2014年12月3日水曜日

Japan Rail Pass


 今年の日本旅行にはJapan Rail Passを使った。普通車1週間有効切符(その他14日、21日券、グリーン車もある)で値段は29,110円、出国前にドイツの旅行社で引換券をユーロで購入した。それを持って930日に東京八重洲口のみどりの窓口に行き、最終有効日115日までのパスを入手した。

       (東京駅八重洲口の植物をつかったデコレーション)
 このパスは短期間日本旅行をする外国籍の人のためのものである。しかし私の場合がそうであるが、日本国籍を持つ者でも外国での永久居住権(無期限滞在許可)を有する者、外国人の配偶者である者は使用資格がある。

 利用範囲は新幹線を含む日本JRの各線とJR路線バス、フェリーであり、電車はすべて特急券、座席指定券が含まれ、みどりの窓口で希望の列車を伝えればすぐに発券される。但し新幹線はひかり、さくら、こだま、つばめのみに有効であり、のぞみ、みずほには使えない。新幹線時刻表によれば、のぞみ、みずほに比べ本数は毎時平均6:2であるから、利用出来る列車がかなり限られて来る。しかし1週間,新幹線は東京−名古屋と広島県福山まで往復、ローカル線は中央線と南紀線で連日パスを利用した総額を調べた結果60,000円以上になったので、交通実費は半額以下ですんだことになり、ずいぶんと経済的な旅行となった。



("Lonely planet" この900ページにも及ぶ旅行ガイドにも「世界で最大の旅行バーゲン」Japan Rail Passについて詳しく紹介されている)

 快適だったのは運賃が安くなったためだけではなく、パス利用者に対する各駅のJR職員の懇切な応対の態度だった。希望する列車の計画を告げると、すぐに乗り換えから連絡時間まで最善のもの(最速のもの)をはじき出す(時にはプリントアウトして)のは係員として当然だろうが、それに加え当方が乗換駅等はっきりせず迷っている際の提案もずいぶんと助かった。

 尾道から福山経由新大阪までは「さくら」、そこで待ち時間50分後「こだま」に乗り換え小田原までというケースで、こんなことがあった。指定席券には2つの列車名と座席番号が並んで印刷される。「この間新大阪で改札を出られるかもしれませんね。その時駅員がパス以外の切符は取ってしまうことがあり得ます。そうなるとその後の指定席番号が判らなくなるので気をつけて下さい。新大阪以降の指定席券は別に作りましょうか?」と。パス所有者はパスを見せるだけで改札を通過出来るので、その親切な申し出は受けなかったが、そこまで乗客のことに気を配るサービスぶりなのだ!それとは別だが、指定席番号が小さな字で2つ(またはそれ以上)並んで印刷されるこの切符は不便であることは確かだ。往路でそれを読み違えた妻が、正しい席に座っていた人にクレームをつけ恥をかいたことがあった!これだけは改善の余地がある点かもしれない。

 特急券と指定席券はJRパス所有者には無料で発券される、というのが規定である。11月初めの連休3日に名古屋−伊勢志摩−南紀を旅行する時、指定席が取れないかも知れず、また一緒に座れなければ不便だろう、ということで、妹が1ヶ月前に我々二人のためにも特急・指定席券を購入しておいてくれた。当日になって、この料金はパスに含まれるものだから払い戻しの可能性はないものかと問い合わせてみた。名古屋駅みどりの窓口は長蛇の列だったので、有人改札口の駅員に掛け合ったのだが要を得ないまま、発車時刻が迫ったのでそのまま乗車した。ところが検札の車掌が「これはレールパスの方お二人余分に払っておられます。車内では出来かねますが、勝浦駅でお申し出下さい。」と言う。それまでのいきさつを説明し、また購入したのはJR窓口ではなく町の旅行社であったと言ったのだが、「返金可能のケースだと思います。もし駅でダメだと言われたらお許し下さい」ということだった。結果は我々夫婦二人分往復全額で1万円以上の返金がなされたのだ!パス有効期限以前の購入である上、コミッションの問題もあるだろうJR以外のチケットサービスで買ったのに、この太っ腹な取り扱いには大いに感謝した。


 JR係員のサービスに加え、新幹線の列車も、従来の軌道を使うヨーロッパのICEとは比較にならないスピードと運行の静けさ・快適さがあることを再認識した。特に今回山陽路で初めて乗った「さくら」の車両に驚いた。5人掛けで明るい感じの「こだま」も良いが、4人掛けの「さくら」は座席の色も落ち着いて、ICEの1等車をしのぐほどの実に重厚な気分にさせられた。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。JR新幹線、レイルパス利用など、いろいろ体験されていい日本旅行をされました。ヨーロッパなども、列車の旅行はいろいろあるでしょうが、何回か経験した人はともかく、日本人は列車による国際的な個人旅行は難しいでしょうね。システムと言葉の違いを乗り切れる人はほとんどいないでしょうから。まず駅頭でチケットを買い込むことから困るでしょう。パス型の券をあらかじめ準備していても、困った時、状況に対応できる自信がないでしょうね。貴台などは、日・独・他語もお二人でこなせるのですから、稀なカップルですね。うらやましいです。一般的に日本人の他国への旅行者の7割が中年女性団体かグループと言いますから、無難な群れの中で「行った、、撮った、買った」になるのでしょうか。大阪の山さん

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    1. JRパス利用は今回で3度目ですが、いつも交通費節約の旅をさせてもらっています。それと、ブログにも書きましたが、パスの利用者に対する職員の態度に好感が持てます。「また安い面倒なものを持って来たわい!」というような取り扱いにあったことがないのです。ユーロ利用の日本人にはこちらで出会ったことはありませんが、おっしゃる通り難しい点が多々あるでしょうね。私の知人で今年4カ国通用のそれを使った人がいましたが、交通費で節約できたと言う感じはあまりしなかった、と言っていました。日本でも最近はこのパスの他にいろいろな路線で独自のものを出し始めています。これが外国人旅行者、観光客誘致につながれば幸いです。

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