つい数日前Immermannstr.とOststr.の交叉点に新しいホテルが建設中であることを書いたが、昨日また驚くべきニュースをRheinische
Post誌で読んだ。それは、同じ交差点の真向かいにある教会(フランシスコ派の修道院)が近々撤去されるという記事だった。
それによれば、この地域の開発は2018年まで続き、修道院跡の4000平米の土地に15階建てのビルとそれに付随する170世帯のアパート、事務所、レストラン、専門商店等の建築物が出現する、ということである。
この修道院はImmermannstr.を訪れる我々日本人には馴染み深い場所である。そこのチャペルでの礼拝に列席したことはないが、正午に鳴り響く鐘の音は懐かしい。裏のドアを出入りする修道服の人、酷寒の時期に一夜の宿を求める人々の列を見かけることも度々あった。
彼らの仕事で特筆すべきものは、100数十人のホームレスの人のため毎日warmes Essen (暖かい食事、昼食)を長年、無料で提供して来たことである。昨日行ってみたら会堂前の聖フランシスコの銅像はすでに取り払われていたので、建物自体の取り壊しはいつ始まるとも限らない。そして新しいショッピングモール等が完成するのは2018年頃までだという。その間修道院側では、続けて食事を提供出来るよう代わりとなる場所をさがしている。この交差点界隈ですでに2つの場所からオファーがあったが、スペースが十分と言えない、と修道院長の抱える悩みは深い。
(聖フランシスコ像が撤去された台座と鐘楼)
それに加え、これまで頼って来たレストラン、ケータリング社、その他の組織から提供される必要な食品(ジャガイモ、野菜、スープの他時折のピザやフリカデレ=小さい肉団子)も、また無料奉仕のボランティア労働力のいずれもが減少の傾向にある。これに対し修道院側で自ら解決策を見つけなければならない状況にある。
(「なにわ」ラーメン店前から見た修道院の建物)
フランシスコ修道会は、21年前に創刊されたホームレス新聞“Fifty-Fifty“(売り上げ金を新聞社と売り手のホームレスが折半するのでこの名がある)を常に援助し、修道院長がしばしば投稿していた。このプロジェクトは、ホームレスの人々に働く喜びと人間としての尊厳を取り戻す仕事として、各方面から賞賛された。我々もほぼ毎月、街路かスーパー前で買って読んでいる。
(Klosterstr.側の塀と修道院の建物)
ところが最近その関係が良くないのか、新聞側が、巨額の資産を手にしている修道会の動きが気になるというような批判記事を書くようになった。町一番の目抜き通りにある4000平米の土地がどれほどの金額で売却されたのか、新聞記事もそれには触れていないので我々には判らないが、膨大な額になるだろうことは想像に難くない。
(昨年末から礼拝はアルトシュタットのマックス教会で行われている)
フランシスコ修道会の規定には,「何ものも所有せず、清貧と謙譲のうちに主に仕え、喜捨を請けることを恥じず、清貧を友とせよ」とある。元来Mendikan(托鉢・乞食修道会)として始まったこの集団が手にした大きな財を、天からの賜物として感謝をもって受け取り、創設の精神に則って今後も他の貧者のために用いるだろう、と信じて止まない。
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