昨日(6月27日)のテレビ・ラジオの天気予報番組では“Siebenschläfer“という言葉がくり返し聞かれた。そのまま訳せば「7人の眠り人」となるが…、一体何のことだろう?
この語は「7人の眠れる聖人」というのが正しく、次のような宗教上の言い伝えによるものである。西暦第4世紀ローマ皇帝デキウスの時代、キリスト教は激しい迫害にあっていた。その頃エペソの町(今のトルコ)に7人の若い教徒がいたが、神は彼らの信仰を良しとし、その身を守るために深い眠りにつかせ、ある洞窟内に匿った。その眠りは200年も続き、446年6月27日になって彼らは初めて眠りから覚めた、というのである。人々はこの日を「7人の眠れる聖人の日」として守るようになった。
それではこの伝説とドイツの天気・天候と何の関係があるのだろうか?ドイツでは「この日(6月27日)の天気が、その後7週間の天気を決定する」という民間の(特に農民の)言い伝えのようなものがある。すなわち、この日が快晴であるならば、8月終わり頃までの7週間の夏の天候は素晴らしいものとなるが、反対に雨ならば不快で低温の冷夏になるだろう、というわけである。7人の聖人の眠りが永く続いたことから、その記念日の天候も長く続く、という共通性を教える言い伝えだろう。しかし本当にそれが起こるのだろうか?
Meteorologische
Singularitätという難しい語があるが、これは「気象学上に見て、一定の季節に必ず現れる気象現象」を指す。そのような現象があるだろうことは想像出来る。しかし6月27日という特定の日の天気がその年のその後の気候を決めるというのは、そのままでは受け入れ難い。実際の所は、この日から7月初めにかけての1週間ほどの気候がそのまま夏中続く(定着する)ことが多い、というのだそうだ。この定着率はドイツでは南部によく当てはまり、統計からすると、ジェット気流(偏西風)の影響で特に南ドイツでは60−70%、ミュンヘンでは80%も同じ天候が続く、という。一方海洋性の気候に影響される北部ドイツではこの現象が起こらない。これなら素人の我々にも理解出来る。
さて今年の6月27日の天気は午前中薄曇りだったが、午後から雨になった!そしてその翌日の今日も朝から雨続きで気温も低い。このままでは余り心地良い夏にはなりそうにないが、そのままずっと続くかどうかは、まだわからない。週末から天気回復そして気温も20数℃に上がるという予報なのでまだ希望が持てる。Siebenschläfertagの悪天候を挽回しなんとか太陽と高温に恵まれた快適な夏になってほしいものである。