「イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った…『わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました』」。このように、聖書の「マタイによる福音書」2章に記されています。この東から来た博士とはいったい誰なのでしょう?
日本の聖書では「博士」となっていますが、そのほかにも「王」(Könige)とか「賢者」(Weisen)とか、「魔術師、神業師」(Magier)という訳もみられます。これにはいろいろな説がありますが、彼らは現在のペルシャあたりにいた星占いの専門家であった、というのが定説のようです。とにかく、夜空に異様に輝く星を見て、これはなにか特別な人が生まれたという徴にちがいない、とはるばる旅をして訪ねて来たのです。明るい星の出現と偉人、英雄の誕生を結びつけることは、洋の東西を問わず行われて来たようです。
教会の聖誕劇では、イエス誕生の場である馬小屋に天使や羊飼いたちと共に、この3人の博士も登場しますが、本当は遠い東の国から着た彼らが到着したのはもう少し後のことだったかも知れません。聖書の博士の記事はすでに3世紀には伝説化されており、人数が3人とされたのもこの頃かもしれません。6世紀に入ると彼ら3人それぞれにカスパー、メルキオール、バルタザールという名前も与えられます。その上、博士は実は4人だったのだが、一人は遅れて来てイエスに会えなかったのだ、という物語(「遅れて来た博士」)も付け加えられました。
教会のカレンダーでは今日1月6日をその記念日としており、ドイツ語ではDreikönigeと呼びますが、ギリシャ語の元の語Epiphanie(顕現)から“Erscheinung des Herren“(主の現れの日)も使われ、日本語では「主の顕現の日」となっています。この日ドイツでは「星の歌手」(Sternsinger)と呼ばれる、博士の衣装をつけた子供たちが町に繰り出し、各家を訪ねて歌を歌いなにがしかの寄付を受けます。この習慣は16世紀に遡りますが、今日ではそのお金は教会を通して、宣教・伝道活動や貧民救済の資金とされます。
今日の夕方、このアパートにも「星の歌手」がやってきました。寄付を受けた後、子供たちはチョークで家のドアや梁に祝福の言葉を書いてくれます。ドイツにお住まいの方なら、きっとどこかで一度はご覧になったことでしょう。今年のは 20 C+M+B 12 となりますが、一々手で書くのは面倒なのか、今日このアパートに来た子供たちは、接着テープに予め白い文字を書いたものを貼付けて行きました。私は、この書き物の意味は、3人の博士の名前で「カスパーC、メルキオールM、バルタザールBがこの家を訪ねた」というのだろうと思っていましたが、これは大変な間違いでした!本当の意味は“Christus
Mansionem Benedicat“というラテン語で「キリストがこの家を祝福されますように」という祈りの言葉だ、ということを最近学びました。
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