一年中で最も日の長いこの季節、ここドイツでは夕食が終わってからでもゆっくり散歩、ジョギング、ウォーキングを楽しむことが出来ます。先日、終日快晴であまりに太陽が美しく輝いた日に、午後8時過ぎから夫婦でストックを手に、ノルディックウォーキングにでかけることにしました。
通常は一人でやるウォーキングですが、妻と歩くとどうも運動に集中出来ません。その理由は…?樹木や草花に関心の深い(そして造詣も深い?)彼女は、すぐに道端に咲く花や新しく出て来た葉っぱの観察を始め同行者に説明をし、あちこちで道草を食うことになるからです。
その日のテーマはキイチゴでした。今の時期道端のあちこちに、人間の背より高いイバラの茂み(叢林そうりん)が見られます。「ああ、キイチゴの花が咲き始めた!」と妻の足が止まり講義が始まったので、お付き合いをして写真を撮りつつ、しばらく聴講することにしました。初夏に異常に雨が多く、その後上天気が続き太陽の熱と光を十分に受けたキイチゴは、今年は驚くほどの成長ぶりを示しています。「今までこんなに沢山開花したのを見たことがないわ!」と毎年見慣れている妻が言います。
(キイチゴは5弁の花びらをもつバラ科の植物)
キイチゴはドイツ語でBrombeere(ブロムベーレ)といい,これからしばらくの期間この辺りどこにでも見られる植物です。Beere(英語のberryベリー)という名がついていますが、植物学的に見てベリー(漿果しょうか=かき、ぶどう、みかん類のように肉が多く、水分の多い果実)ではなく、サクランボのように核(種)の周りに果肉のついた果物(Steinfrucht)が沢山集まっているもの、「集合した核果」(Sammelsteinfrucht)なのだそうです。
(受粉に忙しく働くミツバチ)
難しいお話はさておいて…。バラ科の植物なので5枚の花弁をもつ白−薄いピンクの花が咲くと、ミツバチが寄って来て受粉が行われます。花が枯れ落ちると小さなグリーンの実が出来てきます。今見られるのはこの緑の結実です。そしてもう数週間もするとこれが黒っぽい赤紫の実となります。その時期になったらまたブログに写真を載せましょう。そうすると大人も子供も散歩がてらに手を伸ばして熟れた実を取って食べるのです。もっと本格的に採りに来るのは、自家製のジャムを作ったり、プロ的に市場に出して売る人たちです。キイチゴの茂みは時に人間の背よりも高くなるため、脚立まで持って来て採っている人も見かけます。
(花が落ちた後グリーンの実が出て来た)
町を離れ少し田園地帯に入れば、もうどこにでも生っていて誰にもとがめられず無料で採ることのできるキイチゴは、市場やスーパーで250g2€ほどで売られてはいますが、わざわざお金を払って買うドイツ人は少ないでしょう。我が家でも夫婦2人で半日出かけて何キロか採れれば、鍋で煮て濾してゼリー入り砂糖を混ぜジャムを沢山作り、地下室に保存します。このようにして、市販の果物(イチゴ、スモモ、サクランボ等)と並んで、採集した野生の実(
キイチゴ、ニワトコ、サンザシ等)から作ったジャムが棚に並び、1年中朝食の食卓を飾ります。
(開花した花の周りにはまた新しいつぼみが)
三千男さん。キイチゴの実がなっている図は良いですね。奥さんが注目されるお気持ちが理解でき、いい観察をされていると拝見しています。日本では野イチゴなどが多く、昔は季節にはつまんだものですが、ドイツではベリー系の物を自然で掴む習慣は?大阪の山さん。
返信削除山さん、毎年夏の終わり頃見られるキイチゴ、今年は例年にない方策のようで、実が熟れて食べられるようになる時が待ち遠しい限りです。スーパーの果物売り場にもベリーと名のつくものが軒並みで、名前を覚えるのに苦労します。
削除自然の恵みを収穫してきてコトコトと美味しいジャムを作る・・・ドイツの主婦の心意気を感じます。そういえば日本にも梅干しや梅酒を漬けたりラッキョウを浸ける主婦も居ましたっけ。ドイツにはいろんな種類のベリーが自生するのですか?日本で幼い日の思い出に有るのは野イチゴか桑の実くらいです。
返信削除熟れて収穫してきて美味しいジャムになる日の報告を楽しみにしています。
baabaさん、言われてみれば日本の主婦もそういう仕事をよくやっていましたね。西洋ではピクルス系の作業はやるのかしら?オリーブが沢山採れる国(例えばスペインとか)では、日本の漬け物風なものを沢山作り、土産物屋で売っていました。
削除ドイツのベリーの種類の多いこと(ヨーロッパ全体か?)、名前を覚えるのに苦労します。妻が数日前作ったのはセイヨウスグリ(市販)とニワトコの花(野生)のジャムでした。