2015年10月5日月曜日

「魚市?」日和


 旧市街ライン河畔で開かれる「魚市」に久しぶりに出かけてみた。 我々が最後に行ったのはもう何年前のことだろう。今年の開催はこれで4回目になり、良い天気に恵まれた今日の日曜日(4日)は相変わらず大変な人出だった。









 この催し物は15年前の2000年夏に始まったものである。当時私が毎月担当していた「ドイツニュースダイジェスト」(2000617日号)誌の「ドイツ遊歩道」欄に「デュッセルドルフ待望の魚市」というエッセーを書いた。計画したエージェント会社RehinLustの社長に会い書いたインタビューも残っている。

 会場は州議事堂を過ぎ今よりずっと南のハーフェン地区のKaistraßeで、現会場の半分以下の長さだった。最初の開催日72日は大群衆と混乱さで身動きできないほどで、ゆっくり買い物も出来ない状態だったことを今でも覚えている。

 











 エルベ河沿いのハンブルグの魚の朝市の向こうを張り、ライン河を背景にここでも同じような魚市をと計画が立てられた結果、30数店が参加し新鮮な魚を売れる業者8店も駆り出されることになった。その中に私のモロッコ人の友人シャラック氏もおり、当時の彼のやる気満々に溢れたコメントが載っている。曰く「世界各地から最高品質の魚を集め、寿司ブームに乗って寿司バーも出し新鮮なところを握ります。その他フィッシュスープや、ドイツ人の珍重する燻製魚もいろいろ揃えます」。ところが結果はさんざんだった!内陸のこの町は、岸壁に船が着いて魚を運び込めるハンブルグとは異なるのだ。日曜朝に鮮魚を買って帰ろうと思う人は、ここにはまあいないと言っていいだろう。売れ残った鮮魚を持て余した彼の店は2回目以降「魚市」からまったく姿を消してしまった!









 今朝行ってみて再度考えた。「魚市」(Fischmarkt)という名称が果たして適当だろうか、と。混乱を避けるため、何年後かにハーフェン地区からアルトシュタットに移転して売り場面積も店数も数倍に延びたが,今朝見た限りでは新鮮な魚を売っている屋台は、ワインをつけ生ガキを食べさせる店を除き一つもなかった。魚を扱っているオランダ人の数軒の屋台はすべて白身魚やイカリングを揚げて売り、客はその周囲のベンチに座るか立ち食いをしている。パンフレットにあるような生の蛸の脚や貝柱はどこで買えるのか?写真をご覧頂ければ明らかだが、食べ物屋台とその他の商品の屋台との割合は半々となっているのを見た。あれやこれや目にすると「魚市」の看板に偽りあり、と言わなければならないだろう。

 







 15年前の計画では毎月第一日曜日に開きたい、と主催者側は言っていた。 当時「やはり日が長く暖かい時期だけの催しものとなりますね」と訊いた私にエージェントは「とんでもない、各地の蚤の市は冬でもやっているではありませんか。寒い時期でも十分続けられる企画です。上手く行けば1年を通して毎月やるつもりです」と強気でいた。 現状では7月から11月まで月1回(年5回)の開催となっている。後にケルンにまで進出した「魚市」は年4回のみとなっている。開催頻度もこの辺りが限度だろう。

 







 新鮮な魚は買えなくても定着した「魚市」の名は続けて使って行くのか?それよりも「河辺の市」とか「ラインの流れ沿いの買い物を」とかの方が現状に合っているのではないだろうか?また久しぶりにエージェントの女社長さんに会っていろいろ話したい気持になっている。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。デュッセルドルフの魚市に複雑な感情を持つ貴台には「日本の魚市」イメージがあるのかも。ヨーロッパ内陸で新鮮な魚を食べる意識にも多少行き過ぎの感があるのでしょう。新鮮な蛸やホタテの美味しい味を知っている人の不満でしょうか。もともとのドイツ人意識にある「魚」の受容感覚が貴台意識とやや違うのかな?と思っています。心境はお察ししますが。大阪の山さん

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    1. やはり海に面していない所に住む人には,鮮魚の魅力は判らないでしょうね。魚は食べない、見るのもいやだ、という人は周囲に沢山います。
      我が家では、妻の会社の近くに或るギリシャ人の魚屋から週に1、2回は鮮魚を買って来て食べています。蛸もイカもイワシも鮃もほとんどの魚が手に入ります。昨日はなんとHeilbutオヒョウの大きな切り身を買って来たので、合わせ味噌を塗って高温のオーブンで焼きました。このようにして最近では魚料理のレシピー研究も広がっています!

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