2012年12月7日金曜日

ペン、ペン、ペン…


 カリグラフィーをやり始めてから、「この文字はどんなペンを使えばうまく書けるのだろうか」と、ペンに興味を引かれるようになった。初心者用手引きには、先端が平たくカットされた1.52.5ミリ幅のインク溜まりつきペン(そこへ筆かスポイトでインキを注ぐ=2重ペン)を使うよう書いてあるので、それは何本か手に入れて練習用に使っている。後に始めたCopperplateでは、先の極く細いペン(point pen)とオブリーク(斜め)ホールダーを使い5254度の角度で圧力をかけたり抜いたりしながら、太い線と細い線で変化させて書く。

 夏の休暇でドイツ東部のゴータの町へ行った時見つけたのが下の「ガラスペン」。欧州各国の王族、貴族を輩出した町で見つけたからか、とくにハイソサエティ・貴族的(!)に目に写ったのですぐに買った。値段はスタンドつきセットで35ユーロほどだった。

 後日日本のTV番組で「ガラスペン」は明治30年代初期の日本が発祥の地であることを知って驚いた。ガラスの風鈴を作る職人が考えだし、世界に広まったのだそうだ。ボールペンに押されて今では日常実用に使う人は少ないが、飾り物の贈り物として売られており、数千円から高いものは3万円するという。ペン先をインキにつけると毛細管現象ですぐに上がって来て、良いものだと300文字以上書ける。ペン先の加工によるが、かなりきれいな細い文字を書くことができる。カリグラフィー用にはどうだろう?まだあまり使っていないが、時々装飾用の場所に使えるとは思うけど、その他はあまり使い道がないので、今は部屋の飾りとなっている。

 次は万年筆だ。友人のfacebookで知った「ナミキ・ファルコン」というペンで、元々パイロット社が作り輸出用にこの名前がつけられているものだ。そのデモをYou Tubeで見て、ペン先の柔らかさに驚いた。これだけ柔軟なペンならカリグラフィー用に利用出来そうだと思ったのだ。


 早速日本に手配して入手したが、18kのペンはたしかに柔らかくよくすべり書きやすいものだ。しかし後で知ったのだが、上のデモで使ったものは柔軟性を増すためペン先に特殊加工をした極細タイプである。それを極限まで圧力をかけながら書けば、ああいう文字も書けるだろう。でも絶えずそんな使い方をすれば、傷めることは明白だ。私の場合は、細い線は下から上に軽く滑らせて書き、圧力をかける太い線は最小限で止めれば上のようなグリーティングカードは書ける。しかし、やはりこういうペンは、原稿用紙に大きな文字で書く時に最も適しているものだろう。

 伝統的カリグラフィーの2重ペンやポイントペンでは、書く時インキがすぐなくなる(平均で数文字、1行は無理だ)のが問題だ。その点万年筆型はペンにインキをつける作業から解放される。そんな理由から、ドイツのRotring社やStandardgraphでは、ペン先を平たく切ったカートリッジ使用の万年筆型カリグラフィーペン(アートペン)を出しているが、時と場合によればこれらのペンも便利である。

 その他ペン(書く道具)としては毛筆、マーカーを初め、木、竹、紙、金属を使って自分で作るペンがカリグラフィー手引書に紹介されている。これらは特別な文字を書き特殊効果を出すために使うものであり、いつか後日必要となれば参考に出来るだろうが、現在のところ私は、基本的なペンの使用をマスターすることに専念したいと思う。

3 件のコメント:

  1. 小学生の頃は習字も習っていましたが、今となっては書く事が全くなくなりました。
    コンピューターに全て頼った生活、便利は良いのですが味気ない。
    三千男さんの様にペンを選ぶ楽しさや書く工夫をする事は素敵な事ですよね。
    心の余裕も作れるし、これからクリスマスカードや年賀状の制作も楽しいのでは?
    それを頂いた人は幸せになれそうです。
    で、私もと思いたいのですがすっかり下手になってしまったので諦めます。

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  2. 私はお習字というものを習ったことはありませんが字を書くのは好きです。
    心静かにペンを走らせる・・なんと豊かな時をお持ちでしょうか。
    カリグラフィーにはお手本が有りますか?日本のお習字のように教室が有ったり添削の通信教育が有ったりするのでしょうか?
    綺麗に書けたのを額に入れれば一幅の絵のようでしょうね。

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  3. Miluさん、「心の余裕」がいつも得られるのなら良いのですが、インキで指、机、紙を汚してばかり、その度に苛ついている愚か者です。まだまだ無我の境に入るには修業が足りません。クリスマスカードも英・独合わせて10枚は作りましたが、まだ送り出せずグズグズしています。受け取る人はどんな気持ちになるでしょうか?それだけが楽しみです。

    baabaさん、カリグラフィーのお手本は、きっと日本にも沢山本になって売り出されていることと思います。そんな本を買わなくても、「カリグラフィー・パラダイス」というリンクには、歴史から始まり、道具から練習(いろいろ異なった字体を選び)まで素晴らしいものが載っており、私もプリントアウトして参考にさせてもらっています。亡くなった義母はゴシック体を専門に書いており、生前書いた聖書の一節が我が家の額にいれて壁にかけてあります。

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