タイトルにつけたIrrlandはスペルを間違えたのではない。ドイツ語の Irlandはアイルランドの国のことで、全く同じようにイアラントと発音する(英語=Ireland アイアランド)。Irrlandはこれをもじった表記で、この語を辞書で調べても出て来ない。この遊園地の命名者の頭にはドイツ語のirr(e)(=狂った、迷った、とてつもない)という形容詞があったのだろう。ドイツ語にはIrrtum(誤り)をはじめ頭にirrのつく単語はいくつかある。
初めてこの遊園地の名前を耳にした時先ず頭に浮かんだのは、この地方の農作物のことだった。オランダ国境に近いこの町Twistedenの近辺はトウモロコシの栽培地として知られている。ご存知のようにトウモロコシは人の背より大きく成長する植物であるが、この地方では子供たちがその中でかくれんぼの遊びをするのだ。彼らにとってそこは何にも優る「迷路」となる。Irrland(迷いの地・国)という名前をこの遊園地のために選んだ所以はその辺りにあるようだが、実に適切な名称と言わねばならない。事実この園の中には子供たちが遊ぶための沢山の「迷路」が造られている。
学校の休みを利用して、孫二人が初めて姉妹(10歳、9歳)だけで1時間半ICEに乗ってやって来たので、次の日彼女たちを連れてこの遊園地を訪れた。先ず農地を切り開いて造った駐車場には何百何千という車の列、そのほぼ半数はオランダナンバーだ。ちゃんと誘導員がついているのに駐車は無料。そして園の入場料は1人5€という安さに驚く!
中に入って先ず得られる印象は、遊びのための施設に金がかかっていないという点だ。近頃の遊園地は、やれジェットコースターだ、やれバイキング船だ、ウオーターシュートだ、メリーゴーラウンドだと技術の粋をこらした器械で子供たちを楽しませようとする。いわゆる絶叫マシーン類もスリルはあるが、乗ってしまえば数分でおしまい、また次の器械を探さなければならない。一方この遊園地のほとんどの施設は、ウオーターベッド風のジャンピングマットも、麦わらを重ねたトンネルも、小山のようなラバーマウンテンも、ゴーカートも、子供たちが自分の力と体を使わなければ遊べないものばかりだ。観察をしていると、すぐに飽きて止める子は一人もいない。誰もが虜(とりこ)になり、嬉々として遊び、一カ所であっという間に20分、30分が過ぎてしまう。
圧巻は巨大滑り台だ。その足元に飛行場があるのだが、そこにはドイツ航空、オランダ航空の飛行機モデルが置いてあるだけ。電気仕掛けで空中をぐるぐる回るわけではない。子供はその中に出たり入ったりして遊ぶだけだが、面白さに夢中になっている。飛行場の管制塔に見立てたのがこの滑り台で高さ15mはあるだろう。その急勾配を滑り降りるのは一寸したスリルだ。用意された布切れを尻の下に敷かなければ、熱で皮膚を焼くだろう。
来訪者に金をかけさせない、というのがこの遊園地の政策か?フレンチフライとソーセージ(イスラム教徒のためにハラール食も)で1.5€、飲み物1€、それに持参 の肉などを焼くグリル設備が200カ所もあり、そのための燃料3.5€となっている。この日も沢山の人がグリルをしており、良い匂いが辺りに漂っていた。
夏期の楽しみのために、水をふんだんに使った滑り台や迷路もある。この遊園地には「農園の経験」という副題がついているように、山羊、羊、ロバ、ポニー等沢山の小型動物を自分の手で触ったり、ブラシをかけたり、餌をやったりする場所も備わっている。休日の一日を心行くまで楽しめるIrrlandは絶対お勧めの遊園地だ。
三千男さん。このIRRLANDは、迷路、動物園、遊園地なども兼ねているのですね。オランダと接する地域に楽しい国際的な場所があって良いですね。出かけるには、列車?、車?ですか。駅や幹線道路から近いのですか?大阪の山さん
返信削除ディズニーランドをはじめ近頃の大型遊園地に疑問のある者にとって、子供自身に遊ばせるIrrlandは理想的だと思います。ジェットコースター等の瞬時の楽しみより、自分の力で遊び回る遊園地は子供たちにとってずっと自然だと思いました。出かけるには、この町を列車は通っているのかな?我々は車で、アウトバーンでも普通の国道でも行けます。1時間以内の近い場所で、オランダへはマース河を渡れば次の町まで20−30キロという所なので、オランダ人家族の来訪者はすごく多いです。
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