2013年8月27日火曜日

景観公園と呼ばれるボタ山


 今回のボタ山(Hoheward、ホーエヴァルト)には「Landschaftpark景観公園」 という名前がついています。ただ単なるHalde(ボタ山)では足りない、もっとさらに大規模な景勝を誇る一大公園である、という自負があるからそう付けたのでしょう。ヘルテン、レックリングハウゼン、ヘルネ(Herten, Recklinghausen, Herne)の旧ルール炭田3都市に接し、220ヘクタールにも及ぶ大きな規模を持つこの公園内には、ホーエヴァルト・ボタ山のほかにホッペンブルッフ・ボタ山というのもあるのですが、余りに範囲が広いのでこの日は前者だけを訪れることにしました。

 さて駐車場から152mの頂上までは531段の階段がついています。前回(11日)の経験から大丈夫だ、とふんで一気に登りましたが段差が緩いので割合楽に登れました。驚いたのはその造りで、ずいぶんと費用をかけたものでしょう、途中の階段もベンチもすべて、メタル枠の中に石を詰め込んだGabione(日本の「蛇籠」に当たる)建造になっていました。

 頂上にあるこの太いパイプを組み合わせて造った見上げるように大きな建造物(直径88m)はHorizontobservatoriumと名付けられています。日本語に訳し難いのですが、「水平(線上の)観察所」とでもしておきましょうか。天文学の詳しい知識がないのであやふやですが、パイプの下にある円形の真ん中に人が立っていろいろな方角から観察すると、天体の諸現象(夏至、冬至、昼夜平分時、日の出、日没の時間等々)が分かるということらしいです。太古の時代、石を積み重ねて造ったイギリスのストーンヘンジをモダン化した現代版である、という説明が書いてありました。


 ところがこの観察所も今は立ち入り禁止となっています。建造完成の2008年末、これに裂け目が生じていることが判明、その翌年以降、危険防止のため残念ながら誰も入ることが出来なくなりました。写真から2本の突っかいで支えられているのがお判りでしょう。ここまで階段の他に、ゆるやかなジグザグコース(歩行者、自転車別の)がついているので、セグウエイ(平行立ち乗り2輪車)のグループも登ってきていました。この乗り物は面白そうだから私も一度試してみたい、という気が起こりましたが…?

 ここから数百m離れた別の丘の上にたくさんのテントが立っているのが目に入り、音楽も聞こえました。この日(8月24日)は正午から真夜中まで毎年恒例12時間のポップグループコンサートのイベントがある、ということ。道理で早々と場所取りに来た若者の来訪者の多いこと。DJも大音響の機器を準備中、食べ物屋、ビールのテント、それに救急車、消防自動車等々何十台が待機していました。この丘の上には、白い大理石の上に特殊鋼で出来た8.5mの日時計があり、太陽が照る日には正確な時間を知ることが出来るようになっています。当日は薄曇りであったし、コンサート用舞台のテントも邪魔をして、時間を見ることはできませんでした。

 そこから反対側のダラダラ道を通り山を下ります。30分も歩くと裏側の入り口に着きます。そこには自動車道路の上に、鉄鋼を使った165mから成る凝った、一寸東洋趣向の「竜の橋」が架かっており、来訪者がしきりに記念写真を撮っていました。


 とにかく今回のボタ山は、これまで見た中で最大の規模であり、隅々までよく整備された施設を見ると、綿密な計画の後多額の投資をし、年月をかけて建造したものであることが伺い知れました。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。このボタ山には面白い形のオブジェですね。炭田後には、石炭類と石しか残存はないのでしょうか。硫酸系や希少金属の有害なものがないのでしょうか。水に溶け出す、土壌内に残存する問題(公害)要素はないのでしょうね。ドイツでは十分その点、対策しているでしょうね。日本ではそこが大きな問題です。捨てる時は軍隊中心でしたから。何でもかんでも。大阪の山さん

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    1. 山さん、技術関係出身の貴君のことゆえ、質問点が回答に難しい!有害な物質がボタ山から発生した事故というのは、ドイツでは聞いたことがありません。事故の主な原因は、長雨などの影響で山が崩れること位でしょうか。それと自然発火については耳にしたことがあります。
      今まで見たルール地方の10カ所ほどのボタ山(公園)は、それぞれ趣向を凝らしお互いに競争しているようで、今後どんな面白いものに出くわすか楽しみです。

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