マグネットホック,各種角カン、差し込み錠等々が必要です。でもここの町ではデパートでもホビーの店で何時間さがしても、そんなものはおいそれと見つからないのです。

 マグネットホックはやっと見つけましたが、本にあるような12mm14mmはなく大きな19mm一種類しかありませんでした(「大は小を兼ねる」と諦めて使いましたが)。持ち手のための革ひもも見つからず、やっと手に入れたものが、上の赤いバッグにつけた木製ナスカンつきのもので、まあ何とか見られるものになりました。でももう一つの可愛い家のついた小型のバッグには同じものをつけるのは避けたいと思いました。

 デパートで偶然何色かの細い革ひも(長さ1m)を見つけた時、これを赤・黒・ベージュの3本束ね三つ編みにして持ち手にすれば素敵なものになるのでは?と思いつきました。しかし編んでみると、これは「鮮やかな模様のバッグ本体に合わないわ!」という妻の反対に遭いました。彼女はモノトーンにしろと言うのです。その助言を入れてベージュを6本買って、太くするため二重にして3本ずつ持ち手に編んでつけたのがこれで、とてもいい感じに出来上がったと満足しています。やっぱり彼女の主張は正しかった、と脱帽した次第です。

 さてさて、後1週間ばかりの期間にもういくつプレゼントが出来上がるでしょうか。あまり新しいものには挑戦せず、今まで作った経験のあるもので着実にやった方が賢明だな、と考えています。

2014年12月3日水曜日

Japan Rail Pass


 今年の日本旅行にはJapan Rail Passを使った。普通車1週間有効切符(その他14日、21日券、グリーン車もある)で値段は29,110円、出国前にドイツの旅行社で引換券をユーロで購入した。それを持って930日に東京八重洲口のみどりの窓口に行き、最終有効日115日までのパスを入手した。

       (東京駅八重洲口の植物をつかったデコレーション)
 このパスは短期間日本旅行をする外国籍の人のためのものである。しかし私の場合がそうであるが、日本国籍を持つ者でも外国での永久居住権(無期限滞在許可)を有する者、外国人の配偶者である者は使用資格がある。

 利用範囲は新幹線を含む日本JRの各線とJR路線バス、フェリーであり、電車はすべて特急券、座席指定券が含まれ、みどりの窓口で希望の列車を伝えればすぐに発券される。但し新幹線はひかり、さくら、こだま、つばめのみに有効であり、のぞみ、みずほには使えない。新幹線時刻表によれば、のぞみ、みずほに比べ本数は毎時平均6:2であるから、利用出来る列車がかなり限られて来る。しかし1週間,新幹線は東京−名古屋と広島県福山まで往復、ローカル線は中央線と南紀線で連日パスを利用した総額を調べた結果60,000円以上になったので、交通実費は半額以下ですんだことになり、ずいぶんと経済的な旅行となった。



("Lonely planet" この900ページにも及ぶ旅行ガイドにも「世界で最大の旅行バーゲン」Japan Rail Passについて詳しく紹介されている)

 快適だったのは運賃が安くなったためだけではなく、パス利用者に対する各駅のJR職員の懇切な応対の態度だった。希望する列車の計画を告げると、すぐに乗り換えから連絡時間まで最善のもの(最速のもの)をはじき出す(時にはプリントアウトして)のは係員として当然だろうが、それに加え当方が乗換駅等はっきりせず迷っている際の提案もずいぶんと助かった。

 尾道から福山経由新大阪までは「さくら」、そこで待ち時間50分後「こだま」に乗り換え小田原までというケースで、こんなことがあった。指定席券には2つの列車名と座席番号が並んで印刷される。「この間新大阪で改札を出られるかもしれませんね。その時駅員がパス以外の切符は取ってしまうことがあり得ます。そうなるとその後の指定席番号が判らなくなるので気をつけて下さい。新大阪以降の指定席券は別に作りましょうか?」と。パス所有者はパスを見せるだけで改札を通過出来るので、その親切な申し出は受けなかったが、そこまで乗客のことに気を配るサービスぶりなのだ!それとは別だが、指定席番号が小さな字で2つ(またはそれ以上)並んで印刷されるこの切符は不便であることは確かだ。往路でそれを読み違えた妻が、正しい席に座っていた人にクレームをつけ恥をかいたことがあった!これだけは改善の余地がある点かもしれない。

 特急券と指定席券はJRパス所有者には無料で発券される、というのが規定である。11月初めの連休3日に名古屋−伊勢志摩−南紀を旅行する時、指定席が取れないかも知れず、また一緒に座れなければ不便だろう、ということで、妹が1ヶ月前に我々二人のためにも特急・指定席券を購入しておいてくれた。当日になって、この料金はパスに含まれるものだから払い戻しの可能性はないものかと問い合わせてみた。名古屋駅みどりの窓口は長蛇の列だったので、有人改札口の駅員に掛け合ったのだが要を得ないまま、発車時刻が迫ったのでそのまま乗車した。ところが検札の車掌が「これはレールパスの方お二人余分に払っておられます。車内では出来かねますが、勝浦駅でお申し出下さい。」と言う。それまでのいきさつを説明し、また購入したのはJR窓口ではなく町の旅行社であったと言ったのだが、「返金可能のケースだと思います。もし駅でダメだと言われたらお許し下さい」ということだった。結果は我々夫婦二人分往復全額で1万円以上の返金がなされたのだ!パス有効期限以前の購入である上、コミッションの問題もあるだろうJR以外のチケットサービスで買ったのに、この太っ腹な取り扱いには大いに感謝した。


 JR係員のサービスに加え、新幹線の列車も、従来の軌道を使うヨーロッパのICEとは比較にならないスピードと運行の静けさ・快適さがあることを再認識した。特に今回山陽路で初めて乗った「さくら」の車両に驚いた。5人掛けで明るい感じの「こだま」も良いが、4人掛けの「さくら」は座席の色も落ち着いて、ICEの1等車をしのぐほどの実に重厚な気分にさせられた。