2014年7月31日木曜日

ロンドン旅行 2


 第2日目の722日(火)はロンドン見物で絶対に見逃せない、バッキンガム宮殿「衛兵交替式」(11時半)に出かけました。場所取りのため1時間は早めに行かなくてはならない、とどこかで読んでいたので、10時頃にはその辺りに着いていたのですが……。

 
 でも余りに早すぎ1時間半立って待つのは大変だと誰かが言い出したので、その前にすぐ南にあるRoyal Mews(王室厩舎)に入ろうということになりました。ここは王族家の使う式典用馬車や馬(生きた)を見せる博物館です。馬が好きで自分たちも時には乗馬クラスに行く大きい孫たちは、オーディオガイドを聞きつつ完全にその魅力のとりことなり、ついつい時間の経つのを忘れ、肝心の衛兵交替式には時間ギリギリに着きました。


 毎日行われるこの式に集まる観光客の群れ!よくぞこれだけやって来たものだ、と驚くやら、呆れるやら。とても前に出て見ることはかなわず、小さい子供たちはパパの肩車に、大きい子は鉄の柵によじ登って、なんとか遠くから黒い帽子に赤い制服の衛兵を見ることが出来ました。おじいちゃんは、幸い警官が自動車の通行を止めてくれた道路の真ん中まで出て、正面から良い写真を何枚も撮ることができました。オモチャの兵隊さんのようなページェントも30分そこそこで終わり、大群衆の流れの後に続いて我々もやっとHyde Parkまで逃れ、そこで一同サンドイッチの昼食をしました。


 午後はRegent Parkの北端にあるロンドン動物園です。このバス路線はかなり長く車も2階建てではないし、気温もかなり上がって来ていたので、皆少し疲れ気味となりました。7000種類の動物のいる世界一の動物園と聞いていましたが、暑さも災いしてとても全部は見られませんでした。1頭いるというパンダはどうしたのか?もういなくなったのか、パンフレットにも案内はないし、やっぱり死んでしまったのでしょうか?


 結局「ゴリラ王国」周辺でグロッキー、ライオンや虎のいる北3分の1は見られませんでした。でもヒラヒラと舞い下り見物人の手の平や指にまでとまる「チョウチョウのパラダイス」やペンギンたちの餌時間等は、この日の午後の忘れられない想い出となりました。

2014年7月30日水曜日

ロンドン旅行 1


 娘の2家族、孫5人といっしょに総勢11人で8日間ロンドン旅行をしてきました。予約しておいた宿舎はKennington地区East Streetにある築19世紀末の古い3階建てアパート、寝室4部屋、台所、食堂つきの建物でした。徒歩1分のところに賑やかな通りがあり、バスがひっきりなしに走り町の中心まで簡単に行けます。

 初日(21日)午後遅くに到着してすぐに活動開始、先ずEast Street周辺を歩いてみました。メイン道路に面した店はスーパー、軽食店、洋装品、ドラッグストア等々なんでもそろっていますが高級店はなく、どれもみすぼらしい感じです。横町に入るとほとんどが野菜と魚類の食料品、衣類品の店ばかり。移民が多いのか、あちこちに「アフリカ特産物」とか、イスラム教徒のための「品質保証ハラール処理肉あり」という看板が目につきました。


 夕方近くOxford Circusまで皆のあこがれのロンドン名物赤い2階建てバスに乗りました。この路線は昼夜休みなし24時間営業です。切符はインターネットで買っておいた地下鉄、バス、近郊電車乗り放題の1週間有効券で約72ユーロ、10歳−4歳の子供は無料です。ダブルデッカーバスは決して乗り心地よいとは言えませんが、2階に上がればちょっとした街の観光バスとなり、ロンドンが十分に見物出来ます。 途中テムズ河、ビッグベン、国会議事堂、ロンドンアイ観覧車、ウエストミンスター寺院、国立美術館等をバスの2階から見たときは「ああ、ロンドンに来たのだ!」という興奮した気持に浸りました。


 国立美術館のあるTrafalgar Squreを経由しOxford Circusで下車早速散策を始めました。この有名なショッピングストリートの専門店の立派さと人出の多いのにまず度肝を抜かれました。しばらくウインドーショッピングした後、ロンドン最初の夕食のため裏通りにある軽食食堂にはいりましたが、大人6人小人5人の大人数で一緒に飲んだり食べたりするのがいかに大変であることかがすぐに判りました。これから1週間どうなる?と、楽しくはあるけど、大いに行き先が思いやられます。


2014年7月19日土曜日

北行きトンネル開通


 Düsseldorf OB OGの皆様、しばらくご無沙汰しました。これまで何年かにわたってJan-Wellm-Platzを中心とした地帯の変貌・発展についてお知らせしてきました。2011年の秋には地下鉄工事が始まり買い物客は通行にも不便を感じたこと、そして12年にはすでにKö-Bogenの高級店舗の前面ファサーデが現れたこと等を、何度かにわたってブログに書いてきました。13年が始まった1月末にはまだ自動車用高架線「むかで橋」が撤去されておらず、自動車は高い所を走っておりした。しかし自動車用のトンネル工事はすでにその以前から地下で始まっていたに違いありません。
    (Hofgartenの池の水に映える高級専門店とオフィスの入るKö-Bogenの建物)
           (北行きが新たに開通した自動車用トンネル)
 市北部の郊外から市内に入って右(西)に曲がるAltstadt, Oberkassel線トンネルの開通はかなり早い時期に完成しました。しかし真っすぐ南のBerliner Alleへ向かう線は未だに通っていません。反対に市内から北に向かうトンネルが最近やっと開通しました。Berliner Alleから入って左車線を西に曲がればAltstadtへ、中央車線をまっすぐ行けば空港・見本市、そしてさらにはEssen, Duisburg方面に延びます。でもこの地域のトンネル道はわずか数キロで、入ったと思ったらまたすぐ地上に出ます。ライン河畔の長いトンネルの規模と比べものになりません。従来の「むかで橋」の代替物として造られたもので、それが地中に潜っただけですから当然と言えば当然ですが。次は南行き直線と、Immermannstr.へ入る東行きが開通し、全部がつながれば完成となります。
      (新トンネルを走る車が増え、従来の地上道路が静かになった)
      (早くに開通したAltstadt, Oberkassel線のトンネルを北から進入)
 路面電車は、現在進行中のWehrhahn-Linieは完全に地中に移ります。しかしKaiserstr.から南下し Berliner Alleeに延びる線はそのまま地上に残るようです。この辺り自動車も電車もすべて地下に移ると思っていた我々は、完成図を見てそうでないことを知りました。自動車と電車の騒音のないまったくの緑地帯が出現すると期待していた向きには少々落胆の声も聞かれます。
            (新開通の北行き線を登って来る車)
        (南行きのトンネル工事はまだこのような工事状態)
 とにかくHofgartenから白黒のグラフィック壁模様を備えたKö-Bogenの裏側の辺りは、白鳥の遊ぶ公園の池の水に映え実にきれいになりました。そしてそのすぐ横のトンネルがすべて地下に入りその上にグリーンの樹々と芝生が敷かれれば、市の真ん中に広大なオアシスが出現するのも間近、市民は誰もがその日の来るのを心待ちにしています。
      (北行き線、入ったと思ったらすぐに地上に出る短いトンネル)
      (市中心部の完成図、路面電車の線路はそのまま残るらしい)

2014年7月14日月曜日

Gasometerでの美術展


 ドイツ語のGasometer(ガソメーター)はガスタンクのことであり、製鉄所の高炉から出る廃棄物の炉口ガス(Gichtgas)を貯めておくためのものである。鉄鋼産業盛んなりし頃にはそのようなガゾメーターが各地に建造され活躍していた。過日ルール地方のオーバーハウゼン市にあるガゾメーターを訪れた。と言っても目的は工業施設見学ではない。それについては後述する。

          (ガスタンク美術館の全貌と展覧会入り口)
 1927年−1929年に建造されこのガゾメーターは、第二次世界大戦中連合軍の爆撃により大きな損害を受け、1945年には操業停止に追い込まれた。終戦後修理され操業は1988年まで続いたが、その頃からより経済的な天然ガスに押されたため、再使用されることはなくなった。

 90年代初め、市はガゾメーターを解体するか再利用するかの決断に迫られた。結局市議会は一票の差をもって改築する決議をし、1600万マルクを投じて現在あるような展覧会場に造り替えた。高さ117m、直径68m、窓なしのガスタンクは大変身を遂げ、モダンな照明装置を備えた美術展覧会、各種展示会、コンサート、演劇等に用いられる一大イベント施設となったのである。
                                         (内部の展示会場は直径60m、高さは4.5m)
 我々が訪れた美術展は“Der schöne Schein“と名付けられ、今年4月から12月まで開かれている。この題名のSchein(英語のappearence)という語は訳すのに苦労するものだ。ここでの意味は「外見、見せかけ、うわべ」となるだろうが、ドイツ語の“Schein und Sein“(外見と実在)から分かるように、「実体のない、外見だけ、うわべだけのもの」というかなり消極的な意味をもちそうだ。それは開催されている展覧会の性格から明白になる。
     (ビーナス像と絵。観覧者のサイズと比べると大きさが分かる)
 今回の展示物は、ルーブル(仏)、テートギャラリー(英)、NYモダンアート(米)、ウフィツィ(伊)、国立美術館(独)等、全世界屈指の美術館から集められた絵画と彫刻を合わせ200点に達する。 時代は古代からピカソにいたるまでの何千年にわたる名画・傑作が揃っているのだが、原画、原物は一点もない!各時代、異なった文化における異なった美の表れ(表現)を一カ所に集めた、というのが謳い文句であるが、展示絵画はすべて大型写真に引き延ばしたもの、会場のあちこちに立つ彫刻も原物のコピーなのである。要するに「世界美術全集」の本を別の形で展覧会場に並べたものだ、と言って良いだろう。
          (会場中央の床をくり抜いて展示された天井画)
 その結果ボッティチェリの「ビーナスの誕生」の絵と並んで「ミロのビーナス」の像が置かれるし、「モナリザ」(原画は77x53cm)が見上げるような広告写真のサイズとなる。北斎の「神奈川沖浪裏」も原画とは比べものにならない大きな波で観覧者を飲み込みそうだ。(モナリザも北斎も手ブレ写真になったのでお見せ出来ないのが残念!)映像とか写真、コンピューターの技術を駆使して大きなコピーを作ったので、我々は今まで見落としていたデテールに気づかされ驚く。窓は一つもない展示場であるから、展示物にはすべて照明が当てられ独特な雰囲気がかもし出される。いろいろな点で興味深い、新しい経験の展覧会だが、芸術作品の鑑賞という点からは何か満たされない印象も残るのではないだろうか。「この展覧会は原画・原物の(実体)展示ではありません。それは文化域と時代を超えて外に現れた(外見の)様々な美の現象を、 現代の技術を駆使して皆様にお見せするためのものです 」という主旨で主催者は“Das schöne Schein“という題名を決めたのだろう。
         (ふんだんにライトを使った展示方法は魅力的だ)
 天井まで4.5mある展示会場の上は500人収容出来るシアターの領域で、そこでは320°(40°はプロジェクター等のため)にわたり「光の展示」が行われる。100x60mの壁と天井一面に映し出されるグラフィック模様は、椅子に座った位置では一部しか見えないので、観客は用意されたクッションを使い床に寝そべって天井と壁を見上げて鑑賞するという趣向だ。これまで知ることのなかった"light & form"(光と形)の新体験であった。
             (屋上からルール地方の緑を望む)
    (前方の小山はかつてのボタ山で約100m、ガゾメーターとほぼ同じ高さだ)
 暗い会場からエレベータで屋上に出て新鮮な空気を吸い込み、眼下に広がるルール地方の山野の緑をしばし楽しむ。自然の光の中に生まれる美と、現代技術の粋を尽くし作られる光の美の両方を楽しんだ半日であった。

2014年7月10日木曜日

リコーダーの魅力


 私が初めて手にした楽器は小学生時代のリコーダーだった。安くて手っ取り早い、吹けば誰にでも鳴る手軽な縦笛。とにかく学校の音楽の時間に持たされたソプラノリコーダーがそもそもの初めであったと覚えている。その後横に吹く笛(篠笛だった)に興味が移り、大学時代にフルートに落ち着いた。

 この2年間ばかり我が家でリコーダーの音が絶えたことがない。と言っても、私がまた吹き出したわけではない。やっているのは妻である。彼女は何にでものめり込むタイプで一時はゴルフに熱中していた。それが10年近く続いたが、ある日突然「時間も労力ももったいないから、もうしない!」と宣言し、会員権は売ったかどうしたか知らないが、ピッタリ止めてしまった。

 その後はまた数年間押し花に没頭していた。押し花と言っても小学生の夏休みの宿題みたいなものではなく、芸術作品で大きなものも沢山創り展覧会にも出品した。その熱もようやく冷め、この2年間は「何か楽器をやってみたい。なるべく取っ付きやすいものを」と、家庭教師の先生も探し出し、毎週のレッスンに来てもらいレコーダーに没頭している。

 最初は基本的な楽器のソプラノ(C管)で始めたが、リコーダーに関する限りアルト(F管)の曲が多く楽譜の入手も楽なので、彼女はこのところアルトに集中している。リコーダーにはその他ソプラニーノ、テノール、バス等があるが、最近テノール(C管)が追加された。すべて運指はバロック方式で木製の笛である。我が家にあるソプラノ笛はカエデ、ナシ、オリーブ、アルト笛はモモ、ツゲ、ナシ、そして最近買ったテノール笛の材質はサクラである。材質によってそれぞれ音の感じが違い面白い。これだけ何本か買っても、他の楽器(例えば一本何十万、何百万円する銀製や金製フルート)と比べれば手に入れやすい。もちろん本当に良いもの、大型のコントラバス笛はさらに高価なのだろうが。

 独奏するのも良いが、リコーダーの面白さは合奏にあるのではないだろうか。元々ルネッサンスやバロック時代の素朴な古楽器であるので、現代の楽器に比べ音質は表現力に欠ける(世界的な名手は別としてだが)。複数の笛でやる合奏がその欠点を補ってくれるのだ。それで私が第一の犠牲者となったわけだが…。妻は毎晩の音階練習等が終わると「さあ、いっしょに吹きましょう」とデュエットに誘う。私は時には喜んで、時にはいやいやながらお付き合いをしている。そして親類の集まるパーティでは必ず演奏することになった(妻が申し出るので)。ここにも犠牲者がいる!

 合奏と言っても重奏(各パート一人の)だけでなく、リコーダーオーケストラというのもある。妻が楽器を購入するSchwelmの町にある19世紀創立のIbach-Hausでは時々セミナーが開かれ、専門家の指揮のもと、数十人のリコーダー吹きがそれぞれ得意なパートを受け持ち、昼食をはさんで1日中吹いている。最近は隣町Neussにもグループを見つけそちらにも定期的に出席するようになった。

 妻は夏のボーナスが入ったのでまたアルトフルートの珍しく新しいものを買いたい、と言い出した。有名なGanassi社製で材質は欧州ツゲだそうだ。試しに吹いてみなければ気に入るがどうか分からないが、インターネットでいろいろ読んでみて興味がわいたようだ。どうぞお好きなように。1000ユーロは超えるかも知れないが、高いゴルフ用品や現代楽器ほどには値は張らないだろうから。