2012年5月9日水曜日

ボイコット問題


 今回のサッカー欧州選手権大会は6月初めから約1ヶ月にわたり、ポーランドとウクライナ両国で開かれ多くのファンが楽しみにしていますが、それを「ボイコット」するかどうか(特にウクライナにおいて)が今全欧州で問題となっており、毎日のようにメディアのニュースでも取り上げられています。

 そもそも問題の発端は非常に政治的なものです。前ウクライナ首相のティモシェンコ女史が、在任中職権を乱用し私腹を肥やした罪を問われ、昨年10月懲役7年の判決を受けました。彼女は現在服役中ですが、獄内での健康状態が悪いにもかかわらず、処遇・取り扱いが非人道的である、また看守の暴行も耐えられないと訴え、ハンガーストライキに入ったのです(今日8日でストライキを中断した、というTVニュースが先刻ありました)。

 そのことが外部に明らかになって以来、ドイツを初め欧州各国の政治家たち、特に欧州共同体の代表たちが、ウクライナでのサッカー選手権大会への訪問はしない、というボイコット宣言を行いました。その中にはドイツのメルケル首相をはじめ、欧州委員会バローゾ委員長、レディング副委員長も入っており、オーストリアやベルギー両国政府もこれに同調しています。

 一方政治とスポーツは混同すべきではない、ボイコットは得策に非ず、と主張する声も次の開催国ロシアや、またドイツ内でさえ聞かれます。確かにこのような問題の取り上げ方をすれば、ウクライナの国自体の印象を悪くすることは避けられず、自国での選手権開催を誇りに思い、楽しみにしている一般の市民の落胆も大きいものがあるでしょう。それでなくても、大会開催施設建設の遅れや、大会に便乗する金儲け事業のことも指摘されており、さらにはウクライナ警察機構の暴力性や残忍性がメディアで報告されることが多く、悪いイメージを与えています。大会開始まであとわずか数週間、1ヶ月を切りました。今後この問題がいかに展開して行くか、サッカーファンの一人としても気がきではありません。

 ところで「ボイコット」という語の由来を今朝のWDR3放送で聞き、初めて知りました。それは19世紀末(1880)アイルランドで起こった農地争議で、不在地主のために差配人として行動したチャールズ・ボイコット大尉の申し出に不満をおぼえた農民たちが仕事を放棄した(ボイコットした)ことに由来する、ということです。なるほど、一人の人物の名前から出た言葉だったのですね。その事件後直ちに“boycotter“(ボイコットする)という造語をしたのはフランスのメディアであった、そうです。

(ここに載せたのは、今年はじめから練習し始めた「カリグラフィー」のいろいろな書体で書いた“Boycott“です)

4 件のコメント:

  1. こんにちは、お邪魔します。 ^^
    本当に心配かけ申し訳ございませんでした。

    仕事に追われていたせいか、疲れきっていたので記事を書く元気が中々でませんでした。
    どうやら怠け者のようです。
    テレビも新聞も見ていないのでどんな事が起きているのかさえも知りませんでした。(恥)
    サッカーファンにとってはいたい話ですね。
    一度こういう話が起きると実際に開催されても気分が優れないのでは?
    どういう結果になるのでしょうか?気を付けてニュース見ておきます。

    カリグラフィーは手書きと思えない正確さ!
    素晴らしいです。
    やはり三千男さんは手先が器用なのですね。
    手先が器用=脳の働きが良い
    羨ましいです。

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  2. Miluさん、お仕事のストレスだった由、ご病気でなくて本当にホッとしました。いやいや、決して怠け者ではありません。それが証拠には、あなたのブログのテーマの広さと、活気・エネルギーに満ちた書き方がよくそれを表しています。
    ウクライナの政争と、サッカー大会が重なって、何かおかしなことになっていますね。一番ワリを食うのは一般庶民なんですよね。本当に可哀想です。なんとか盛り上がって欲しいもの、と願っています。
    カリグラフィーは、もうほとんど毎日練習を欠かさないほどのめり込んでおります!ヒューマニスティック、イタリック、ゴシック体等はなんとか出来ていますが、一番細いペンで書くCopperplate(Spencerian)は一筋縄ではいかないので、いつになったらマスターできるのやら?でも、それだけにチャレンジ精神も燃え立たせていますが…。

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  3. 三千男さん。ウクライナ(つい数日前インド人のN君が、日本のローマ字英語にふざけてユークレイナと発音して、これどこだか分かる?と笑っていました)のソ連以来、ロシヤを相手にしてきた政争の歴史が結果としてサッカー大会まで及んでいることに懸念を感じます。ボイコットという語源はそうでしたか。ストライキでも、デモでも弱いと言われる人が数をなして、何かを主張する形態は分かりますが、数が多くなり個々の思い以上に集団強権的になると手段としては、私はあまり好きになれません。出来れば、ボイコット反対の国もあって、サッカーは実現したいものです。昔、日本がモスクワオリンピック・ボイコットへ追従した苦い思い出を思い出しています。大阪の山さん

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  4. 山さん、自分に割り当てられたり、命じられたりした任務や仕事を、何かの抗議の手段として拒否する。その意味においてボイコットもストライキも同じように用いられるのでしょうね。
    ボイコットさんも、まさか自分の名前がこんなことに使われるようになるとは予想していなかったでしょうね。日本語にもこんな例があるのでしょうか?いつ頃だったか、江川投手が巨人入団を果たすため、何かずるいことをやった(違反した)ことがありました。その頃みんなが彼の名前を使って「おいズルいよ、エガワるなよ!」と言っていました。でもこれはもう誰も使わないから、定着はしなかったようですね。

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