2013年10月10日木曜日

風のボタ山


 「景勝公園」のホーエ・ボタ山のことは827日のブログに書いた。220ヘクタールもある膨大な公園にはもう一つ、ホッペンブルッフという名のボタ山があることに言及したが、時間がないので次まで延ばすと書いておいた。今回行ってみて、延ばしたのは正解であったことが判った。ここもかなりの規模の山だったからだ。

 前者の駐車場からまだ数キロ先の後者のボタ山には、登り口に案内掲示板こそあるが階段はついていない。しばらく登ると、歩行者用とマウンテンバイク用の道に分かれる。バイク道とはどんなものなのかと興味をそそられ、ちょっと寄り道して見て驚いた。走るのを難しくするためわざわざ凸凹にしたり、サーカス芸人でも怖じ気づきそうなタイヤ一本分と変わらない細いコースがあったり、ものすごい急斜面から疾走し、そのまま次の山へジャンプさせるような、難度◯◯の道の連続である。一寸失敗し転倒したら大けがでもするのではないか、と心配になる。平日のことゆえ、マウンテンサイクリングする人は見当たらなかったが、一人だけ中年のおじさんが徒歩者用の道を使って走っていた!

 歩行者の道はよく整備されている。10月ともなればドイツはもう晩秋の気配があり、紅葉があちこちに見られる。しばらく登ると前方に、近頃各地でよく見かける風力発電用風車の白いプロペラが見えて来た。後で判ったことだが、そこがボタ山の頂上だったのだ。

 ボタ山はそもそも石炭を取った後の捨て石の山のはず、風雨に曝されているうちに崩れ出したり時には発火したり、日本でも中国、英国等で大きな災害も起こっている。そんな柔(やわ)な場所に見上げるような発電用風車を造るとは!よほど地盤が強化してあるのだろう。


 それに合わせて、風車の前には「風の彫刻」作品があり、風をテーマにしてそれぞれ「風の森」とか「風の物語」とか「風の力」とか題がつけられている。この山上は良い風が吹くのか、その日も地上は微風ながら、風車は大きな音でよく回っていた。頂上からは数キロ先に8月に行った例の「水平観察所」のパイプが見える。

 しばらく休んだ後下山の途中後を振り返ると、いつの間にか頂上にたくさんのヘルメットが動いているではないか。それは別の斜面から登ってきた警察官の一隊だった。記録報告用のビデオカメラを回している女性警官に「いったい何ごとですか?」と尋ねると、警察機動隊の訓練だ、という返事だった。精々100mほどのボタ山はスポーツ選手や警察官のトレーニングにもってこいの場所らしい。

 空腹を抱え下山したが、ホッペンブルッフボタ山の麓にはレストランや軽食店は見あたらない。しかたなくホーエヴァルト山の下にあるレストランまで帰って昼食をとる。ルール地方の郷土料理として有名なCurrywurst(カレー味ソースをかけたソーセージ)は特にいい味だった。おまけにボリュームたっぷりの200g、日本風に言えば「大盛り」である。愛想の良いレストランのおばさんは私を遠来の日本人と思ったのか、デザートを無料サービスしてくれた。

2 件のコメント:

  1. 三千男さん。ボタ山を頑張って登っていますね。今度のボタ山の話で面白いのは、警官(機動隊)の訓練と貴君の訓練が同期している点です。外野(私などの)から言えば、両者頑張れ、腹が減っても休まず頑張れ、でしょうか。後のソーセージは美味しかったようで、良かったですね!。大阪の山さん

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    1. 「訓練」というほどのものではありませんが、今年春の入院、そして退院から半年、体力回復のためにもがんばって出かけるようにしています。効果は上々のようです。
      100mほどの各地のボタ山はローカルの訓練所としてうってつけのようで、よく利用されています。日本でもプロ野球選手が階段の駆け上りをやっていましたね。でもこの日の警官たちはウンザリ気味で、あまり嬉しくなかったようで、女性警官がそのように話していました。

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