2012年7月19日木曜日

キルメスがやって来た!



 今年もライン河畔にキルメス(Kirmes)がやって来た。普段は羊が草を食んだり人々が散歩をするOberkassel地区の165,000平米にも及ぶ草原に一大移動遊園地が出現する。

 Kirmes(ドイツ人の発音では「キアメス」と聞こえる)の語源はKirchmesseであり、教会(堂)Kircheが新しく建築された後その献堂のための祭りMesseという意味をもつ。それが例年の記念の祭りとなり、人々が集まって楽しく飲み食いし、またいろいろな遊びを行うようになった。今では教会とはあまり関係のない、ドイツ各地に見られるような移動遊園地と飲食小屋の集まる大規模なイベント「キルメス」となったのである。デュッセルドルフの「ライン河畔最大のキルメス」は今年で111回目の開催となる。

 開催期間は10日間(今年は713日から22日まで)、今日私が行った18日はちょうど中日に当たる。当市のニュースレターによれば、数日の雨続きの悪天候にもかかわらずこれまでに100万人ほどの人出があったということだから、一日にほぼ20万人の人が市内また郊外から訪れたわけだ。天候が少し持ち直して来たようだし、金曜日には恒例の花火大会もあるので週末までには200万人を超すことだろう。

 これだけの人数を運ぶのは主に路面電車とバスで、ライン交通局はいろいろ特典をつけたコンビ切符を一枚12ユーロで売っている。この期間中最終電車は平日0時半まで、週末は午前1時日曜日は2時まで、運転時間の間隔も短くして走らせる。駐車スペースが足りないので、自家用車では来ないようにという注意・警告が町中に張り出されているが、それでも車でやって来て駐車違反をする人が絶えない。これまでに300枚の違反チケットが切られ、70台の車がレッカー車で運び去られたという。

 平日の開始時間は午後2時。私は3時過ぎに着いたが、ご覧の通りのすでにひどい込みようだった。この時間帯は子供連れの家族が多く(ベビーカーも多い)、子供用の乗り物が人気を呼ぶ。そして後期高齢者層の人も驚くほど沢山出て来ており、中には車椅子の人もいる。誰もが楽しそうに大声で話し、笑い、歩き回っているのは、見ていて気持ちがいい。これが夜になると若者の数がぐんと増える。11晩だけでは足りない人のため、ホテルもダブルルーム115070ユーロのオファーをしている所がある。宿泊を延長すればレートはさらに安くなる。

 しかしこれだけの大規模なジェットコースターを初め多くの「絶叫マシーン」類の施設を他所から運んで来て数週間かけて建設し、10日後にはまた解体して移動するわけだが、それでビジネスとして成り立つのだろうか、と人ごとながら心配になる。

 ライン河沿いのこの辺りは、富豪が多く住む1等地で立派なお邸が立ち並んでいる。しかし7月後半のこの時期は夜半過ぎまでの雑踏と騒音で、おちついて家の中にはおられないだろう。お金持ちたちはきっと毎年どこか南の島にでも休暇に出かけて、明るい太陽を楽しんでいるに違いない。

6 件のコメント:

  1. 今年もキルメスの季節ですね。写真ありがとうございます。また各種絶叫マシンに乗りたいですけど写真で我慢します。また、キルメスの語源をご教授いただき大変ありがとうございました。名前の謎が解けました!

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  2. キルメスは今日俗っぽさの極みになっていますが、元々は教会のお祭りでデュッセルドルフでもアルトシュタットのランベルトゥス教会がその本元だということです。そして守護聖人のアポリナリスの記念日が7月23日なので、ここのキルメスの期日はその周辺で行われています。
    絶叫マシーンは本当に怖くて思わず声が出ますね。娘たちが小さかった頃一緒に「海賊船」に乗ったことがありますが、もう死ぬ思いをしました!

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  3. 私が住むヴェルチェッリにも現在移動遊園地が設置され賑わっていますが、私のアパートの直ぐ近くなので大変喧しいです。しかも夜だけ営業・・・
    常識の無い若者が遊園地の帰り0時頃に大声で叫んだり話したり・・・
    2週間の辛抱ですが呆れています。

    そしてこの遊園地、実際に一度も覗いた事がないので、どんな遊具があるのか全く知りません。 ^^;
    ただ、最終日に花火の打ち上げがあり、家のベランダから見る事ができるのでそれが幸いです。

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  4. Miluさん、この類いの移動遊園地の近くにお住まいですか!マシーンの回る騒音と景気付けの耳をつんざく音楽と、人々の叫び声と笑い声…。どんなに大変なのか、よく想像出来ます。私だったら一日も耐えられず逃げ出すことでしょう。
    最終日のベランダから見られる花火だけがその償いとなるとは!プラスマイナスの結果は?
    写真のテーマ探しに望遠レンズつきカメラをさげて出かけはしますが、私は何一つ乗らないし、飲み食いもしないで帰る、キルメスにとって良い顧客ではありません。

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  5. 三千男さん。キルメスという移動遊園はかなり歴史があるようですね。ドイツでもミュンヘンのオクトーバービール祭りに次ぐ国家的なおまつりと聞きました。なぜ固定化して年中この「遊園地」をやらないのかと思いますが。ビールもミュンヘンのおまつりに負けないくらい吞む出店があるのでしょうね。そうすると年中やるとアル中をいっぱい作ることになりますかね。楽しさは暫定期間がいいのでしょうね。大阪の山さん

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  6. 山さん、そうです。長い歴史をもった夏の風物詩となっています。有名ビールの会社がそれぞれ何百、何千の人が入れるようなテントを作って客を呼び込んでいます。
    これほどの規模の遊園地を固定化してやっても、きっと採算は取れないと思いますよ。なにしろ当市の人口は百万に達しない、60万人程度ですからね。

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