2012年11月11日日曜日

両玉縁か、片玉縁か?



 両玉縁か、片玉縁か?このタイトルは一体なんのことか?と思われるでしょう。しかし洋裁をやる人ならすぐにわかると思います。これはズボンやジャケットにつけるポケット口の形なのです。

 寒い気候となって来たこの頃、気がつけば履くための冬用ズボンが乏しい。ブルージーンズは3着ほどあるけど、遊び以外の一寸改まった所には履いて行けない。それで自分で縫うことにしました。ズボン縫いの最初は、腰回りのタックを入れて、すぐに後(うしろ)ポケットに取りかかります。簡単なものはポケット布を裁って丸みを整え、ミシンで直接身頃に縫いつけるだけです。

 私の持っているスーツズボンのポケットはほとんど両玉縁になっています。後ばかりでなく前の脇ポケットまで、両玉縁にして縦につけているものもあります。専門家が縫ったもので、どれもきれいな仕上がりで、何を入れても型くずれすることがありません。それで自分も先ず両玉縁で作ってみたのですが…。いろんな厚さの余り生地を使い練習をした結果、一応形としては見られるものが出来たのですが、いざ履いてハンカチや財布を入れると、やっぱり素人仕事の悲しさ、形がダラリと崩れてくるのです!これなら片玉縁の方が良かったのか?

 そんな時偶然You Tubeで「片玉縁ポケットの製作」というのを見つけました。なんと4部に分かれ、全部で50分以上になる長いものです。動画は部分的に冗長なところもありますが、全部メモをとり大いに参考になりました。私ならまち針でとめてサッさと縫ってしまう所も、投稿者(男性です)の方はすべてシツケをされます。それだけでなく、矢ばねも口布も糊付してアイロンで乾かす、ポケット口の落としミシンの糸を裏へ目打ちで引き出して結ぶ、という念の入れように感服しました。くり返し言われた「きれいに仕上げるためには労を惜しまないこと」「テイラーの職人さんのやり方はこうなのです」という言葉は印象的でした。外に現れない、目に見えない所まで細かい作業をする時に、素晴らしい結果が得られるのですね。同じようなポケット作りの英語のYou Tube説明が、実に大雑把であることとの大きな違いに驚きました。

 おかげで今度のズボンの後ポケットは、形良くまたしっかりと出来上がりました。これなら型くずれもしないでしょう。これを応用すれば、妻のジャケットのフラップポケットもしっかりしたものが出来ると思います。

 ポケットだけでなく、ズボン前ファスナー付け等その他の部分縫いのためいろいろな動画がYou Tubeには載っています。文字と図だけの説明が書かれた本やインターネット記事とは違い、行程が動画で一つずつ説明されるので実に明解で役に立ちます。洋裁をなさる方に良い参考になるでしょう。ぜひ一度お試し下さい。

6 件のコメント:

  1. 洋裁を生業としていた亡き母がいつも口癖のように言っていたのは「男物は難しい」でした。その「男物」を作ってしまうのですからスゴイ!肩こりと目の疲れにご留意のうえ良い作品を作ってください。そのうち看板を掲げたらお知らせください。

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  2. 「男物」なんていう段階ではありません。ただポケット一つでモタモタしているだけです。ちゃんとしたスーツは本当にすごい縫い方(しっかりと、そして外側も内側もきれいに仕上げ)をしていますね。女性のコスチューム(アルマーニでもケンゾーでも)も同じことですが。
    そう、肩こりと目の疲れはひどくなっている上に、馬鹿な間違いをすることが多くなりました。そろそろ、ミシンをどこかへ上げてしまおうかな、と思うこの頃です。

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  3. 三千男さん。ズボンポケットの調整のお話を面白く読ませていただきました。安っぽい既成ズボンばかり最近は買っています。でもポケットは使いやすい使いにくいがありますよね。前のチャックでもキツイ、使いやすいがありますね。人間工学の世界の大きな課題でしょう。ご自分で一番使いやすい形を追求されることを祈っています。大阪の山さん

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  4. 山さん、市販のズボンも初めからピッタリというものはほとんどありませんね。違和感を持ちつつ、諦めて自分の身体の方を徐々に合わせて行く、というのが常です。自分で縫っても同じこと、でも後で調整が出来る所が強みなのでしょうか?

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  5. 私はお裁縫が苦手で。。。
    でもシンプルなスカートくらいは作れるのですが、縫い目は歪んでいます。 ^^;
    男性のズボン作りは難しいですよね。
    母は自我流ですが何でも作ってしまう人で、子供の頃は彼女が縫った服を着ていました。
    ただ、男性用のズボンには頭を抱えていた記憶があります。
    ポケットだけでもいろんな縫い方があるんですね。
    細かい作業が苦手なので、感心するばかりです。

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  6. Miluさん、
    どんなものを縫うにも、大きい箇所は案外簡単で、ミリメーターの作業は必要ないのですが、部分縫いの細かい作業で優劣が決まるのではないでしょうか?
    今冬用のズボン3着目を縫っていますが、今秋2着の「半分失敗作」の後ですから、失敗点を反省しつつあちこちを改善しています。でもやっぱり出来上がりには満足しないでしょう。

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