今月始め頃から続いた40℃を超える猛暑のため、自然界にも異変らしきことが起こっている。その一例としてキイチゴの異常繁殖があげられる。
ドイツ語ではBrombeereというが、その意味は「刺のある低木に育成するベリー」であり(英語のbramble=刺のある低木、イバラ)、この近辺の至る所に見られる野生の植物である。我々も散歩の時「ああ、今年もキイチゴが大きくなり始めた!」と,夏の到来を感じ、その実が熟すのを楽しみにするのである。
キイチゴの木は数メートル以上にも延び、先ず薄いピンクの花が咲き、それが散ると小さな薄い緑の実を結ぶ。次の段階では実が少し大きくなり色も赤く変わる。数週間するとそれが黒っぽい濃い紫の熟れた実となり採って食べることが出来る。今の時期、上に書いたような、花−緑の実−赤い実−黒い実の変化がすべて一カ所で見ることが出来るので、カメラにおさめて来た。
植物に詳しい妻が「こんなに繁殖したキイチゴはこれまで見たことがない!」と驚くように、今年は異常に沢山の実のついている木があちこちに繁っている。元々この植物の繁り方はひどく厄介扱いされ、ドイツ語で「キイチゴの叢林」(Brombeerdickicht)という語があるほどだ。今夏は道路にまではみ出す繁殖ぶりに業を煮やし、かなりの木を取り払った人も出ている。しかし育成が早く、次の年にはまた生えて来るが、その時は木が生えるだけ。2年目からはまた花が咲き、実が生るのである。
学術語でRubusと名のつく,食べられるノイチゴの類は数え切れないが、キイチゴも散歩の人や子供たちがよく食べている。この植物、バラ科であり採る時は気をつけないと刺がささり痛い思いをする。しかし,最近では品種改良して刺なしのキイチゴもあるらしく、子供の多い私の娘の家の庭にはそれがある。道端に鈴なりに生る季節、遠くから車でやって来て、脚立と鋏を使って大量採集している人を見かけるが、彼らはビジネスのためやっているのだろう。事実キイチゴはスーパー等でも売られている。
妻の実家には庭に自然の叢林があったが、子供たちが採りやすいようにと父親が園芸植物の店で別の苗木を買って来てその根元に植え、低い柵を作りそれに這わせるようにしたので家族全員で何キロも採集したという。その実を母親が煮て、リンネルの布で濾し、それに特別な砂糖を加えパンにつけるゼリー(粒の入ったジャムではない)にしたり、普通の砂糖を入れキイチゴジュースにした、と妻は懐かしい想い出を語る。
この数週間妻は野生のニワトコジュースや、値の下がったイチゴ、アプリコットのジャムを沢山作った。次はスグリ(ヨハネスベーレ、特に黒い種類)のゼリーを計画している。さて今月末ごろからキイチゴの実は黒く大きくなり、採集時期がやって来るが、それでゼリーを作るかどうか?それは,採集に出かける時間が取れるかどうか、またどれだけの量が採集出来るか、にかかっているそうである。
三千男さん。キイチゴの成長(花が咲く から 黒い実)を見守る心の余裕は羨ましいのと自然を愛する気持が伝わってきます。ヨーロッパは今年例年にない高温時期があったようで、暑かったでしょう。今までと同じように自然の風、自然の木立の下等の夏と行けましたか。冷房や扇風機、それに扇子・団扇(はないでしょうが)の必要性はいかがでしたか。お宅での避暑法はいかがでした? 大阪の山さん
返信削除キイチゴはほぼ雑草扱い、我々もこれを見守り、愛でるというような「心のゆとり」は?疑問です。ヨーロッパの酷暑は時にはありますが、毎年のことではありません。冬の雪も同じこと,年によって豪雪となり、交通も麻痺するほどです。
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