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2013年12月26日木曜日

キリスト降誕劇


 毎年1224日の午後は、孫たちの出演する“Krippenspiel“(クリッペンシュピール)が村のペトロ教会で行われる日です。Krippeとは家畜小屋にある「秣桶(まぐさおけ)」のことで、馬小屋で誕生したキリストがその中に寝かされたという言い伝えがあります。そのKrippeにSpiel(劇)の語がつき、そのまま訳せば「秣桶劇」ですが、通常「降誕劇」と呼ばれます。日本の教会でも「降誕劇(聖誕劇)」は恒例のものであり、教会学校の生徒たちが何週間も練習して準備します。


 劇の筋はすべて聖書の記事に基づいています。だから、故郷に帰る「マリアとヨセフの宿探し」、やっと見つけた「馬小屋でのキリスト誕生」、誕生を知ってお祝いに来た「羊飼いたち」、輝く星に導かれて来た「東の国の3人の博士」、天から舞い降りた「天使の賛美の歌」等は全世界共通のテーマです。これに「マリアの受胎告知」(多くの名画のテーマとなっています)がつく場合もありますが、当日は省かれていました。その代わりに、この日の劇には各場面に「ペトロ教会のネズミたち」が数匹ついてきて、それぞれ何か台詞を言いました。これは参加する子供の数が多いため、そんな脚本をわざわざ選んだ、ということでした。

 ドイツの教会には日曜学校がありません。時々教会付属の建物で一緒に集まって、工作やお絵描きをすることはありますが、アメリカや日本のように、毎週決まった日曜学校(教会学校)が開かれることはありません。だからクリスマス劇のためには特別にお知らせがあり、子供たちが集められ、話し合いをしてそれぞれに役が与えられるのです。うちの孫たちは5歳のユリアは天使、8歳と10歳の子には羊飼いのパートと台詞が割り当てられました。練習期間はクリスマス前4週間でした。

 クリスマスの礼拝は、日本の神社の初詣と同じで、この日だけは出席する人の数が多く、通常はガランとしている教会堂は席がないほど一杯になります。「もう少し詰めて席を作って下さい。あと数人だけです、どうか譲り合って下さい!」と役員さんはお願いして回っています。そのため15分遅れの開演となりましたが、子供たち熱演の30分で無事クリッペンシュピールは終わりました。その後教会前の広場で人々は改めて“Frohe Weihnachten!“(クリスマスおめでとう!)と挨拶を交わし帰路に着きます。

 そしてそれぞれの家庭では、クリスマスツリーの下におかれたプレゼントの箱や包みが開けられます。今年はどんなプレゼントがもらえるのか、楽しみに待っていた何日かがクライマックスに達する時です。このようにして、1年中で一番楽しいクリスマスの休暇が始まり、学校のお休みも年明けの18日まで続きます。

2013年12月22日日曜日

クッキー焼き(その2)



 クッキー焼き第2弾として、シナモン入りロールクッキーを焼きました。ドイツ語ではZimt-Orangen Knusperplätzchenとなっているので、「シナモン−オレンジ入り、カリカリクッキー」とでも訳しましょうか。

 基本の生地はバター、砂糖、卵黄それに小麦粉ですが、今回はそれにオレンジ1個分の皮を摺って入れました。まぜるために泡立て器を使うよう本には出ていますが、どうも中にくっつき、生地がたまって使いづらい。木べらでゆっくり混ぜる方がいいようです。

 よく練った生地をラップに包み、前回よりゆっくり1時間以上冷蔵庫に寝かせました。その結果ロールで延ばす作業は前回より上手く出来ました。何回か同じことをやれば、経験を積み上手になるはずですね。

 約30㎝四方に延ばした生地に少量のオレンジジュースをかけ、その上にシナモンの粉と砂糖を振りかけます。写真で見るとピッツアのようですね!その後軽くロールで押さえ、クルクルと端から巻いて行くのですが、その作業が思ったより難しく手こずりました。時間と共にせっかく寝かして固くなった生地が柔らかくなり、それも30㎝というかなりの長さがあるからです。悪戦苦闘はしましたが、なんとか巻き終えたものをまたラップに包み30分ほど冷蔵庫へ。

 程よく固さを取り戻したロールをシャープな包丁で4−5㎜に切りました。包丁にくっつくことなく、さくさくと気持ちよく切れはしましたが、やはり巻き方が均等にいっていなかったので、切り口がきれいな「なると模様」になっていないものがありました。これは30㎝の生地を1本そのまま巻かなくても、半分に切って巻いたらどうだろうか、と後で気づきましたが、そうすると結果に違いが出るでしょうか?次回に試してみます。

 オーブンで15分ほど焼いてきれいな色に出来上がりました。シナモンのいい匂いもします。焼きたてはまだ柔らかいので、十分冷ましてから缶にしまいます。

 前回のものと合わせ合計80枚ほどになり、孫3人と娘夫婦計5人と我が家で食べるぶんには多すぎるので、友人・知人におすそ分けして喜ばれました。独り占めはしないで他の人々と分かち合う、これもクリスマすシーズンの精神にふさわしいことでしょう。

2013年12月19日木曜日

光と色の印象


 気がついたら、もうアドベント(Advent)3週に入っていました。来週のアドベント日曜日は22日ですから、その2日後がもう聖夜(Heiligabend)となります。キリスト教暦では最も大切な季節です。

 アドベントという語はラテン語のadventusから来ており、「到来」を意味します。神の子がこの世に到来したという意味から「降臨」とも訳されます。「クリスマスの前の4つの日曜日を含む季節」と辞書に記されています。日本語では「待降節」と訳されていますが、クリスマス(キリスト降誕の日)というクライマックスを「待つ期間」という意味では、適切な訳であると言えます。


 この時期、クリスマスマーケットも最後の追い込みの段階で売る方も真剣なら、買う方も、忘れたもの、まだ調達してないものの補充で一所懸命になり、大変な混雑ぶりです。我が家ではもう用意万端すべて完了しているので、そんな雑踏を避け、今夜は街のイルミネーションやショーウインドウを見て歩きました。


 デュッセルドルフのイルミネーションの印象はあまり派手ではないということ、敢えて言えば、かなり地味なものだと言えるでしょう。先ず飾り電球の数が少ないし、赤や青等のカラーランプもほとんど使われていません。目抜き通りのケーニックスアレーの街路樹の飾り電球も、枝にまばらに取り付けてある、という感じです。しかし、光の量は少なくても、商店の照明も含めお堀の水に映るので美しさが倍加します。(それに比べ、You Tubeで見る東京丸の内、表参道、けやき坂の「イルミネーションドライブ」の華やかさはもう驚くばかりです。何千、何万本の木の幹から枝の先まで、余す所なくブルーがかったLED球で覆われています。これには大変な労力と費用がかかっているのでしょうね。) 


 唯一の例外は、シャドウアルカーデンの踊り場にある大クリスマスツリーのイルミネーションでした。ここでは毎時間数分だけ光のページェントが見られ、音楽と共にいろいろな色のランプが点滅し、人々の目を楽しませてくれます。午後6時私はそこに居合わせましたが、新設の「Don」ラーメン店で注文した豚骨ラーメンが運ばれて来たばかりだったので、席を外して写真を撮りに走ることが出来なかったのが残念でした!

 お店のショーウインドウはこの時期一番華やかにセットされます。12月だけで一年の売り上げの半分(以上?)が転げ込む季節なのですから無理もないことです。宝石屋、化粧品店は豪華さを表すゴールドを、そしてお菓子屋は可愛らしさを表す赤を主体にショーウインドウを飾ります。


2013年12月15日日曜日

クッキー焼き


 クリスマスシーズンになったので、久しぶりにクッキーを焼きました。クッキー焼きは各家庭でやる冬の(特にアドベント期間の)年中行事のようなものです。なぜこの季節にやるのか、ドイツ人でもその理由ははっきりしないらしいですが、クリスマスの準備であることは確かです。

 ドイツ語では英語のクッキーやビスケットという言葉は使いません。その代わりにPlätzchen(プレッツヒエン)とかKekse(ケークセ)という語を使います。二つの言葉の違いはあまりありませんが、受ける感じとして、後者が簡単なクッキーで、前者の方がバターたっぷり、アイシングやデコレーションをほどこした贅沢クッキーだ、とドイツ人は説明します。

 私が焼いたのは「甘いお星様」とレシピーに記されていたもので、プレッツヒエンの部類に入ります。先ず生地のために、室温で柔らかくしたバターに砂糖を加えクリーム状にします。それに卵黄と少量の塩、バニラ・アロマを23滴を落とし、小麦粉を混ぜ練ります。この生地を2つに分けラップに包み1時間ほど冷蔵庫に寝かせました。

その後生地を2枚のベーキングペーパーの間に入れローラーで45㎜の厚さに延ばし、いろいろな押し型(星、鐘、花等のフォーム)で抜きます。生地が十分硬くなっておらず、抜くとき型にくっついて苦労しました。もっとよく手で捏ねれば良かったのでしょうか。それを180190℃のオーブンで15分ほど焼きましたが、最初のが少し焼きすぎ色が黒くなったので、2度目は注意してきれいに仕上げました。

 焼き上げたものを十分冷ましてからアイシングの開始です。粉砂糖にぬるま湯を少しずつ加えて濃い液状にし、それに紅、青、緑、黄等の食用色で色付けしました。これもゆるすぎるとクッキーの外に流れ出ます。砂糖が固まらないうちに、可愛らしい市販の砂糖細片・粒をふりかけ飾り(デコし)ました。約250gのバター、300gの小麦粉で50枚ほどのクッキーが出来上がりました。色とりどりのプレッツヒエンは孫たちに受けること間違いありません。

 次回は同じ生地で(私のレシピー本は「一つの生地で作る100種のクッキー」というタイトルがついている)基本を作り、延ばした後、中にシナモンと砂糖を入れ、クルクル巻き(ロールして)冷蔵庫に寝かせます。少し硬くなったらそれを包丁で薄く切って焼くクッキーを考えています。切り口の渦巻き模様がきれいで、味からもこちらは大人によく受ける種類のクッキーです。これで準備万端整い、もういつクリスマスがやって来ても大丈夫です。

2013年12月4日水曜日

巡礼の町Kevelaerへ


 ケーヴェラー(Kevelaer)の町はデュッセルドルフから車で北へ45分、ライン河左岸にある人口27000100平方キロほどの町である。この町は特にカトリック教徒にとり重要な巡礼の地であるが、この時期ここで古い伝統的なクリスマスマーケットが開かれるということを聞いて先週末(初日の1130日)出かけた。

 この巡礼の町の初めは17世紀半ば30年戦争末期の時代に遡る。この町に向かって歩いていた一商人が、「お前の力でケーヴェラーの町に礼拝堂を建てよ」との天からの聖母マリア声を聞き、妻と協力して建てたのが、今日も残る「恵みの礼拝堂」(Gnadenkapelle)である。それを聞いた多くの信者たちが町を訪れ始めた。ある場所に巡礼者が多く集まるようになるためには、その場所で何か不思議なこと、奇跡が起こったという事実が必要条件となる。その内長年の病が治った、身体の傷害が癒えて歩けるようになった、聴力が視力が戻った等の奇跡を体験した人が出て、人々は群れをなしてこの町に向かうようになった。このようにして「巡礼の町ケーヴェラー」はその後何世紀かの間に発展して行った。その間時代により巡礼の数は増加したり減少したりしたが結果的には増え、現在は年間80万人の巡礼が詣でるまでになった。

 巡礼の行列の様子は、南に48キロ離れた町フィルゼン(Viersen)からケーヴェラーまで毎年巡礼をする妻の会社の同僚の話によると…。約50人のグループが結成され出発は金曜日夜、賛歌を歌い祈りを唱えながら夜を徹して歩き続け到着は朝になる。土曜日一日は礼拝、祈祷、祝福のプログラムで過ぎ、その夜は巡礼宿に宿泊し、日曜日にまた帰路に着く。48キロを8時間かけて歩くのだが最後の23キロが一番辛いと…。途中で出る落伍者のため伴走車がついて行く。ご詠歌を歌い、お経を唱えながら歩く日本のお遍路四国八十八カ所札所の巡礼と似た所がある。

 上記の「恵みの礼拝堂」のすぐ横に立つ「ロウソクの礼拝堂」(Kerzenkapelle)の内部に入ったが、今まで見たことのない珍しいものであり、この地を訪れる巡礼の寄進した何百本というロウソクと盾に飾られた縦30m10m高さ15mの内陣は非常に印象深いものがあった。中に「聖母感謝」と書いた日本語の盾も見られた。この広場には今年150周年を迎える高い塔をもつバジリカ教会もある。

 さて、この町のクリスマスマーケットは「馬小屋のマルクト」(Krippenmarkt)と呼ばれ上の教会やチャペルのある広場にあり、屋根つきであるので雨天でも心配ない。中に入ると真ん中にキリスト生誕の馬小屋が作られ、聖母と父ヨセフ、牧人の像が飾られ、生きたロバと羊がその前でまぐさを食べている。

 マルクトには屋台はなく、3040個のテーブルの上に、昔のマルクトはこんなだったのだろうと思わせるような品物が並んでいる。どれも格安の値段で近隣に住む農民が自分の手で作ったに違いない、簡単素朴で暖かみのある品物ばかりである。そしてマルクトにつきもののグリュヴァインやソーセージ等飲食物の屋台が一つも見当たらないのは、何か新鮮な感じがした!ほとんどの都市のクリスマス市場開始日より10日も遅らせるのはなぜか?それは「死者の日曜日」(今年は1124日)がマルクト開催期間に入るのを避けるためであり、実はそれが本来の教会暦の伝統に従った正しい開始日の決定基準なのだ。ドイツ最古のマルクト、ニュールンベルグのそれも開始日は29日(金)であった。売り上げ増加を狙ったビジネス中心のマルクト開始日決定には教会側から反対もあるらしいが、最近ではどうにもならない状態であると聞く。


 人口27000の町に年間80万人もの外来者が訪れ、そのほとんどが何泊かするとなると、どのようなことになるか大体想像がつく。信仰、信心の目的のための訪問であるとはいえ、その人たちの落とす金の額は莫大なものとなるであろう。そのためか、町全体が富んでいるという強い印象を受けた。街の通りに立ち並ぶ商店はすべて立派な専門店ばかりであり、庶民的な安売りの店は見当たらない。ホテルもレストランも豪華な造りの建物と内装で、田舎の町へやって来たと言う感じは全くしない。特に信者のための木彫りや銅製のキリスト、マリア、天使の聖像や聖画、その他諸々の宗教関係の品を売る店の大きく、立派なことに驚嘆する。そんな店では、毎月何万人という巡礼の信者たちが競って買い物をするに違いない。

 巡礼者が増えるのは暖かい季節の始まる5月頃だと聞いた。今回クリスマス時期の良い雰囲気を満喫したが、町中に巡礼の溢れる季節にもう一度ケーヴェラーの町をぜひ訪れたいものである。