旅の2日目(10月11日)は日曜日、ウイーン旅行の目玉「シェーンブルン」宮殿の見学に出かけました。ヨーロッパの歴史を形成した2つの要素はキリスト教と各国の王朝だった、と言われます。その中でも東欧・西欧に及ぶ汎欧州的な統治範囲と700年の長い権勢の期間を誇ったハプスブルグ家の宮殿はこの旅行で絶対見逃せないものです。
ホテルを出て左に曲がるとすぐオペラ劇場、その前に最寄りの地下鉄Karlsplatz駅があります。この日から始まる市内各地区への交通機関のため「ウイーンチケット」を旅行センターで買い入れました(72時間有効で21.90€)。これは博物館、劇場、商店、レストラン等での割引がつき15歳までの子供は無料となる便利な切符です。ウイーンの路面電車はほとんどが古くさい旧式車両のものが走っていますが、地下鉄は駅が明るく、行き先の路線案内も色分けしてあり大変判りやすいです。
日曜で込むだろうと思い早い時間帯に着いたのですが、すでに大変な人の群が長い列を作っていました。我々は30分も列に並んでやっと見学者のグループに加わりました。周囲から聞こえて来るのはドイツ語の他に聞き慣れない外国語,恐らく東欧のチェコやハンガリーの言葉でしょう。この長蛇の列を見ていると、最近テレビでよく見る避難民の列の光景と重なってきました。今日も戦火を逃れ飲まず食わずで、ここからさして遠くない国境を越えてオーストリアに入って来る人たちがいる、一方我々は旅の楽しみのためここに列をなしている、なんと不公平な世界か…、そんな思いが胸を痛め罪悪感に似たものに襲われました。
1400室もあるシェーンブルン宮殿ですがその日のオーディオガイドを使っての見学プログラムは40室、それぞれが特色ある造りと装飾に覆われ,「黒檀の間」、「謁見の間」、「中国の間」等と名付けられています。有名な「鏡の間」は神童モーツアルトがマリア・テレジア女帝やマリー・アントアネット王女の前でピアノを演奏したことで知られています。そんな豪華な部屋の数々も写真撮影禁止なので一枚も撮ることができず、ここに掲載出来ないのは残念です。
ハプスブルグ家が強力となるためとった政策は、各地の王家と結んだ結婚政策でした。そのため「産めよ増やせよ」を実行したため宮殿内にはいつも沢山の子供たちでいっぱいでした。マリア・テレジア自身16人の子供を生んだ女傑でした。そして女の子はローティーンの年齢に達すると世界各国の王家に嫁がされた結果、この王朝の勢力拡大が進んだのです。そんな伝統からか、構内には子供のための特別博物館もあります。うちの孫たちも興味を惹かれそちらにも入場しました。面白かったのは、着せ替え人形よろしく来訪者が自由に衣装を選び王様、女王様、王子・王女様になれる部屋があったこと。そこで皆が衣装をつけ鬘を被りあれこれアクセサリーをもって王族一家になり記念写真を撮りました。
宮殿の外はほぼ1km四方の大きな庭園で,色とりどりの花の咲くフランス式花壇が続き両端は森や迷路の庭、動物園、植物園があります。庭園の端にはギリシャ神話ネプチューンの噴水が高く水を上げ、小高い丘の上には対プロイセン戦役で没した兵士のためのグロリエッテと呼ばれる建築物が聳えたっています。
そこで遅い昼食をとった後、トロッコ風の車両数台からなる観光列車に乗って出口まで帰りました。朝早くから何時間も歩き続けた結果おじいちゃんはうとうとしてしまい、途中この宮殿の名称シェーンブルンの元になっている森の中の「美しい泉」(Schöner Brunnen)の前での説明もほとんど耳に入らず,見逃してしまったのは不覚の至りでした。
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