2年に一度ケルンで開かれる「フォートキナ」メッセへ行った。過去10年以上ほぼ毎回訪れているが、今度で何回目になるだろう?その最終日23日は日曜日で、ディーラー達の商談も終わり、来訪者も少なくなると聞いたので、これ幸いとこの日を選んで出かけた。
それでも会場は、首からカメラを下げたアマチュアカメラマンでかなり混乱していた。彼らの持っているカメラのほとんどが大きな一眼レフ方式で、例外なく長く重そうな望遠レンズがついている!中庭で鷹匠が鷹を飛ばしてみせるアトラクションのイベントに一斉にシャッターを切る様子は、圧倒されるほどの雰囲気だった。そんな中でポケットから小さなデジカメを取り出して撮るのは、気恥ずかしい思いをした。
一方、各社のスタンドでは一眼レフの新製品がほとんど見られない。ミラーレスでレフカメラの機能を備えた、「システムカメラ」がトレンドだ、ということだ。以前はどのスタンドにも、大型カメラが何十台も放列を作っていたのだが、今回やっとCanon社のスタンドでそれを見つけ(一列だけだったが)、ファインダーをのぞきシャッターを押してみた。どの機種も速写モードに設定しているらしく、各秒5−10コマは撮れる。以前のフィルムカメラなら標準フィルムで36枚撮りだったから、シャッターを数回押せば一本終わってしまい、フィルム交換に大変なことになりそうだ。デジカメ時代の今のカメラマンの仕事もずいぶんと楽になったことだろう。
すべてを小型化し性能を良くしようとする時代の傾向のためか、この見本市会場も見通しが良くなり、一目でどこに何社があるのかすぐに見つかるのは助かった。以前は各社が城か砦のようなスタンドを作り、大きさを誇っていたことを覚えているが、すべてが小型化し性能の競争となった今日、製品を展示するスペースもスタンドの造りも自ずから変わらざるを得ないのだろう。それに加え欧州全体の景気後退が影響しておりスタンド建設費を節約している、という印象を受けた。以前はレーザービームをふんだんに使い、ガンガン音楽を流しダンサーが踊っていた豪華なステージショーが見られたものだ。
帰る間際に、Leica社のスタンドでしばらくフィルム用カメラMPの説明を聞くことが出来た。今をときめく日本のカメラメーカー各社がほぼ100年も昔から、なんとかこのようなカメラを作りたいものだと師と仰ぎ、目標としてきたライカだ。しかし21世紀カメラ市場の現状は…?改めて述べる必要はないだろう。この日手に取ってみたカメラはボディだけで5000ユーロ、レンズをつければ更に4−5000ユーロ増しの値段になるという話だった。すべて手作りであるのでこの値段になる、と。正式には2009年以来フィルムカメラ生産はしていないというライカ社だから、これは特注品なのか?とにかく、同社のカメラはもうコレクター(蒐集家)用のものであり、アジアには良い顧客が多くいる、という話だった。