2012年7月11日水曜日

Occupy運動


 デュッセルドルフの繁華街の真ん中シャドーアルカーデンの横にある、高い塔と赤煉瓦の建物をもつヨハネ教会の中庭に、薄汚いテントを張って若者たちが住み始めたのはいつ頃からだろうか。今朝その辺りを歩いてみたら、テントとスローガンの立て看板はそのまま残っており、数人の若者がポップ音楽を聞きながら踊ったり、雑談したりしていた。

 これは昨年秋ニューヨークのウォールストリート占拠で始まった“Occupy Movement“に同調したドイツにおける運動の一環である、と聞いた。この運動の発端は、社会における経済格差をなくすため、下層階級が一致して下からの改革を目指そうというところにその目的がある。アメリカで掲げた彼らのスローガンは“We are 99%“というもので、上位1%を占める富裕層の資産が増加する中で40%もの失業率に悩む残り99%の国民層の生活は困難となり、経済格差は益々広がるばかりだ。この差別の大きな社会に真の変化をもたらすのは、我々下層階級の一致団結しかないという確信をもって、ウォールストリートで株式市場の取引が開始される時間を狙ってデモを開始したのが20119月であった。

 日本でも昨年“Occupy Tokyo“が起こり、東京電力や経済産業省にデモが行われたことは新聞やTVの報道で読み聞きしたが、その規模は500人ほどの小さいものだったようだ。アメリカでの運動も2ヶ月で下火になったと聞く。

 ヨハネ教会の中庭には丸形の噴水があり、そこから霧のように吹き出される水が美しく、行く度に心癒される思いがする私の好きな散歩場所であった。なぜ教会の中庭を選んだのか?通りの向かい側に当市の証券取引所があるからか?今日行って見ると噴水の水は出ておらず「(君たち)反乱せよ、怒りを発せよ!」(Empört Euch)というドイツ語のスローガンが書きなぐってあった。これは解るが、もう一つのは英語で“Occupy your heart“heartは赤いハートマーク!)となっていたのは一寸理解に苦しむ。「君のハートを占拠する(せよ)」では愛の告白みたいではないか?!

 それはともかく、ドイツでのOccupy運動はアメリカにおけるほど盛り上がらないだろう、というのが一般的な見解のようだ。アメリカに比べ、より進んだ福祉国家であり、失業率もより小さく、インフレ率も最低限に抑えられている、より安定したドイツ社会ではあまりインパクト(強い効果)を持ち得ない、というのが政治学者、経済学者の意見である。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。オキュパイ運動の盛り上がりは、その国独自の経済や職探しの条件によります。ドイツのそれは、まだそれほど区民全体の問題になっていないのかも知れないですね。やはり、深刻な問題だから国民皆のコンセンサスが無言の内に必須なのでしょう。ドイツはそこまで行っていないのかも。大阪の山さん

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  2. アメリカやスペインの社会状況ではなかなかインパクトを持つ運動だ、と聞いていますが、私の見る限りドイツでは盛り上がっていませんね。あちらがやるからこちらも、という便乗主義はどこにもあるようで…。私がいつも疑問に思う点は、こういう運動に参加している若者たちは、通常どんな仕事をしているのか?テントの中でのんべんだらりと飲んだり食べたり喋ったり。実に非生産的な雰囲気です。

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