デュッセルドルフ中心部の工事現場は未だにごった返しており、あちこちの通行止めや通行制限のためドライブにも歩くにも難儀する。
しかし、そこからわずか10数m離れた所にKö-Bogenという、すでに完成したすばらしい一帯が現れる。Kö-Bogenについてはこのブログで、建設開始の2012年から13—14年と数回にわたって報告して来た。Bogenの意味は「湾曲、弓形」であり、直線に延びるKönigsalle(ドイツ国内で最も高級なショッピングストリートの一つ)の北端で、Hofgarten公園の池に沿って東に湾曲する地域なのでそう命名された。
そこに立てられた5階建て高さ26mの建築物は、カメラを持ち歩く人間なら必ず、またふらりと立ち寄る人でも思わず目を惹かれるであろう。公園側から眺めると、先ずランダムに(無作為に。デザイナーには作為があるのだろうが!)並べられた窓の黒と壁の白の色のコントラストに驚かされる。それは平面だけに終わらず、所々鋭い切り込みが作られ凹凸の面白い変化と、えも言われぬ不思議な効果を与えている。そこには木が何本か植えられているが、同じような高層ビルの切り込み部に生きた木を植えた例を私はニューヨークのあちこちで目にしたことがある。ニューヨーク在住でここのプロジェクトを引き受けた建築デザイナーDaniel LiebeskindはKö-Bogenにもそれを用いたのかも知れない。とにかく何か芸術作品にも似たファサーデ(正面)をもつ建物であるので、「これは美術館でしょうか?」と訊く人もいるほどだ。
縦縞模様が水に映り、白鳥が泳ぐ、新緑の緑の樹々の下で人々がベンチに座りゆったりと春の日差しを享受する…。そんな楽園が出現したことを市民は歓迎し心から喜んでいる。
地下鉄開通までは路面電車が走る建物の反対側(南側)は一変して曲線の連続である。そこには高級服飾店、宝石店、カフェーにレストランがあり、いくつかのオフィスも入っている。2013年には全店営業開始の予定であったが、開店間際に火災があったため(反対派の放火だった、と報道された)、2014年まで延期された。開店早々我々夫婦も入ってみたが、余りに高級思考で高価な商品ばかり陳列されていたのでその後はずっと敬遠していた。
今回写真撮影の後、半年ぶりにBreuningerショッピングモールに入ってみた。ここの雰囲気は、東京のデパートで言えば特別階のそれで、世界的有名ブランドを売るテナントがずらりと並んでいる。でもスペースが小さいため一店の規模が小さく、窮屈そうな感じがするのは否めない。男性服装専門店のThommy Hilfigerできょろきょろしていたら、色褪せもダメージ加工もしていない、きれいなブルー色のジーンズが目についた。100€のものが30%値引きされていたので早速買ってしまった。高級ショッピングモールでも、定期的に特別セールをしてくれれば庶民も入りやすくなることは確かだ。ここのApple Shopだけは出かけることがあるが、これからはその他の店も時々入ってみることにしよう。
三千男さん、街の快適な建造物の改築や近代化は、誰にも新しい世紀、時代の到来を感じさせますね。一方、懐かしさが残る戦前戦後の古びた町並みは過ぎ去っていくのですね。幾らか旧いノスタルジーな心理が残る我々世代には、寂しさも残るでしょうね。新しい街を作るには近代的で、美的で、便利で、長期計画ドイツらしい進め方の裏で、懐古、保存、調和等の葛藤もあって当然検討されたのでしょうね。大阪の山さん
返信削除建築物というものは、時間が経つとその老朽化がものすごく目立つものですね。そのため時々整備する必要が生じる。財政的にそれが不可能な場合どんな状態になるか、統一前の東ドイツの都市(ライプチヒ、ドレスデン等)の哀れな様子を思い出します。伝統的な古い建物をそのまま維持することは、予想以上に経費のかかるもので、改装する代わりに歴史的価値の多きものは除き、取り壊し新築した方が安上がりにもなるそうです。デュッセルドルフでも、古いバロック風の城(大邸宅)や美術・博物館を何年か毎に改装しながら維持しているものもありますが、その他は取り壊し新築のケースがずっと多いです。特に町のビジネス街では,実用性、便利性、また審美性(バランス維持)の観点からも、ビルや建築物のモダン化は避けられないようです。
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