もうかなり以前、パッチワークをするグループに入っていた時のことです。ある日メンバーの一人が、店じまいをする内装専門店から見本(サンプル)布を車のトランクに一杯もらって来て皆に分けてくれました。カーテンやクッションを買いに来る客に見せるための布見本で、写真でご覧のように何十枚かを綴じた大きな本のようになっています。
私も数冊もらって、その中から気に入った柄や模様の布を切り取っては時々小物を作っていました。その後は地下室に置いてありましたが、年末年始の暇な時にこれを整理することにしました。先ず外枠をばらす仕事ですが、大きな釘を使って綴じてあったので大変な作業となりました。1時間以上かけてやっと布を一枚ずつ取り出すことが出来ました。その枚数は60枚以上ありました。大きさはサンプルにより60x62cmから56x45cmまでありまちまちですが、サンプルなので同じものが2枚なく、すべてが違った模様なのです。時には同じ模様プリントであっても、色合いがまったく違うのです。
先ず布をほとんど切らずにそのまま使って作れるものを考えました。最初はランチョンマットで、表裏2枚の布の中にボリューム芯を入れパッチワークのようにミシンで菱形の模様で縫い合わせ、周りにパイピングをしたらしっかりしたマットが出来上がりました。次は布を40x40cmサイズに裏表2枚切って、30cmのファスナーをつけてソファーや椅子のためにクッションを数枚作りました。中味はデパートで数ユーロで売っています。
子供部屋用のサンプルは可愛いものがいっぱいあり、これを使ってトートバッグを作り、孫や近所の小学生のプレゼントにしました。バッグには表布裏布1枚ずつが必要ですが、小さいサイズの布で丁度片面が出来、さげ手も2本取れます。沢山ある柄の中から自分の気に入ったものを選ばせたので、出来上がった時の女の子の喜びは一入でした。
一枚一枚模様は違っても色合いが似ているものが数枚あったので、それを4枚つなぎ合わせて少し大きいものも縫うことが出来ました。それがこれ、妻の夏用半袖のジップアップジャケットで、暑い時期に彼女は喜んで着ています。必ずしも同系統のものではなく、まったく違う布を大胆に縫い合わせても、思いがけなく変わったモダンなものが出来るかも知れません。
サイズと模様プリントの制限はありますが、サンプルの布地はすばらしく良い質のものであるので捨てておくのはもったいない次第です。粗大ゴミで捨てられる運命にある布サンプル、なんとかこれで出来るものを探し出し、これからも面白いものを縫って行きたい、と思っています。
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