先月の半ば頃から Weihnachtsbaum Verkauf(クリスマスツリー販売
)という看板があちこちに見られるようになりました。家庭用のもみの木を売る店です。あと1週間から10日もすれば売り上げは最高潮に達するでしょう。森に自然に生えているものを伐って来るのは許されないので、皆こういう所で買わなければなりません。毎年ドイツで売れる木の数は3000万本に達します。
快晴の昨日、午前中に近所にあるツリー販売店に行ってきました。実はここ植木屋でも花屋でもなく、普段はホテルとレストランをしていて、この季節だけ広い中庭を使いツリーを売っているのです。そこのご主人をつかまえいろいろ質問をしてみました。
家庭用ではほぼ1mから2m半くらいで居間に入る高さの木がその大半ですが、こういう店に出るのはクリスマスシーズンの需要のために特定の場所(約4万ヘクタール必要)で育てたもので、8年−12年位の若木の部類に入ります。気になるお値段の方を訊いて見ると1mにつき22ユーロであとは木の高さによって決まる、という答えが返ってきました。
町の広場や公園、デパート前の大通りに立つツリーは数mに達します。世界で最大のツリーとして評判になっているドルトムントのクリスマスマーケットに1996年以来毎年立つのは45mのツリーで、私も数年前一度見たことがありますが、48,000個のライトで飾られる見事なものです。そんな大木はどうやって運ぶのか訊いて見ると、これは自然の木ではなく、鉄の心棒に1700本の赤トウヒ(Rotfichte)の木をくくりつけて作るのだそうです。
ドイツの子供なら誰でも知っている“O,Tannenbaum“(ああ、もみの木)という歌がありますが、ここにドイツ人がもみの木を愛する気持がよく表れています。1年中青々とした常緑樹であるもみの木は、希望、不屈さ、の象徴であり、人々に勇気と力を与えてくれるものである、と歌います。
キリスト教徒なら誰でもツリーを飾るのかというと、そうでもありません。歴史的に見てこれは異教のしきたりから発生したものであるから我が家では飾らない、という厳格派のクリスチャンも沢山います。私の羲両親(妻の父母)もそうで、その家庭では一度もクリスマスツリーを立てたことがなかったそうです。我が家でもツリーを買ったことはありませんが、信仰のことはさておき、小さい子供のいる家庭ではやはり季節のデコレーションとして魅力的な木ではありますね。
さて毎年3000万本もの古いもみの木は、シーズンが終わるとどう処分するのでしょうか。年が明け1月中は毎週のように使用済みもみの木が道路に出され、町の清掃車が集めて回ります。それは細かく砕かれチップにして火力発電や家庭暖房のために使われます。売れ残りの生木は動物園やサーカスの動物の餌や玩具になるということですから、無駄に破棄されるわけではありません。
三千男さん。30年以前の11月ごろ出張で、アメリカ オハイオ州コロンバスへ立ち寄った時、相手のアメリカ人のお招きでドイツ村で食事しました、レストラン庭にもみの木が販売用に多数あって、クリスマスツリー用でドイツ移民が持ってきた習慣だ、もとは、ゲルマン移動の頃、もっと北方の民族からのもので、ドイツでキリスト教化したとのこと。アメリカでも当初は清教徒などから異教のものと棄避された歴史がある。ここアメリカは商業主義中心だし信教自由の国なので、今はキリスト教の人でもどんどん飾る、と聞きました。その後、NYで装飾がいっぱいの高い大ツリーを見ました。その時、家庭外のツリーはアメリカ人にすれば商売用が80%、宗教用が20%くらいの比率かなと言っていました。日本では、趣旨を知らない90%以上が完全に商売用でしょう。大阪の山さん
返信削除どの時代でもどの民族でも、お祭りに高い木や棒を立てて祝う習慣があったようですね。日本の正月の門松などもその一つかもしれません。
削除今日も町を歩いて見ましたが至る所ツリーだらけで、これに使われるお金の額はいったいどれくらいになるのでしょう?人の目を楽しませ、心をわくわくさせる手段として,今後も廃ることはないでしょうが、年々大きく派手になって行くことに一寸心配しています。