それは試合の終了間際、後2分を残すだけのロスタイムに起こった。ドイツのブンデスリーガHerta BSC Berlin(1部)と2部リーグFortuna Düsseldorfの入れ替え戦が行われた5月15日夜当市のエスプリ・アレーナ(当夜の観客数51,000人)でのことである。スコアは2−2、そのままなら2部のデュッセルドルフの昇格が決まる。ロスタイムは全部で7分あった。この異常に長いロスタイムは、後半にすでに起こっていた発煙筒や花火のグランド内への投げ込みで生じたものだった。
レッドカードで1人減ったベルリンだが、最後まで押しに押していた。もしもう1点入ればベルリンの残留決定とひっくり返るのだ。最後の力を振り絞ってデュッセルがゴールに迫る、それをキーパーが防いだ後ゴールキックに入るところだった。主審が鋭く笛を鳴らす。その時警備員の制止を振り切って、何百(何千?)という観客がグランドになだれ込んだのだ!あと2分は残っているというのに、一体何をやっているのだ?!そのもの凄さは今まで見たことはない(TVのアナウンサーも言っていた)。添付したYou Tubeでご覧下さい。
どうやら審判の笛を「試合終了」のそれと思い込んだ数人が引き金となった(らしい)。それにつられて「歴史的瞬間」(デュッセルの昇格は15年ぶりだ)を待ちかねていたファンの暴走となった(らしい)。群衆心理の恐ろしさとはこのようなものか!とにかく大変な混乱となり、試合は2分を残したまま20分以上も中断された。両軍の監督と選手も安全のため控え室に逃げ込んだ。
どさくさにまぎれグランドの芝生を記念にはぎ取るファンもいたし、両軍のプレヤーの激しい口論もあった。しかしファンは、判定に不満で審判に襲いかかるでもなし、ラフプレーをした相手チームのプレヤーに危害を加えるでもなし、ただ昇格を祝いたくてグランドになだれ込んだのだった(と思いたい)。幸い怪我人は出なかったようだ。
とにかく20分後観客席に戻ったファンは「今後1人でもグランドに入ったらフォルテュナの昇格は取り消しになります」というアナウンスに従い静かに観戦し、なんとか2−2の引き分けで試合終了(2戦合計4—3)となって幕が下りた。 今はこう書いているが、その時の画面を見ていて、昇格が決まるとしても「なんと後味の悪い試合になったことか!」と嘆いたものだ。
こんな結末となったHerta BSCベルリンはサッカー連盟へ「無効試合」か「再試合」の抗議を申し入れる、ということだが、その結果はどう出るか、恐らくそれは通らないだろうが気になるところではある。
凄まじい試合でしたね。今朝、駐在帰りのHさんの書き込みで買ったらしいことだけわかったのですが流石にすごいじょうたいだったことは現地じゃないとわかりませんね。ありがとうございました。そして、フォルトナやったね!
返信削除今日になってもまだ昨夜の騒動の解決には達していないようで、TVニュースによればベルリンが提出した「再試合」の可能性もあるとのことです。
返信削除今シーズンのフォルトゥナは前半無敗ですごい進撃でしたが、後半失速しやっと入れ替え戦の資格に達したという危なっかしい終結でした。フォルトゥナが昇格したとしても、来シーズンは大変でしょう。ドルトムント、バイエルン、シャルヶ等の強豪と対決しなければならず、そのためには優秀選手獲得のための財政的負担も大きくなるでしょうし、とにかく前途多難と言った所でしょうか。
三千男さん。動画での凄まじい試合状況?ありがとうございます。日本では新聞でもTVでも下部リーグでの事だろうと私の知る限り何も報道で伝えられていません。入れ替え戦には地元、フアンとも興奮するのですね。冷静で堅物が多いドイツ国民も事がサッカーとなると、別なんですね。国民性を失うパニックの(地方としての)身贔屓、地元愛はどこから来るのでしょう。身に近い方が勝てばいいという根本は最も小さい(まず初め闘争相手ができる)家族愛なのかなあ。同じドイツ人同志で闘争する(争い合う)この騒ぎには驚きです。大阪の山さん
返信削除山さん、やっぱり地元のチームがいい成績を残してくれれば、住民も大喜びするのは人の常というものでしょう。でも血の気の多いことで有名なイタリアやスペイン(フランスもか?)等ロマンス系人種に比べれば、ゲルマン人はまだ静かな方だ、といいます。特に、ドイツ内でもよその町からここへ来てサッカーを観戦する人は、「デュッセルドルフの観客の静けさ」に驚いて帰ります。
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