楽しかった日本旅行も終わりに近づきました。11月5日8時半には向島の民宿を出てフェリーで5分(100円)尾道駅前に着きました。半世紀前の高校時代毎週のように乗っていたこのフェリーは当時「向島渡し」と呼ばれていました。
今回の旅行のためドイツで買って行ったJapan Rail Pass(1週間有効)の最終日が5日です。帰国の飛行機ANAデュッセルドルフ直行便は7日午前11時半出発、6日午後遅くまでに東京に帰れば良いので、パスの使える5日はなるべく長い距離で新幹線を使い、6日は東京までの交通費を最小限に節約しようという計画を立てました。それでほぼ5時間かかるJR尾道−小田原を選びました。旅の最後は箱根観光に決めたからです。尾道駅みどりの窓口の係員は,こちらの希望通りてきぱきと乗り継ぎを決め一番早い列車予約を取ってくれました。レールパスの経済的なこと、そしてどこでもJR駅員・係員・車掌の応対サービスのすばらしいこと!これについては改めて書きたいと思います。
小田原から箱根仙石までほぼ1時間のバスは終始ヒヤヒヤさせられました。運転手は慣れているのでしょうが、この「登山バス」つづら折りの山道をすごいスピードで走り下ります。反対車線は平日にかかわらず延々と続く車の渋滞でほとんど動いていません!「帰路は別の道にしよう」と即断しました。
目的地のホテル「東急箱根ハーヴェスト甲子園」にたどり着いたのはもう辺りが暗くなり始めた頃、その晩は夕食と温泉でゆっくり過ごしました。翌日は早朝から活動開始、ホテルから徒歩でいける範囲に「湿生花園」と「ススキの仙石原」があるのです。
「湿生花園」は川や湖沼の湿地に生育する植物200種中心の植物園です。その他にも草原、森林、高山植物1100種類が見られ、植物の趣味をもつ妻には正にパラダイスです。晩秋のこの季節はやはり、カエデ仲間の種々の紅葉したモミジ、カズラ、そして優雅な紫色のコムラサキ、リンドウを心行くまで楽しめました。
植物園で1時間半ほど過ごした後、また小雨模様となったので急いで園前に停まっていたタクシーで仙石原へ向かいました。江戸時代初期までは千石という地名の村でしたが、それはこの地を開墾して米を作れば千石は穫れるだろうと人々が予想したからです。しかし火山灰土壌の上湿地帯であったこの地ではそれは夢に終わり、結局屋根を葺くカヤ(ススキ)を栽培し近辺に供給販売をすることになった、ということです。
ススキは季節毎にその美しさを表しますが、晩秋の候には見事な黄金色となり、山全体が光る絨毯のようになります。この日は残念ながら太陽は顔を見せませんでしたが、風にそよぐススキの美しさは十分に堪能しました。小雨にもかかわらず観光客の群れは途切れることを知らず、温泉場も多い箱根はやはり日本で指折りの人気観光地であることを改めて認識しました。
雨のため帰路のタクシーは出払って捕まらずホテルまで徒歩で2−30分,昼頃のシャトルバスに乗り強羅まで行き、そこからは登山電車で湯本,小田原を経由し、新幹線は自由席を買って節約、東京へは1時間足らずで着きました。最後の夜はまた以前泊まった銀座クレストンホテル、翌日(7日)成田経由でドイツへ帰ってきました。今回は今までにない、自分の脚を使って歩き、また走り回った実に健康的且つ活動的な日本旅行でした。