2015年3月31日火曜日

帆布バッグ


 昨年11月に尾道の友人R君の案内で「工房尾道帆布」を訪ねました。すばらしく垢抜けした商品が陳列され、どれを見ても欲しくなるような色とデザインです。お店の詳細は次のリンクをご覧下さい。www.onomichihanpu.jp

 このお店で「尾道の想い出に何か欲しいものを選んで下さい。プレゼントします」とR君に言われ妻が選んだのが,この「船型バッグ」でした。ドイツへ帰ってすぐに使い出したら、もう週末の買い物に手放せなくなったのがこのバッグです。

 「帆布」の読み方は「ハンプ」で、R君によれば以前ワープロでhannpuを入れると「頒布」は出ても「帆布」と変換できなかった、ということです。帆布ですからかなりの厚さがありますが、折り畳むと女性用小型リュックザックにすぽりと入る便利さ。そして開くとミルクパック、卵ケース、ワイン瓶や野菜、果物等嵩張るものも、ラクラクと沢山入り運べるのです。












 
 私としては、どんな裁断と縫製をすればこんなバッグになるのだろうか、という点に興味がありました。そこで裏を返して見ると…、いとも簡単!長細い布一枚を折りたたみ脇の二カ所を縫うだけ、後は上部を三つ折り始末し,持ち手をつければ完成、ということが判りました。

 こちらドイツのデパートで帆布に当たるドイツ語でそのまま「“Segeltuch“(帆の布)はあるか?」と訊いたところ、尾道のものほど厚さはないが、良く似たものを見せてくれました。しかし色がアイボリー、ベージュのみで一寸物足りなかったので、別のテーブルで見つけた可愛い模様付きの布を1mだけ買いました。そして少しずつサイズを変えて作ったのがこの3点です。

 これとは別にもう少し薄い布で作ったもの2枚を知人にプレゼントしました。もらった二人共に「買い物するつもりなく出かけふいに思いついても、これを折り畳んで持っているとすごく便利!」と喜ばれています。

 こんなに容易く出来ることに気を良くして、今日また別の生地を買ってきました。これでイースターまでにまた23枚でき上がることでしょう。今回の作品はほとんどミシン縫いをしましたが、ある部分は縫う前にしっかりとめるため例のボンドの「裁ほう上手」を使いました。全体を「裁ほう上手」だけで作れることは言うまでもありません。

2015年3月24日火曜日

どら焼き


 今回は「どら焼き」を作ります。遠く日本を離れていると故郷の懐かしい和菓子の味が恋しくなります。それでこちらに住む駐在員の奥様たちは、現地で調達出来る材料を使い和菓子類を作る工夫をするのです。そうして集められたのが「デュッセル・レシピー」です。

 どら焼きは中でもポピュラーなものです。材料はここに載せたもので簡単に手に入るものばかりです。

 小麦粉(320g)とベーキングパウダー(大さじ2杯)を合わせた後ふるいにかけておきます。

 ボールに卵(6個)、水(240cc)、砂糖(200g),蜂蜜(大さじ4),サラダオイル(大さじ5)の順に入れ、上の小麦粉+ベーキングパウダーを加え、ハンドミキサーでもったりするまで混ぜます。出来上がった生地にふきんをかけ30分ねかせます。

 これを焼くのですが、温度調整出来るホットプレートがあれば170度にセットします。我が家にはそれがないので普通のフライパン(厚めの)を使います。ホットケーキの要領で焼くのですが、これが案外難しい。特に温度が一定にならない間は皮がきれいな茶色にならないし、熱すぎると黒く焦げてしまいます。フライパンは熱くなりすぎたら,その後しめった布巾の上にのせ温度を下げ調整するというホットケーキ焼きのテクニックが必要かも知れません。でも温度が一定になった後はそれも不必要です。


 上の生地の分量で何枚できるのかは、一枚をどれほどの大きさにするかにかかってきます。デュッセル・レシピーでは5060枚となっていますが(どら焼き2530個分),私の場合いつももう数個少なくなります。(今回は23個半!できました)

 最後は2枚の皮の間にあんこをはさむのですが、小豆を炊いて自家製あんこを作れば理想的でしょう。でも、果たしてここで小豆が入手できるのか分からないし、またその手間をかけるのが大変なので市販のものを買いました。いろんな国のいろんな種類のものを売っていますが,私はハシモトの缶詰を使います。その他パウチ、チューブ入りもありますが、上の個数で520gの缶詰がぴったりのようです。缶から出して弱火にかけておきます。

 出来上がったどら焼きはラップに包みました。サイズが画一的にならず大きい小さいができましたが、食べる段にはさしつかえありません。カステラよりこちらの方が好きだ、という若いお嬢さんもいます。焼く作業は、1時間も放っておいて出来上がるカステラに比べ、一枚ずつ大きさに注意しながら焼くどら焼きの方が手間がかかり大変です。

 その他食べたくなる日本の味は多く、イチゴ大福、抹茶ういろう、みたらし団子等のレシピも皆さんの間に行渡っています。それらについては後日また書くことにしましょう。

2015年3月14日土曜日

カステラ焼き


 カステラを焼きます。先ずそのための箱作りから始めます。新聞紙を7枚重ね50㎝四方に切ります。両脇を15㎝ずつ取り半分に折ると7.5cmとなり、これが箱の高さになります。そして真ん中に残る20㎝の正方形が底になります。脇に互い違いに切り目を入れ重ねホッチキスでとめれば箱が完成です。箱の縦横にアルミフォイルをきっちり敷きます。



 カステラの材料として砂糖300g、卵78個をボールに入れミキサーで10分以上混ぜます。その後小麦粉200g、牛乳50mlを温め蜂蜜大さじ4杯を加えさらに混ぜます。お好みによりリキュールや抹茶を入れて下さい。


 上の箱にカステラのたねを流し込み、ゴムベラで縦横に切り空気を抜きます。170℃に熱したオーブンの中段に入れ表面が少し茶色になるまで焼きます。その後160℃に熱を下げ下段におろし約1時間ほどゆっくり焼きます。


 オーブンを開け、手の平で軽く叩きます。まだジュワジュワいうようだったらさらに数分焼きます。十分焼き上がりボンボンという音になったら箱からはずし、粗熱を取ってからサランラップで包みます。平らな板の上に頭を下にして冷めるまで置きます。数時間したらラップをはずし3本に切り、さらに一口ずつに切り分けます。アルミフォイルに包んで保管します。焼きたてより数日置いた方がしっとりとしていい味になります。




 このレシピーは10数年も前に知人から教えてもらい、もう何十回(それ以上か?)焼いたことでしょう。ほとんど失敗はしない簡単なカステラ製法で味も最高、お土産にまた来客に大いに喜ばれます。新聞紙の箱は少し面倒ですが、市販のメタル製ケーキ枠では熱伝導が強すぎてしっとりと焼き上がりません。インターネットに箱の作り方や材料などいろいろバエリエーションつきで出ているので、お好みに合わせてご自分で試してみて下さい。

2015年3月7日土曜日

デミタス・コレクション


 我が家の居間にある食器戸棚。ガラス張りで外からよく見える最高の場所に並んでいるのは,30年以上も集めているエスプレッソカップ(デミタス)でその数は50客を越え,国は欧州、アメリカ、アフリカ、アジアの10数カ国に及ぶ。

 どういう動機で集め始めたのか覚えていない。いろいろな国や町へ旅した時、何か記念になるものをと買い始めたのだろう。それだけではない、町でふと見かけその形や色に惹かれて買ったものもある。蒐集をしていることを知った友人・知人からのプレゼントも、妻や娘たちのおみやげ(パリ、アテネ、ハワイ)もある。かなり値段の張るものも、二束三文のがらくたみたいなものもまじっている。

 数から言えばやはりドイツ製が最多で、マイセン、ローゼンタール,ビレロイ・ボッホ、フッチェンロイター等がある。マイセンの町は東西ドイツ統一直前に訪れた。陶器工場が休みの日であったため観光案内所で「ブルーオニオン」を買ったが、やはり高かったことを覚えている。同じ店に金銀色手描きの見事なカップがあり,当時のDM西ドイツマルクで4桁の値段(1200DM)がついていた!現在の価値では5-600€以上だろうが、小さいカップ1客にしては良い値段だったので買うのは控えた。お馴染み「波の戯れ」はずっと後になってから買ったものだ。

 ローゼンタールは一時芸術家デザインのシリーズを販売していたが、その特長はカップの取っ手の形だった。全部で数十種類はあったろうが、私の手元には4種しかない。有名デザイナーではなくとも、各地で開かれる手工業者のマルクトには職人芸を誇る絵付け師が「世界で一つしかないもの」として自分の作品を売っている。そんなカップは「決して食洗器に入れないで下さい」と注意される。

 







 日本から送られたもの、日本土産にもらったものも数客ある。ラフな釉薬を塗ったもの,素焼きの感じのもの等がある。清水焼としてもらったものは主となる絵が西欧のものとは反対側に描かれていることに気づいた。左利き用かと思ったが、右手でもってきれいな絵を相手側に観てもらう(自分で楽しむより)、という日本的な解釈も出来るな、と思ったが?

 買った時に忘れられない出来事が起こったとか、何か深い印象に残るものを観たりした場合、そのカップは本当の意味での記念品になる。その点各地の有名美術館にあるショップで名画と関連するカップを手に入れることはうれしい(俗趣味だと笑われるかもしれないが)。ウイーンのアルベルティーナ美術館(クリムト)、ワイマール、ゲーテ博物館、先月のデンハーグ,マウリッツフイス美術館(フェルメール)等がその良い例である。ローマ、スペイン広場の階段下の店で、たどたどしいイタリア語で「エスプレッソカップを探していますが、なにか面白いものがありますか、薦めてください」と訊いたのがちゃんと通じ、この写真のカップが買えたのは感激だった。もっともエスプレッソ用より、同じデザインで買ったコーヒー用フルカップ2客の方を毎朝使っているのが現実だが。

 








 
 デミタスの場合、実際に使わなくても飾りだけに買うものもあることは確かだ。カップとして実用的でなくても面白い形・デザインなので購買欲をそそられることがある。ここにあるガラス製カップはプラハで買ったが、「熱いコーヒーを入れたら割れます」と注意された。これはリキュールグラスとのこと。その他のものも、あまりに突飛なデザインなので、エスプレッソを淹れて本当に楽しめるか?疑問である。

 さて家庭でどれほどエスプレッソを飲んでいるか?朝食には欠かさないコーヒーに比べれば微々たるもの、この粉の袋もいつ買って開けたものか忘れるほどだ。従ってカップ使用もあまり頻繁ではない。外で食事した後のエスプレッソは素晴らしい味で、私はデザートなしでこれだけで大いに満足する。家庭では簡易エスプレッソマシーンで作っているが、味の方は残念ながらもう一つだ。精出して長年集めたデミタスも使わずに埃をかぶっているだけでは心苦しい。なんとかもう少しおいしいエスプレッソの淹れ方を勉強するのが目下の課題かもしれない。