5月25日、今年もデュッセルドルフの「ヤーパンターク」(日本の日)がやって来た。今年ですでに12年目である。それ以前にも同じような催しはあったが毎年ではなく、数年に1度であったと記憶している。とにかく当市は日本との良き関係を保つため、今ではこれを年中行事の一つに組み込んでくれている。
例年のプログラムは、メイン広場の舞台で演じられる日本幼稚園、小中学校の園児・生徒や日本クラブの諸グループによるいろいろな演し物である。その様子はローカルテレビ局Center TVが放映するので、聴衆が多すぎて見づらい時でも脇の大スクリーンで独日両語の説明つきで全部見ることができる。
ライン河畔のプロムナードには沢山のテントが建つが、ここは書道、折り紙、活け花、囲碁、着物着付け等々伝統的な日本文化の紹介と実地体験の場であり、訪れるドイツ人は長い列をなしている。今年これがさらに州議会議事堂近くまで延び、日本古来の武芸(柔道、剣道、合気道)のデモンストレーションはそちらで行われたらしい。「マンガ・アニメのブースはあっちの方に移ったわよ!」とコスプレ姿のドイツ娘が大声で叫んで走って行く。
そう、この数年ヤーパンタークはコスプレなしには考えられなくなった。その衣装の凝り方と数は驚くべきもので、Heinrich-Heine-Alleeの地下鉄駅から降りる乗客の3人に1人はなんらかのコスプレ衣装をしている。この町のカーニバルもすごいが、この日は若い男女が主人公であり、さすがに年配の人のコスプレはない!日本の(否、世界の)有名な劇画、マンガの主人公の衣装なのだろうが、その辺に詳しくない者にはさっぱり評価の能力なし、と言ったところだ。
正午から夜まで続くプログラムのため、聴衆もお腹が空く。そのためには市内の何十という日本レストランが出店を開き、寿司、おにぎり、焼き鳥、たこ焼き、焼きそば等々なんでも食べられる。とにかく訪問者は何十万という数に上るので、ここでも欲しい食べ物にありつくまでに長い列を作らなければならない。
この祭りは日暮れと共に終わるものではない。1年で最も日の長い季節だから、すっかり暗くなるのは午後11時近くだが、この時間まで訪問者は根気よくラインの流れを見ながら、踊り、歌い、日本食を食べ、ビールを飲んで待つ。この後お目当ての大花火大会が始まるのだ。これも以前数年に1度の時は、規模も大きく時間も長くやったのだが最近では30分足らずになった。それでもその間に1500発近い花火が250メートルの高さで夜の空を彩る時、岸の観衆からは驚きの溜息と割れるような拍手が起こる。日本人にとっても、自国では許可されない大玉の花火も見られることは、一つの大経験だ。まるで空一杯に広がるような大規模の花火には思わず息をのむ。
数日来低気温と雨模様と報道されていた天気予報がはずれ、少なくとも夕方までは天候に恵まれて、集まった群衆も満足して帰路に着いたことだろう。何十万の人を集めるこの催しはアルトシュタット全体のレストラン、カフェーにとっても嬉しい経済波及効果をもたらしたに違いない。こうして今年のヤーパンタークも無事終わった。
三千男さん。ヤーパンタークの雰囲気が分かります。日本というイメージが数十年前とやや変わってきて、サブカルチャーを主にしたビジネス型よりアニメ型になっているみたいですね。その軽薄さが今の日本の世界的位置づけの実態に近いのかもしれません。喜ぶべきか、悲しむべきか。祭りではしゃぐ若い人は日本を真にどのように見ているのか、知りたいですね。大阪の山さん
返信削除山さん、アニメ=日本=軽薄さ。そんな印象を抱くのは我々高齢者だけで、日本の若い人たちはまったくそう感じていないようだし、こっちで自らコスプレやマンガ・劇画に熱を上げるドイツの若者たちには最高の文化に見えるらしいです。「それは違うのですよ、間違っていますよ」と訂正することも出来ないし…。どうしたもんでしょうね?
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