週末の7−8日(土、日)を利用して、オランダ・デンハーグにあるマウリッツハイス美術館を訪れた。ホテルは同市の一地区であるスへフェニンゲンにあるクールハウスを選んだ。このホテルは19世紀末創業の老舗で、写真に載せた堂々たる建築物は、北海に面した夏の休暇地として有名なこの地のシンボルとなっている。
チェックイン早々海岸を1時間ほど散策したが、真冬の北海の風の強さと冷たさに身体の芯まで冷やされ悲鳴を上げた。何キロも続く海岸ではブルドーザーが今砂入れの工事をしているが、これは年々海の波にさらわれて少なくなる砂を補給する作業だそうだ。そうしないとやがてこの町の海岸線がなくなり、漁村も商店街も住居地もすべて消滅する危険があるのだ。工事現場に集まるカモメの数と鳴き声に驚く。良い餌が集まっているのか。
ホテルの前から美術館まで市電でわずか数分、停留所を降りたあたりの建物の立派なことに目を見張る。歴史が感じられる古い建物の間を数分歩くと、「マウリッツハイス美術館」に着く。17世紀半ばに建てられたオランダ古典様式代表作のこの建物は、かつてここに住んだ貴族ヨハン・マウリッツに因んで名付けられた。
この日のお目当ては言うまでもなく、ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」で、他はさておき館内の15号室に直行する。やはりその絵の前は人だかりがしていて容易に近寄れない。やっと前に出て数分は無言で見つめ「やっと会えましたね」と挨拶をする!44.5x39cmの絵は想像したより小さく見える。その表情はもう何度も見慣れているのでお馴染みという感じだ。しかし全体の色調は、いろいろな画集で見た印刷されたものよりややくすんで見えた。現代の印刷技術ではむしろ鮮やかな色になるのだろうか。それだけに本物に接して今まで気づかなかった明るさと陰影がはっきりと目に入り、光と影の天才フェルメールの良さを再認識する。
さして大きくない美術館だが,他に「デルフトの眺望」と「ダイアナと侍女たち」があり、フェルメールの作品は計3点となる。特に前者は、人物画がほとんどの彼の作品中唯一の風景画であり、その傑作に用いられた油彩画法の多様さについて、オーディオガイドの説明を聞いて多くを学んだ。後者は彼の初期の作品で、カトリック派に改宗して間もなくの時期に聖書から選んだ宗教的なテーマを取り扱っている。
その他、レンブラント(テュルプ博士の解剖学講義)、ポッテル(雄牛)、ボルヒ(喜ばしくない訪問者)等々17世紀オランダ巨匠の名画の数々を、あたりが暗くなるまでゆっくり半日を費やしながら鑑賞したマウリッツ美術館であった。
帰路館内のショップに立ち寄る。想像していた通り、壁掛けにナプキン、しおりにマグネットピン等「真珠の耳飾りの少女」の絵を使った「みやげもの」が沢山売られていた。何か名画が冒涜されているような感じがしたが、私自身やはり何か記念に欲しいと思い、こんなものを購入してしまった。長年集めているエスプレッソカップの蒐集に加えたいと思ったのだが、許されるだろうか?
フェルメールの名画を生で見られて良かったですね!絵も音楽も「生」の感動は格別ですよね。
返信削除日本でも3月下旬からルーブル展が開催されてフェルメールの「天文学者」など名画の数々が見られるので楽しみにしています。
やっぱり人気の絵の前には人だかり!それでもしばらく待ったら空いてきました。日本の場合列を作らされ、係員が時間を計りながら順送りするらしいですね。マウリッツでは、何度も引き返して観られました。写真撮影も許可されていた!知らなかったのでカメラは預けてしまっていたので、ペトラのスマートフォンでなんとか撮ってもらいました。
削除三千男さん。マウリッツハイス美術館でフェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」を見てこられたとの事、誠にご同慶の至りです。そちらの感謝祭本番前に寒い中を、泊りがけで大変な探求の努力ですね。同時にレンブラントや他の作品や絵も見られたようで良かったですね。レンブラントは、オランダ・レイデンで生まれ、育って、成長後アムステルダムに長く住んだと聞いていましたが、作品の幾らかはデンハーグにも残っているのですね。初耳。大阪の山さん。
返信削除デンハーグまでなら(アムステルダムも)日帰りで美術館詣でができます。片道2時間−2時間半ですから。
削除これでフェルメールは,デンハーグ、アムス(和蘭)ベルリン、ドレスデン(独)で数枚観たことになります。全世界で36(37?)点全部観た日本人女性の書いた本がありましたね。レンブラントはやはり本場オランダでは沢山観られます。
三千男さん、「感謝祭」は訂正。ファストナハトの日本語訳は謝肉祭でした。訂正。大阪の山さん。
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