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2014年1月25日土曜日

鉱物(ミネラル)の日



 1月の楽しみの一つは毎年開かれる「鉱物の日」(Mineralientag)です。会場は市内のMitsubishi Electric Halle(過去何十年間はPhilips Halleという名前で知られていた)。ここは展覧・展示会の他、コンサート、バレー、スポーツ、講演会等のための多目的ホールとして市民に親しまれています。

 さて、鉱物(英=mineral,=Mineral)とは一体なんでしょうか。私は地中から採取する天然石の類くらいに考えていましたが、辞書の定義では「地質学的作用により形成される、天然に産する一定の化学組成を有した無機質結晶物質」という難しい説明がされています。鉱物は、 鉱石(英=ore =Erz)とは違うものである、ということを初めて知りました。石炭、石油、天然ガス等々を含む「利益を目的として、(または金、銀、銅、鉛等金属を有利に採取し得る)鉱床から採掘される鉱物」が鉱石なのです。これからは、しっかり区別して使うようにします。

 難しい辞書の定義はともかく、薄暗くした会場に入って先ず目につくのは「天然の無機質結晶体」の数々です。水晶、石英、ざくろ石、蛍石…、名前を教わってもとても覚えきれるものではありません。地中からそのまま掘り出したようなものからチャンと研磨して台座にのせたもの、色とりどりで美しく輝いています。


 次のセクションへ行くと原石は姿を消し、それを使って加工したアクセサリー類の陳列です。ネックレス、ブレースレット、ブローチ、指輪、ネクタイピン、髪飾り等々、 原石を切ったり割ったり磨いたり、すなわち加工して作った商品で 特に女性が競って買いそうな品の数々です。原石の加工は素人でも出来ます。かく言う私もアメリカにいた時、ある工房で体験研磨をしたことがあります。猫目石(タイガーアイ)原石を切ってもらいそれを何時間もかけて削り、磨き、別に買った指輪やブローチの台にはめ込みました。初めてとは思えないようなすばらしい作品が出来ました。

 そんなスタンドには中年から初老の女性、それに子供たちが沢山集まり、あれこれ物色しています。数ユーロから数十ユーロまでで、値段が比較的安いからです。こういうのをドイツ語でHalbedelstein(準宝石、直訳すれば「半分宝石」!)と呼びます。地中から採掘するものでも、宝石の最たるものはダイヤ、ルビー、サファイア等でしょう。最近南アフリカの鉱山で29カラットのブルーダイヤモンド原石が(価値は数千万ドル)見つかったというニュースがありました。それに比べればこの展示会の品は誰にでも買えそうなお手頃な値段です。

 一般の来訪者の他にも、一見してすぐにそれと判る業者の人の姿もありました。スタンドでの質問の仕方から良く判ります。「鉱物の日」(Mineralientag)は別名「鉱物取引会」(Mineralienbörse)とも呼ばれます。留め金がついていない安い、何百、何千本というネックレスが卸され、それに留め金がついてデパートや専門店の店頭に並ぶと付加価値がついて、一体いくらで売られるのでしょうか。

 一つ面白いスタンドを見つけました。ここで売られているのは、写真でご覧の通り、野球のボールほどの大きさの白い石です。その名はゲーティトといい、ドイツ語の綴りGoethit(=ゲータイトGoethite)から判るように、文豪ゲーテの名に由来するものです。彼は文学や政治の分野で活躍しただけでなく、鉱業にも詳しく立派な蒐集(コレクション)を作りました。1809年に初めて発見されゲーテの名をつけられたこの鉱物は、日本語では「針鉄鉱物、水酸化鉱物」と訳されています。



 客が一個選ぶと、おじさんが大きなペンチで二つに割ってくれます。中には結晶が輝いています。子供用には5ユーロから、我々の買ったのは22ユーロでした。我が家の玄関のハロゲンランプの下に置くと、その前を歩く度にキラキラ、チカチカ光り、用もないのに行ったり来たりして楽しんでいます!孫に買った腕輪は3個で10€という安さ!我々庶民にとっては、こんな安価な準宝石で十分ですね。

2014年1月20日月曜日

村上春樹の対談記事


 Die Zeit(ドイツの週刊新聞)18日号の学芸欄に村上春樹との対談が載った。大きな写真入りでほぼ2ページにわたる長いインタビュー記事である。彼の最新の小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のドイツ語訳の発行・販売(19日)がされたのがその契機である。

 この小説の日本発売は20134月で、発売1週間で100万部を売った問題作である。ドイツでは入手困難なため、私はまだ読んでいないが、416日に出た大森望、豊崎由美の書評「色彩を持たない…メッタ斬り!」は電子書籍で読んだため「ネタバレ」はしており、その他の書評等から話の筋は大体判っている。「不可解な理由で4人の親友から絶交を言い渡された多崎つくるの物語。友人との違いは、彼らの名前(赤松、青海等)には色がついているのに多崎にはない。そこから始まった灰色の人生から逃れるために巡礼にでる多崎…」というのが物語の粗筋らしい。

 対談はハワイのホノルルで行われた。村上は現在ハワイ大学の「客員作家」(Writer in residence)として、契約の切れる来年末までハワイに住んでいる。そこでの生活は、午前4時起床、5時間の仕事、その後はジョギング、水泳をする。最近ハワイマラソンで走ったばかり、そしてトライアスロンにも参加する予定だ。そのお陰か、今年65歳の彼の体つきは30代のスポーツマン、顔の表情は40代で通る、と対談の相手が印象を語る。大学での授業はなく時折講演をするだけ。就寝は午後10時、有名になりすぎた日本でのわずらわしさから解放され、一人で独立した平和な暮らしだ。料理もするし、アイロンかけもする、ごく一般的な只の人間ですよ、と彼は言う。但し「書き物机をはなれれば」という条件がついている。

 長いインタビューでは数多くの点が取り扱われており、それをすべてここに紹介することは出来ない。その中で私に特に印象深かった点のみを取り上げたい。それは作家村上春樹の自己評価・自信とでも呼ぶべきものだろう。

 「私は想像力・表象力(Vorstellungskraft)を信じる。そして存在するのはリアリティ(現実)だけではない、ということを信じる。私の作品では、現実と非現実の世界が同時に存在し、相互に依存している。私が机に向かって集中すれば、その2つの世界を出たり入ったりできる。それが私の文学で起きるのだ。私は原始時代の『語り部』のような気持ちを抱いて、悲惨な洞窟内にいる人々に語る。私の周りには霊的なものが漂い、私は手をのべてそれを捉えるだけ。私の役目は洞窟内の人間に悲惨な生を忘れさせることである。そんな語り部の技術を私は習得したのだ。」

 そのような技術をどのようにして手に入れたのですか、というインタビュアーの質問に対し、村上は「只常に真剣に書き続けることにより私はそれを手にした。そうすることにより私の技術は自然に生まれた」と答える。「私にとって書くことは生きる意味そのものだ。書き机の前で私は只の人間から脱しスーパーマンになる。想像力を通して私は何ものでも創造出来る。書くことで世界を救うことが出来るのだ」。そして「一つの物語が読者をより良い人間にしないならば、それを書く価値がないだろう」と締めくくる。

 さて先週発売の「色彩を持たない…」(ドイツ語タイトルは“Die Pilgerjahre des farblosen Herrn Tazaki“で、巡礼の年は複数年、多崎は男性の姓であることを示すためHerr Tazaki−多崎氏の−となっている)は発売翌日に購入、妻は今日読破した。読後感を訊いてみると、「読み易く、良いエンターテーメント(娯楽)だった。人間は自分にないもの(ここでは赤、青、白、黒という色)を嘆かず自信を持って我が道を行くべきだ、というメッセージが伝わった。でも、ノーベル文学賞候補に値するかどうか…?」というものだった。上の「メッタ斬り」では、村上春樹の全作品中でワースト3に入るという酷評だった!さてドイツでもそろそろ読後評が発表されることだろう。どんな評価がされるか、しばらくは新聞・雑誌の文芸欄から目が離せない。

2014年1月14日火曜日

油なしで揚げ物を!(我が家の新家電用品 2)


 「油を使わない『電気フライヤー(揚げ物)器』があるんですよ」、という話を、数週間前行きつけの理髪店で耳にした。フィリップス製で「エアーフライ(Airfry)」(日本語You Tubeではノンフライヤー)という名前、オランダまで行かないと、この町の大手電気器具量販店でも買えない、という。それで先ずYou Tube日本版で調べてみたら、日本ではすでに販売されており(約3万円)、テスト報告も沢山見つかった。日本でこれだけ知られているのなら、隣国のここドイツにないはずはない、と家電店Saturnへ足を運んでみたら案の定、エアフライは何種類かちゃんと売られていた。
             (フィリップス製エアーフライ)
 我が家で料理する時一番困るのは揚げ物である。以前電気を使う揚げ物器はあったのだが、大量のオイルは使う、揚げたあとの臭いと汚れがひどい、そして汚れた油の処理と器械の掃除が大変なので、いつの間にか処分してしまった。でも時には揚げ物は食べたいことに変わりはない。それで、上のような情報に飛びついたわけである。

 Saturn店に陳列されているものは、写真でご覧の通りコーヒーメーカーを一回り大きくしたような形だ。揚げ物料理をするのは全面にある引き出し状の容器の中であり、料理している間は外から全然見えない。結果は「開けてびっくり!」とならないのだろうか、また全く油を使わないで揚げ物が出来るのだろうか、という疑問が生じた。
             (テファル製アクティフライ)
 同じ陳列台にあったのがフランスのテファール社の「(Actifry)アクティフライ」だった。前者に比べこちらの器械は平ぺったい形をしている。そして包装の箱に「スプーン一杯だけで揚げ物を」と書いてある。それに中に入れた料理の材料が透明の蓋を通してみることが出来る。私はすぐにこちらの揚げ物器に惹かれてしまった。大きさは普通の炊飯器の1.5倍はあるが、料理に便利であろうと思い、一番大きい2重型の“Tefal Actifry 2in1“を購入した。
            (フレンチフライの準備と揚げ開始)
 そして数回試しに使ってみて大いに満足している。特に上と下で同時に2つの料理(例えば野菜と肉または魚)が出来る点が気に入っている。先日やったイベリコ豚のステーキとフレンチフライを例にとって説明しよう。2人分のジャガイモ約600グラムのための料理時間は、添付の表から30分と判る。ジャガイモは拍子木に切ってから余分のデンプンを洗い流し、布巾で水分を取ってから下の段に入れ塩を振った。その上に付属品のスプーンに一杯だけサラダオイルを振りかけ、30分にセットした。次に2in1スイッチを押し、肉を焼くための8分をセットした。
         (22分後に上段に肉をのせ更に8分、30分後に終了)
 先ず下段のボテトだけでスタート。ゆっくり回りながらポテトが徐々にブラウンになっていくのが見える。22分経過した所で知らせの信号音がなったので、上段のプレートに肉を乗せスプーン一杯のオイルをかけ再開、8分後には上下同時に完了となる。2in1タイプでは30分と8分をセットすれば、器械が308=22の計算を行い、時間が来れば知らせてくれる。その間料理人はサラダやスープ等他の仕事に専念出来、気になれば時々進行状態が蓋を通して観察出来るのだ。出来上がりの料理は冷めることなくすぐに食べられる。

 今まで肉料理は、ステーキの他にトンカツ(カツレツ風になる)、鶏唐揚げ等をやったが、結果は外側カリカリ中はジューシーとなり、特に肉の味が良い。「今までで最高の鶏肉から揚げね!」と妻も感嘆している。魚も鮭の分厚い切り身が、オーブンやフライパンで焼くよりおいしく出来上がった。このダブルクッキングのための組み合わせレシピーは沢山ついているので、これから徐々に試してみたい。
        (イベリコ豚ステーキとフレンチフライの出来上がり)
 ただ揚げ物と言っても、天婦羅のような衣をつける揚げ物はダメ。それに本体に脂肪分の少ない冷凍の海老フライの出来具合も芳しくない、という。先日久しぶりに本物の天婦羅が恋しくなり、オスト通りの「どん」へ出かけ天丼を注文した。食べ終わったら胸にもたれる感じがした。体が油を使わない揚げ物に慣れてしまったのだろうか?カロリー量を比較すると、脂肪分3分の1から4分の1に減るということだから、メタボで腹回りの気になる人には福音だろう。
              (鶏肉を使った唐揚げ)
 ノンフライヤーの使用テスト報告は日本版You Tubeに沢山出て来るが、アクティフライの方は今の所すべて英語のものだ。後者を使った日本人のブログ報告では、アメリカのAmasonを通して買った、とか書いてある。日本では未発売なのだろうか。やっと数日前楽天で広告を見つけたが価格は2in1タイプ44000円以上がついていた。ドイツでは250€だから、円安を考慮に入れてもこれは少し高めの値段ではある。もう一つ輸入家電用品のリンクで見つけたのは35000円、こちらは順当な値段のようだが…?

2014年1月9日木曜日

ルンバが踊る!(我が家の新家電用品 1)


 数年間、130平米弱ある我が家の清掃をやってくれていた掃除婦のおばさんが、突然来られなくなった。巨大企業のVodafonのビルが完成し、そこに新しい任務が決まったからだ。その後しばらく我々夫婦で分担して、真空掃除機とモップを使って清掃作業をやっていたが、大変な労力と時間が必要であることが判った。いきおい掃除をすることが少なくなり、家の中がなにか不潔になったような、不快感に襲われ始めた。

 ある時偶然ロボット掃除機のことを読み、「解決策はこれだ!」と思った。いろいろな機種が出回っているようだが、念入りに調べて最後にi-Robot Roomba(ルンバ)に決めた。インターネットやYou Tubeに載っている評価が高かったからである。それから数ヶ月使ってみて、まずまず満足している。機種は「ルンバ775」、本当は当時最新の780をと思っていたのだが偶々家電店になく、一つだけ付属品が(複数部屋清掃用の「お部屋ナビ」)少なくなるだけだという話だったので、一つレベル下の775にしたのだ。価格も掃除婦に払う料金の数ヶ月分と同じ額だ(約500€)。
              (基地で充電中のルンバ)
 先ず寝室にホームベースを作り、そこで常に充電を行っている。掃除をするときはCleanボタンを押せば働き始め、終われば自分で基地に帰りまた充電を行うという賢さ。作業の動きが面白い。部屋の中をランダムに縦横あちこち走り回るのは、センサーがゴミを探しながら動くからだ。一番助かるのはベッドの下とかソファーの後側等、人間がやるとなると半腰になったり床に寝てやらなければ出来ない仕事を、ラクラクとやってのけることだ。すべてフローリング(板敷き)になっている我が家では、部屋から部屋へとルンバも仕事がし易い。数枚小さい絨毯は敷いているがその段差は問題なく(2㎝までなら)、スイスイと乗り越えて行く。「ここから向こうは入らないで」(床が片付けてないから、昨日やってまだきれいだ、とか)、と電流の壁を作ることができるバーチャルバリアーという付属品も便利だ。
(フロアーから絨毯の上に)

         (作業範囲を決める赤外線のバーチャルバリアー)
 更に良い点は、人間が側についていなくても勝手に働いてくれること。洗濯機も同じで自動家電機器なら当然のことだが、出かける際にスタートさせておくと、帰宅した時には掃除が終わっていて、ルンバ君は基地に戻り再充電がされている。基地のない部屋では、センサーが掃除終了を感知した時点でストップする。モップでの拭き掃除は妻が担当するが「モップの布につく汚れがすごく少なくなった。作業も短時間で簡単!」と喜んでいる。

(一部屋でこれだけのほこりを吸い取る!)
             (ルンバの裏側:ロールブラシ2本、ゴミ集めの羽、センサーがついている)
 このように良いことづくめだが、難点がないわけではない。ルンバの最大の弱点はコードなど床に横たわる紐やコード状の物体を機械に巻き込むことだ。ある時妻が床に落としていた睡眠用目隠しを巻き込み、途中でストップしていた。それと我が家の暖房器と床の間の隙間とルンバの高さが同じくらいであるので、そこに挟まってにっちもさっちも行かず停止したことがあった。抜け出そうと無理したのか、機械の表面に引っ掻き瑕がついていた(作動には影響ないが)。数回やった後の機械の掃除も割合手間がかかる。人間はこんなほこりの中で生活しているのか、とダストボックス内にたまる量は驚くほどだし、機械の周りもほこりだらけになる。これは宣伝パンフレットでもYou Tubeでも見せない点で、自分で掃除してみて(手についた埃に辟易して)初めて判ることだ。そして充電式電池を初め、ダストフィルターやローラー、ブラシ等各部のパーツは消耗品であり、年に何回か交換しなければならない。使いだしてからまだ短期間なので我が家では買い足していないが、一年でどれほどの追加出費になるのか?
       (暖房パネルの下にひっかかり、身動き出来ないルンバ)
 昨日は廊下と玄関をすませ、一昨日は寝室もやった。さて今日は一番大きい居間をきれいにしようか。ルンバ君がんばってね!。掃除することがこんなに楽しくなるなんて、以前は想像もしていなかったことである。