この州では8月の第3週(20日)から新学年が始まりました。長い夏休みの後生徒たちはまた電車やバス、自転車で通学開始です。この日を待ちかねていて、学校の友達とまた会える嬉しそうな顔、勉強があまり好きでない子のうんざりした顔、各人それぞれです。
そして21日は新小学生の入学日でした。今5歳で来月初めには6歳になる孫のユリアも晴れて入学の日を迎えました。でも式は学校ではなく、例年通り先ず8時半に教会での礼拝から始まりました。教会の前に現れたユリアは、嬉しいことにおじいちゃんの縫ったパッチワークのコートを着ていました!この日は突然寒くなり、朝は12度で皆震え上がっていたのです。
この地方ではキリスト教の旧教(カトリック)と新教(プロテスタント)の信者の割合がほぼ半々なので、礼拝も両教会の神父、牧師の二人が分担して行われます。小さい子供とその両親、祖父祖母中心の礼拝ですから時間も短く、またお話の内容も易しいものでした。
その後会場を学校の講堂に移し、そこで上級生による歓迎会が開かれました。歌と演劇によるプログラムは新入生にとって初めての小学校の行事です。みんな嬉しそうな反面、緊張した表情も見られました。
今年この小学校の新入生は40名足らず、A組とB組に分けられ初めての教室に入り机に座り先生のお話を聞きました。その間保護者たちにはボランティアの人たちにより、校庭でコーヒーとケーキがふるまわれました。
丁度11時に保護者入室の許可がおり、初めて自分の子供や孫が小学生として机についている様子に接し皆感動の面持ちでした。
写真でお気づきでしょうが、どの新入生も大きな筒を抱えています。これはSchultüte(学校筒=円錐形)と呼ばれドイツの学校の入学式につきものです。私はアメリカやイギリスに長く住みましたが、それらの国では全く目にしたことのないドイツ独特のものです。材料は厚紙(カートン)、70−80㎝はあるので小さいユリアは圧倒されそうです。中味はお菓子やボンボンが主で、そのためSüßtüte(甘い筒)と呼ばれることもあります。でも最近はお菓子類だけでなく、玩具、クレヨン・鉛筆の文房具、そしてゲームやCDも入れられるようになりました。デパートや文房具店では何ヶ月も前から大売り出し、中味は各家庭で準備します。
この習慣の起源は1810年頃、ドイツ東部のザクセン、チューリンゲン地方だと言われています。元となった言い伝えは「先生(学校)の庭にSchultütebaum(学校筒の木)が植わっていて、その実(筒)が熟れて十分大きくなったら学校に入る時が来るのだよ」というものです。最初は東の地域だったのが、やがて中部ドイツ、そして徐々に南部、西部にも広がり、現在ではドイツ中行われていない地方はない、と言って良いでしょう。円錐形で模様は千差万別、上に布の飾り蓋がついています。ほとんどが市販のものですが、家庭によっては伝統的に自分で作る人もあれば、幼稚園で入学準備のため園児が作る場合もあります。とにかくこのSchultüteを持って登校するのは入学日一日だけ、明日からは新しいランドセルを肩に新しい学校生活の開始です。