7月26日(土)は全員でOxfordへ遠出をしました。旅行の前から娘と配偶者、孫たち全員に「おじいちゃんの勉強をした大学を是非見せたい」と、ほぼ命令調で宣言し旅程に入れていたのです。
Vicotoria駅前にはOxford行きのバスが沢山並んでおり、20分毎に一本出ます。我々のバスは、市内こそ渋滞に巻き込まれましたが、高速道路に乗ってからは、緑の草原と夏麦の黄色く熟れた快適な風景を窓外に見つつ、1時間半で目的地に到着しました。
(Tom Tower, Christ Church)
最初の見学は私のTutor(個別指導教官)の住居があり、1968-72年まで4年間通って勉強したcollegeであるChrist
Churchでした。当時Oxfordの他のcollegeには故三笠宮寛仁親王や元総理大臣の麻生太郎氏も留学しておられ、時々姿をお見かけしました。現皇太子や秋篠宮の留学は80年代になってからのことです。
(Christ Churchの庭と食堂の建物)
バスを降りると通りに面したTom
Towerが懐かしく目に入ります。その頃この塔の下から誰でも自由に入ることが出来ましたが、今では閉鎖され構内に入るには、ぐるりと庭の方に回り入場料を払わなければなりません。
(Christ Churchの中庭)
Tutorとかtutorialはオックス・ブリッジ両大学の特別な教育方法です(最近では他の大学でも採用している)。入学すると各学生に指導教授が決められ、毎週(大学院生は隔週)その先生の前で自分の用意した論文(エッセーと呼んでいる)を発表し、それについて質疑応答するという個人教授なのです。私も論文完成まで、このChrist Churchにお住まいのRegius Professor(欽定教授)Greenslade博士のご指導を受けました。先生には学問上の指導だけでなく、クリスマスにはご家族との食事にお招きいただき、個人の生活上もいろいろお世話になりました。
(Tutorialの行われた住居の入り口)
カレッジの中庭、Tom Towerから入って右側一番奥の住まいがそれです。しかし、今では毎日何万と訪れる観光客に荒らされるため中庭には入れず、そのドアの前にも行けません。記念写真は撮りたし、はたと困りました。それで監視人のお兄さんに話しかけました。「かくかく、しかじかの者です、なんとか写真を撮りたいのですが」と。事情が分かり「次には卒業生証を持って来て下さい」と言われましたが、すぐに許可が下りました。証明書提示で入場料も免除されるとか!
(Christ Church, dining hall)
カレッジの建物内部は、孫たちにも興味深かったようです。特に学期中先生と学生がガウンで正装して食事する食堂は、ハリーポッターの世界そのもので圧巻でした。しかし、昔講義を聴いた旧い部屋が土産物店になっていたのには悲しくなりました。とにかく夏休み中でもあるのでしょうが観光客の多いことは驚きで、これでは静かな勉学の場という雰囲気ではありません。
(Christ Church Cathedralと中庭)
午後は、以前日参していた図書館や儀式の行われる講堂の建物を見に行きました。その日はちょうどDegree Day(学位授与の日)だったので、町中あちこちに黒いガウンと白い毛皮のフードをつけた学生が歩き、講堂のSheldonian Theatre(私の入学式もここでした)は入場禁止、中から新学士誕生を祝う拍手が聞こえました。
(Radcliffe Camera 英文学部と神学部の図書館があった)
(式典会場のSheldonian Theatre)
その後は私が4年間寝泊まりしたRegent´s Park College と、時間講師で日本語の漢字、英文和訳、会話を教えていたOriental
Instituteを訪れました。週末のことで関係者の誰とも会うことは出来ませんでしたが懐かしさが胸一杯に広がりました。当時日本語を教えた学生の何人かは日本留学を果たし、大きな本を著したり、NHK外国人による弁論大会に入賞したり、英語で能の脚本を書いて演じたり、立派な成果を挙げました。この大学では3学期制をとっており、各学期は8週間でその後6週間の休暇があり1学年が終わり長い夏休みとなります。だから勉強の期間は年に24週間のみで卒業も基本の学士コースでは3年後となります。短い大学生活だけに学期中の学生は、死に物狂いで寸暇を惜しんで勉強に集中します。そんな学生たちの勉学態度から私は多くを学ぶことが出来ました。
(Regent´s Park College)
(Oriental Institute)
孫たちも将来どこかへ海外留学して大学教育が受けられたらどんなに幸せなことか、学問だけでなく人生のすばらしい経験となるだろう、と考えながら帰路につきました。
三千男さん。懐かしいオックスフォードのキャンパスを訪ねられ、何年ぶりかでしょう。カレッジの集合体でしょうからどこもその近辺はオックスフォードの匂いや建物でいっぱいでしょう。孫たちも将来どこかへ海外留学して大学教育が受けられたらどんなに幸せなことか、学問だけでなく人生のすばらしい経験となるだろう、といわれるようにご自分の体験があればこその期待でしょうね。お孫さんに期待する専門コースは何でしょう。大阪の山さん
返信削除キャンパス(校庭、学校敷地)という語は、オックスフォードやケンブリッジの大学には当てはまりませんね。町中のあちこちにカレッジ(学寮)が散らばり、講義やセミナー、個別指導もそこで行われているので。精々町のほぼ中心に大学管理棟にあたる建物が一つあるだけです。私の娘二人もそれぞれドイツから米国、カナダに留学する機会があり、それが現在の教師としての立場に良い効果を与えています。さて孫たちはどうなりますか?言語の上で、洗練された英語の修辞法等を要求される分野では、やはり外国人学生は不利になるので、専門コースは自然科学の方が学位も取りやすいか、と思いますが?
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