2014年9月24日水曜日

Photokina 2014


 今年も来訪者20万人近くに達したケルンのPhotokina 2014が終わった。カメラ、写真業界の傾向はどうなのか?2年前の時にもすでにその傾向はあったのだが、一般の人の持つカメラは少しずつ小さく、軽くなっているという印象を強く受けた。

 ケルンの会場には全世界のカメラ狂が集まるのだから、その中にはもの凄い写真装備をした人も混じる。大きなカメラバッグを背に、両肩に数台の1眼レフ式で長いレンズをつけたカメラをぶら下げた人もいるにはいる。しかし、このT-shirtに表された傾向ははっきりと見られるようになった。



 カメラ重装備で地面に屈むしかなかった人間が徐々に軽装備となり、ついにはミラーレス、交換レンズ可能のカメラ一つで真っすぐ立てるようになった!これを最新式 X-seriesメーカーのFujifilmが、言葉遊びで“Evolution to Revolution“としたのだ。原人からだんだん「発展」(evolution)して,直立人間となれたことは一つの大変革(revolution)なのである、というメッセージを伝えている。もっともこれは、この種のカメラを開発、販売する会社の宣伝であって、EVFのついた新型、新機能のカメラがどんなに便利になり、豊富な画像情報が得られ撮影リズムがスムーズとなっても、被写体の実像が得られるという理由で、やはり以前の1眼レフ形式を選ぶ人は絶えないだろう。これはもう気持の上の感情的なものである。

 反対に、ハンドバッグやポケットに入る小型デジカメの展示がほとんどなかったことに気づいた。置いてあっても関心が薄く、立ち止まる人がほとんどいないのだ。やはり軽量化、小型化がされても、ある程度の新技術をつぎ込んだシステムカメラでないと訴える力が弱いのだろう。

 今回もう一つ目についたこと。それはPhoto Shopに集まって来る若者の群れだった。不思議なことに彼らの手にはカメラがなく、その代わりに皆スマートフォーンを持っていることだった。それはスマホで写した写真をワイヤレスで送りフォートペーパーに焼く装置に惹かれて来た連中だった。どこも長蛇の列となっていたのはメッセ開催中プリント無料サービスを受けられることもあるだろうが、その関心の大きさに驚いた。

 デジカメの普及と反比例して、写真紙に焼き付けることが激減したのだが、今回のメッセで見る限り、そのペーパー需要も少しずつ挽回しているようだ。そのひとつがやはりFujifilmInstaxという製品だ。写してすぐに写真が出来るものとして以前はPolaroidがあったが(今もあるが)、Instaxはその系統の商品だ。最初メーカー側は売り上げ高をあまり期待していなかったようだが、市場に出したら若い層の反応が大きく、今では生産が間に合わないほどに売れているという。画質はあまり良くないし、そんな小サイズの写真をどう使うか疑問に思う私には訴えて来ないが、とにかくその製品ラインアップのバリエーションの豊かなことには驚かされる。

 同じくフォートペーパーの領域にとって良いニュースはフォートブックの普及だろう。従来、写真はフィルムで撮って店で現像・焼き付けしてもらい、そしてアルバムにはって保存、という過程であった。それがデジカメ時代では、データーをラボに送りそれをアルバム(フォートブック)に作ってもらう、ということに変わった。それでも最初は送るデーターを自分で選択・編集するという、手間と時間のかかる作業に泣かされたが、今では何百枚というデータから良いものを選択し(映りの良さ、構図の面白さ等から判断し)それを垢抜けたレイアウトにするまで、すべてを引き受けてくれるようになった。そしてペーパーの質と選択肢(艶あり・なし、シルク、パール等々)の良くなったこと!これは我々消費者にとってすばらしい福音ではある。


 メッセ最終日(921日)ともなるとディーラーの姿はほとんど見られなくなる。各ブースでポーズをとるモデルたちにも疲れが見られた。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。こういう展示会はカメラ狂対象というより、カメラメーカー相互の技術競争という感じですね。まだメーカーの淘汰が完全でもなく、商品系列上、赤字でもなんとか生き残っているメーカーもいるでしょうね。紛れ込んでいるカメラ狂には多い展示は都合がいいでしょう。現在小型化、軽量化はデジカメの範疇からスマフォも交えた複雑な形ですから、様子見の時期なのでしょうか。末端ユーザーは品(精度)よく安価になれば喜ぶ世界ですね。カメラに生活をかける人には問題。メーカーも毎年頭の痛いところでしょうけど。大阪の山さん

    返信削除
    返信
    1. メーカーにとってカメラはあまり収益の上がらない分野だ、とは妻の弁で、彼女の会社も同様のようです。それでも新製品を出し続けるのは面子があるからか?デジカメ技術の発展で小型化し、しかも画質がよくなった写真ばかり見ている者にとって、インスタックスのようなカメラが何故今ぶり返して来たか?不思議です。貴君もたしか同窓会の時に持って来ていましたね。何枚がもらった覚えがあります。未だに使っていますか、それともお蔵入り?とにかくこれからのカメラがどうなるのか、ちょっと目が離せないです。私は今の機器でしばらく満足しているつもりですが、また気が変わるかな?

      削除