2011年10月1日土曜日

小春日和(Altweibersommer)


 ドイツではこのところすばらしい快晴、秋晴れの天気が続いています。今これを書いている9月30日午後6時で気温は26度もあり、さっき自転車で買い物に出かけたら汗ばんだほどの暖かさです。ラジオもテレビも「このところAltweibersommerが続いており、この好天気はまだしばらく続くことでしょう」という天気予報官の報道が続いています。

 Altweibersommerとは?この言葉からすぐに連想されるのは、カーニバルの季節女性たちが無礼講で暴れ回る、あの「灰の水曜日の前週の木曜日」(Altweiberfastnacht)です。Altweiber(年とった女たち?)という前綴りもまったく同じです。そこでいろいろ想像をたくましくして「女性のように、気まぐれに暖かくなり、またすぐ変わる天候を言うのかな」なんて失礼なことを考えていました。

 しかし、権威ある独独辞典を調べてみたら、こんなことが書いてありました。それによると「晩夏に風に吹かれるクモの(巣の)糸」ということです!そうすると、あるドイツ人の知人が説明してくれたように、Weiberは女性とは関係なくweben(布を織る、蜘蛛などが糸をだして巣を張る)という語につながると見て良いでしょうか。蜘蛛が本能から「今巣を張っても大丈夫、雨で壊されることはない。この上天気はしばらく続くから」と安心出来るような晩夏(もう秋たけなわですが)の天候がAltweibersommerなのでしょう。小学館の「独和大辞典」には「(秋になってからのうららかな)小春日和」とか「《単数で》(晴れた秋空にただよう)クモの糸」という説明があります。

 「ドイツでは短い夏の後にはすぐに暗く寒い冬が来ますよ」、と言われて心配していた、今年ドイツへ来た新人たちは、このところの予想外の上天気に「ドイツの秋って毎年こんなにすばらしいのですか!」と驚いたり喜んだり。雲一つない真っ青な空の下、今日の午後カメラを下げて公園やら河畔に行ったら、草の上に寝て日光浴をする人を沢山見かけました。テレビのニュースでは、今の季節では珍しい各地の海岸で水泳、サーフィンを楽しむ人々の姿を写し、「今まで失ったものを取り返すチャンスだ」とばかりに7月8月の悪天候で海岸の店を閉めた人たちがまた商売を再開しています。

 家庭菜園では秋のシンボルとも言うべき白いススキが太陽の光を受け輝いていました。明日から新しい月10月が始まりますが、天気予報は引き続き「雲なしの快晴、週末は28度まで気温上昇」と各地の上天気を約束してくれています。しかしそれもしばらくのことでしょう、日が短くなり、寒く暗い季節が到来するまで、今のうちに大いにこの明るさと暖かさを楽しみたいと思います。

2 件のコメント:

  1. いつもは9月中旬から肌寒くなるのに
    今年はまだまだ温かい日を楽しめそうですね。
    こちらも28度と全く夏の天候です。
    言葉の語源を調べると、楽しいですね。
    私も時々イタリア語で遊んでいます。

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  2. Miluさん
    イタリアもそうですか!今年の秋は本当に明るく、暖かくラッキーですね。
    語源調べはたしかに面白い作業です。西欧の言葉にはギリシャ語やラテン語に起源をもつものが多いことがわかります。イタリア語の語彙の勉強でも、沢山英語から類推できるものがあり楽です。しかしこれは逆で、イタリア語が元でそれが英語に入ったというのが正しいのかも知れませんね。

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